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福祉職場における人材育成、教育研修について|福祉で働く人の特徴、傾向―介護を中心に

本を読むウサギのイラスト

働くことにまつわる諸事に関心を持っていますが(国家資格キャリアコンサルタントだし)、中でも人材育成については関心高めです。

このカテゴリでは、福祉職場における人材育成、教育研修について考えていきます。

この記事では、福祉、特に介護業界で働く人の特徴についてまとめます。

目次

福祉の現場には、様々な背景、様々なキャリアの人がいる

「『昨日まで専業主婦をやっていました』っていう女性や 人間関係で躓いたり悩んだりした人がパッと現場に入ってきて働くようになる 介護の現場って昔からそんなもんでしたよ」 これは 1970 年代から高齢者介護 施設 の現場で働いてきた職員の語りである。

黒川 2017

時の首相が国会審議の場で「 介護分野は雇用の受け皿になる」と発言する 1ように,他産業からの流入が多いのが介護分野である.特に,昨今の介護分野における労働市場をみても,介護労働者の多くは中途採用であり,福祉職以外の職種から転職した者が多いことが明らかになっている.また,景気変動による他産業からの人材需要の影響を受けやすいことが指摘されている(労働政策研究・研修機構: 2014)

黒川 2017

介護分野における労働市場をみると,介護労働者の多くは中途採用であり,福祉職以外の職種から転職した者が多い.図表 序 6 でみたとおり,政策的にも「人材のすそ野の拡大を進め多様な人材の参入促進を図る」ことが掲げられている.資格や経験の有無に関わらず福祉分野以外からの多様なキャリアをもつ人材が介護現場に就労している実態があり,それを政策的にも推し進めているということである.

黒川 2017

福祉は離職率が高い

介護職員の離職率は低下傾向にあり全産業と比べても若干高い水準ではあるものの,特に施設系 の非正規雇用 職員(訪問介護以外の介護保険法の指定介護事業所で働き 直接介護を行う者)では 1 年間の離職率が 21.7 %となっている.

黒川 2017

離職者が相対的に高く約7割が入職後3年以内に離職(離職理由は「結婚・出産」「人間関係」「収入」等)

2015年1月27日 第3回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 資料

福祉供給主体の変化と福祉労働者の変化

社会福祉の担い手は、かつては自治体等の公務員や法人職員、社会福祉協議会職員、民生委員など、行政協力機関の者でした。

しかし、社会の変化や社会福祉基礎構造改革によってサービス供給主体は多元化し、福祉の担い手は生活協同組合や福祉NPO等の非営利組織、民間営利組織にも広がりました。

特に介護サービス分野では、営利追求を第一義とする組織と、そうではない組織とが同一の市場で競合している状況です。

資格も、国家資格から認定講習による資格まで様々。
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員(ケアマネ ージャー)、介護職員初任者研修等、多様です。

雇用形態も常勤・非常勤、パート、派遣、登録型、アルバイト、有償ボランティア等様々で、非正規雇用者が拡大しています。

高齢者を対象とするホームヘルプサービス事業では有償ボランティアなどを担い手とする住民参加型サービス供給組織の果たす役割が増大していて、これは政策的にその拡大が図られてきたわけですが、公的責任において充実されるべき社会福祉の職員体制の不備をボランタリーな担い手を確保することで補おうとする方向性は結果的に安上がり行政に利用されることになりかねないとの指摘があります。

一方、在宅サービス分野における供給主体の変化としては、社会福祉法人が後退し、それと入れ替わる形で営利法人が進出しています。民間企業の組織原則や経営理念の中で働く労働者が増大しているわけで、社会福祉労働は変質を迫られます。

雇用契約を結んでいる事業者との関係で、労働者は利用者の利用契約内容を越えて自己判断で仕事をすることは許されず、契約内容以上の福祉サービスは経営基盤を危うくするものと見なされることすらあります。

ソーシャルワーク実践において、サービスが利用者にとって不十分であったり不利益をもたらしたりする場合、専門職はその職業倫理から利用者の利益を最優先することが望まれますが、そうした職業倫理に従わないことが求められるわけです。経営の価値や経営方針を重視せざるを得ないわけで、社会福祉の倫理性や公共性の検討が改めて必要であると言えます。

サービス供給主体の多元化等の福祉制度の改変とそれに伴う福祉労働の変質についてはイギリスにおいても同様で、社会的ケア分野での民間企業の役割の拡大は介護の質の向上を決してもたらさなかったこと、特に民間企業に属する介護労働者が利用者に対して満足にサービスを提供できない事態が発生していることがFerguson(2013)で挙げられています。

(つづく)

おまけ

私も他業界から福祉に流入したクチです。
出版10年、ウェブ10年、で福祉。

福祉で最初に入職した事業所には、学卒以降ずっと福祉という人は、私より4か月ほど後に入社してきた人一人だけでした。
仮にAさんとします。

福祉大学卒業後、地元の社会福祉法人で9年パートで働いていたということだったので、支援スキルとか福祉の知識とか期待していたのですが。

ビジネスマナーは小学生並み(就労移行支援事業所なのに・・)。
利用者対応は高圧的で権利侵害レベル。

案の定、半年でクビでした。

社会福祉法人の人材育成も大したことないなと当時は思いましたが、そういう人材も生かし育てる教育研修ってどんなだろうと今は考えています。

とはいえ、就労移行支援の場合、他の福祉事業所よりも向き不向きがはっきり出てしまう気はするのですが。

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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