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小論文対策 過去問2023年度第2問(2)|放送大学大学院修士課程入学筆記試験対策

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

大学院入試の小論文対策も、
福祉士養成講座のレポートの時みたいに記事にしちゃえ!
と、ふと思いつきました。

本当に色々なことを忘れてしまうので、取り組みの痕跡を残しておこうという意図もあり。(来年は物忘れ外来に行こう・・)

目次

小論文の書き方

小論文を書く際に踏まえておきたいことは下記記事にまとめたので、これを参考に進めます。

問題

この記事では、2023年度 放送大学大学院修士課程 生活健康科学プログラム 筆記試験問題、第2問(2)に取り組みます。

当事者中心の生活支援とはなにか、述べなさい。最近の福祉政策の動向、あるいは福祉実践をふまえること。

これを800字程度で書けと。

課題の意図把握

この問題が含む重要なワードは以下の4つ。

  • 当事者中心
  • 生活支援
  • 最近の福祉政策の動向
  • 最近の福祉実践

これらについて適切に理解していることを大学側で確認したいものと思われます。

そう仮定したけどね
本当のところは知らないよ

知識の整理

課題に関する知識を整理して、問題提起を行います。
5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのようにしたか)に基づき、できるだけ深く掘り下げます。

自分にとって書きやすい分野に寄せて書くことにします。
これも一応、作戦といえるか?
ということで、精神障害者の生活支援に焦点化します。

当事者中心とは

とうじ‐しゃタウジ‥【当事者】

〘 名詞 〙 直接その事、また、事件に関係する者。

出典:精選版 日本国語大辞典

ここで言う「当事者中心」は、「本人中心」「クライエント中心」「パーソンセンタード」等が言い換えられたものと捉えても問題ないかと。「利用者主体」ともほぼ同義か。

当事者の生活は当人が決める
人の生き方や人生は、それぞれの価値観に従って様々である。自らの生活をどのように送るかを決定する主体者は当事者自身であり、支援者ではない。
当事者が「自分の人生の主役は自分自身である」ことを確信できるよう、自己決定の機会を守ることは重要である。

当事者中心とエンパワメント
「当事者中心」を実現するためには、当事者が決定プロセスに主体的にかかわることへの支援を、エンパワメントととらえて促進することが基盤となる。
ソーシャルワークにおいて当事者主体という考え方が普及する中で「エンパワメント」が登場。生活ストレスに対処するクライエント自身をソーシャルワークの主体者として位置付け、個人や環境の持つ潜在的な能力を引き出し、強化するという考え方。クライエントの持っている能力、様々なパワーを信じ、その可能性を引き出し、クライエントがその力を発揮しながら主体性を回復していくことを目的とする。

当事者主体
サービス提供の基本原則。
クライエントを治療や保護の対象としてではなく、生活の主体者であり意思決定能力のある存在として尊重するという考え方。

クライエント中心主義
リカバリー概念から生まれた。
精神障害当事者やその家族のニーズに耳を傾けること。権利を理解すること。
政策的な実践から、日常的なサポートまで、貫く必要がある第一命題。

生活支援とは

「生活支援」は、これをテーマに1つの論文が書けてしまうくらい問題を多く含む言葉。
小論文の中でどう扱うかということがまず1つの課題になるように思います。

厚労省が明確な定義を示しているわけでもなく。
ふつうの国語辞典には出ていないし。
もしかしたら福祉用語辞典には掲載されているかもだけど。

生活とは

  • 経済学:「生活構造論」から検討
    籠山京ら:生活主体(個人・家族など)が社会構造とかかわるときの社会関係で、時間的、空間的に構造化されたもの。
  • 社会学:「生活構造論」から検討
    青井和夫:1.生命・いのち・生存、2.生活・生計・暮らし、3.人生・生涯・世間という、三重の意味を内包しているとする。個人的な側面だけでなく、経済や政策等の環境との相互作用からとらえる必要がある、人間が生きるために行う諸活動の総体、生きるすべての過程。
    一般的に:意識、欲求、行為、生命からなる主体=生活者が、財、エネルギー、情報を使用し、その環境と相互作用を行いながら、何らかの場でその営みを実現し、自らの生命を再生産する過程。
    システムとして:生命を維持し、生計を立て、よりよい人生をおくるプロセスであり、それらがくりかえされるうちに生活行為のシステムができあがる。時間、経済、社会問題から分析した「生活体系」のうち持続的な一定のパターンを「生活構造」としてとらえる。
    生活=人と環境との相互作用の「生活行為のシステム」として理解できる。
  • 岡村重夫
    「生活」=「社会生活」
    「生活」=「個人が社会生活上の基本的要求を社会制度を利用することによって充足する過程」であり、「社会関係すなわち個人の社会生活」と定義。
    「社会関係」=個人と社会制度の関係として、「主体的側面」と「客観的側面」の二つの側面からなり、その関係のなかから「生活問題」は起こってくる。
    その「社会関係」にこそ生活支援としての社会福祉援助活動が必要とされる
  • 一番ケ瀬康子
    社会福祉の対象を生活問題として位置付ける。
    「生活」=生命の単なる存在ではなくて、存在してそれが活性化し、生き生きと展開をしている姿として捉えるとすれば、当然、生活科学も生存だけではない、生活の意味ちうものが、その前提として確認されなければならない」
    「生活」=「一面的な近代科学の展開だけではない、それらを総合する、あるいは構造化する、あるいはそれらの学際的なあり方の中で考える」ことが重要
    「生活」=生き生きとしたもので、構造的、かつ包括的なものととらえなければならない
  • 稲沢公一
    「生活」=生命等の「個人的側面」、日常生活等の「環境的側面」、および生き方や人生等の「主観的側面」から構成されていて、これらを包括的にとらえて生活支援活動を行う必要があるとする。
  • 精神障害者にとっての「生活」の場合は、下記を踏まえる必要がある。
    ・臺弘「生活障害」
    ・長期入院等によって生み出される「施設病」
    ・生活力が奪われてきたことによる「生活のしづらさ」
    ・疾病と障害の併存
    ⇒精神障害者の生活を理解する上で、障害を「環境的側面」に焦点を当てることによって、「参加が」制限されるという「生活のしづらさ」として理解できる。

精神障害者の生活支援の変遷


精神障害者は長い間、社会福祉の対象ではなく、医療の対象としてとらえられていた。生活支援も個人的側面に焦点が当たり、環境的側面に光が当たらない時代が長く続いた。

1980年代後半~
精神障害者の生活支援が検討されるようになった。
佐藤久夫:精神障害者の生活支援には、地域社会の中で通院医療・相談・生活の場(じゅうきょ)・作業御活動の場・リハビリテーション・雇用の場が確保される必要があると強調。
蜂谷英彦:精神障害者の生活上の困難を解消するために、職業・所得・住居・働く場の確保、暮らしの場の確保、地域でも暮らしの支えに分けて説明。
村田信男:医職住の保障を提起、精神障害者の生活支援の要素として、地域に医療・働く場・住居を用意することが必要とした。
谷中輝雄:生活支援の構成要素・・働く場、住む場、憩いの場を挙げる。特に、憩いの場によって精神障害者は仲間と出会い、ふれあい、生活の張りや自信を構築し、そのことが病気の自己受容となることを強調している。
石川到覚・牧野田恵美子ら:精神障害者の生活に欠かせない要素として「医・職・住・仲間」を挙げている。特に石川は仲間について、セルフヘルプグループや当事者活動を加えている。精神障害者の生活支援が、生活課題を支援する者と支援を受ける者という二者関係にとどまらず、当事者活動やセルフヘルプグループが生活支援の要素として入ることで、当事者主体の生活支援の捉え方が創出されていった。

2000年代~
精神障害福祉サービスの窓口が市町村地域に移り、施策の上でもコミュニティが志向されるようになった。
田中英樹「統合的生活モデル」・・生活支援の方策は、住む場・働く場・所得保障・交流の場・在宅福祉サービス・権利擁護の全てにおいてその充実が期待されている。

精神障害者の生活支援
・「リカバリー」を中核にすえる
・地域で住居、医療、就労・所得保障・仲間の支え合い(ピアサポート)のシステム構築

最近の福祉政策の動向

政策の変遷

放置から取り締まりへ
1874(明治7) 医制、癲狂院を規定
1899(明治32) 行旅病人及行旅死亡人取扱法

治安モデル
1900(明治33) 精神病者監護法
1919(大正8) 精神病院法

医療モデル→公衆衛生モデル→保健モデル
1950(昭和25) 精神衛生法
1965(昭和40年) 精神衛生法改定(公衆衛生モデルによる補完)
1987(昭和62) 精神保健法

福祉モデル→人権モデル
1993(平成5) 障害者基本法 精神障害者も障害者に
1995(平成7) 精神保健福祉法

2000(平成12)以降 社会福祉基礎構造改革
中心課題:戦後の社会福祉制度の基礎「措置制度」の解体⇒利用契約制度に転換

☆社会福祉基礎構造改革
パターナリズムからパートナーシップへ。
福祉サービスの利用が、措置から契約方式へと変わった。
この転換により、サービス利用者の権利性を確保するだけでなく、自己決定、自己選択が求められることとなった。
従来は、利用者がサービス提供者として弱者としてみられ、自己決定や自己選択が重視されておらず、専門的な判断に基づくサービス提供が優先されるパターナリズムがあった。
現在は、正確な情報提供によって、利用者の自己選択を可能とすることが求められる。

精神障害者支援の理念の、施策への位置づけ

ノーマライゼーション
ソーシャルインクルージョン
エンパワメント
ストレングス
リカバリー
レジリエンス

1993(平成5) 年の障害者基本法への改正により、精神障害が位置づけられ、施策の方向性が大転換。
課題は上記理念の施策への位置づけ。

中間まとめ

久しぶりにこのタイプの試験問題に取り組んで、なんだか色々思い出してきました。

入試という場で、上記のような情報を私の頭から引き出せるわけがない。
なので、かつてこのタイプの試験問題の解答にあたっては、自分の書きやすいように自分に身近な事例に寄せて書いていました。
ということを思い出しました。

でも、色んな概念を復習して頭の体操にはなりました。

再び知識の整理

精神障害者に寄せると難しくなってしまう感じがしたので、寄せるところを変えます。

当事者中心ということ

  • 支援を必要とする人は困難を有するが、主体的に各種サービスを利用し、自分の人生を構築していく人として捉える
  • 福祉サービスを提供する際には、利用者がサービスを主体的に活用して、人生を歩めるように支援していくことが重要
  • 人生の主人公は利用者本人という考え方が重要
  • 福祉サービスの利用においても、自分で決める
  • 利用者の自己決定の尊重、意思決定の支援

サービス提供のプロセスにおける当事者中心

  • 障害福祉サービス事業所でのサービス提供のプロセス
    初期面接、アセスメント、個別支援計画作成、中間評価と修正、終期評価
  • 1980年代、アメリカで取り組まれた、精神障害者の再入院予防の取り組み(ケアマネジメント/ケースマネジメント)が取り入れられている
  • ケアマネジメント:介護保険制度に取り入れられ、障害福祉分野でも取り入れられるようになった

個別支援計画

  • 利用者のニーズ(課題)に基づき、目標を定める
  • 目標達成までの、支援の実施過程を立案したもの
  • 個別支援計画による支援ーPDCAサイクル
    いずれも本人中心であることが重要であると強調されている。
  • 個別支援計画作成時のポイント
    本人が中心
    本人だけがニーズを知っている
    本人が課題を解決できることを信じる
    本人が参加する機会を広げる
    人生の主人公は本人

解答例

 当事者中心の生活支援とは、当事者がどのように生活するかを当事者自身が決定し、その生活に必要な支援を決定するプロセスに当事者が主体的に関わっていることであると考えられる。このことについて、最近の福祉実践として特に障害福祉サービス事業所における利用者支援を踏まえて述べる。
 障害福祉サービスの提供プロセスには、ケアマネジメントの手法が取り入れられている。初期面接、アセスメント、個別支援計画作成、中間評価と修正を繰り返し、適切な時期に終期評価を行いサービス提供が終了する。
 利用者にサービスを提供する際に基づくものが、個別支援計画である。個別支援計画は、利用者のニーズ(課題)に基づいて目標を定め、目標達成までの支援の実施過程を立案するものである。この個別支援計画を作成する際はもちろん、この計画に基づいて支援を提供する際にも、中間や終期の評価においても、利用者中心すなわち当事者中心であることが重要であると強調されている。当事者を治療や保護の対象としてではなく、生活の主体者であり意思決定能力のある存在として尊重するという考え方が、福祉サービス提供の基本原則とされていると言えよう。
 個別支援計画を作成する際のポイントとしては、利用者本人が主人公であり、本人がニーズ(課題)を知っているのであり、本人が課題を解決できることを支援者は信じるということが挙げられる。ソーシャルワークにおいて当事者主体という考え方が普及する中で、「エンパワメント」や「ストレングス」モデルが登場した。生活ストレスに対処するクライエント自身をソーシャルワークの主体者として位置づけ、個人や環境の持つ潜在的な能力を引き出し強化するという考え方が、個別支援計画の作成においても取り入れられている。
 当事者の自己責任による自己決定は支援者の放任につながるといった懸念もある。当事者中心の生活支援においては、当事者の意思決定も含めていかに支援するかが重要と言えよう。

以上、817文字

ベストではないけど、
この焦点化でいいのかという疑問はあるけど、
及第点はもらえるのではないかと思います(自画自賛)

ChatGPTの解答例

当事者中心の生活支援とは、支援を受ける本人の意向やニーズを最優先に考え、支援の計画や実施においてその意見を尊重するアプローチである。これは、福祉政策の進展や実践において重要な方向性とされており、個々の利用者が自分の生活を主体的に選択し、コントロールする権利を持つことを前提としている。

最近の福祉政策では、当事者中心の支援が強調されてきた。例えば、日本の障害者総合支援法や介護保険法の改正は、利用者の選択と自己決定を尊重することを目的としている。これにより、支援サービスの選択肢が広がり、利用者自身が自らの生活設計に関与できるようになっている。また、「個別支援計画」の導入により、利用者一人ひとりに応じた支援が行われ、支援の質が向上している。

具体的な福祉実践としては、パーソナル・アシスタント制度や利用者主導のグループホームの設立が挙げられる。パーソナル・アシスタント制度では、利用者が自分のニーズに応じてアシスタントを選び、雇用することができる。これにより、利用者は自分の生活に最も適した支援を受けることができ、より高い満足度と自立支援を実現している。グループホームにおいても、利用者が自らの生活空間の管理に関与し、共同生活のルールを決定することで、より自主的な生活が支援されている。

また、最近ではテクノロジーの進展も当事者中心の支援を後押ししている。例えば、リモートモニタリングやウェアラブルデバイスを用いた支援では、利用者が自宅にいながらも必要なサポートを受けることができ、生活の質を向上させるとともに、支援の柔軟性も高まっている。

当事者中心の支援を実現するためには、支援者と利用者との間での信頼関係が重要である。支援者は利用者の意向を尊重し、コミュニケーションを通じてニーズを正確に把握する努力が求められる。利用者が自分の意見を自由に表現できる環境を整え、支援がその意向に沿う形で提供されることが、支援の質を高める鍵となる。

総じて、当事者中心の生活支援は、利用者の自己決定権を尊重し、その意向に応じた支援を行うことを重視している。最近の福祉政策や実践においては、このアプローチがますます重要視されており、テクノロジーの活用や個別支援計画の導入などが、支援の質の向上に寄与している。

以上、943文字

ChatGPTが話題になり始めた頃のクオリティとは比較にならないレベルに達しているではないか。

終わりに

やりながら、色々思い出しました。

同じテーマでまた書くか、
似たようなテーマで書いてみるか、
書く練習がまだまだ必要だと思いました。

試験当日までもう2か月切っているので、焦った方がいいかも、自分!

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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