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福祉職場のパワハラについて

うさぎに怒られるカエル

私の勤務先(精神障害者の地域移行支援)では非常勤の職員さんの割合が大きく、常勤1に対して非常勤さんが4~5人というくらい。

30年近く続いている法人なのに、その非常勤さんの中で最も長く勤めている方で約5年。複数の事業所合計で、近々5人辞めることになっています。

福祉の職場で離職率が高めなのは承知しているのですが、私の勤務先の仕事は(こう言ってはなんですが)仕事としてはすごく大変というわけではないし(もちろん、それなりに重みのある仕事ですが)、ちょっと変だなと思っていたのですが、私の関わる事業所ではどうやら管理者のパワハラじみた言動が苦痛で辞められる方が多いようでした。

小さな福祉職場のパワハラについて考えます。

目次

パワハラについて知る

パワハラは昔からありますが、電通の社員さんの自殺等深刻な出来事が近年相次いで社会問題化し、政府も対策に乗り出すようになりました。

何がパワハラか、というパワハラの定義や、現在のパワハラ関連の政策については下記ウェブページ等でわかります。

パワーハラスメントの雇⽤管理上の措置義務については、中小事業主も2022年4⽉1⽇から義務化されます(それまでは努力義務)。

小さな福祉職場でも、パワハラに対して無策であってはならないのです。

現在強力なパワハラ推進者は50代以上の男性、中心はバブル世代

これは個人的な感想というか、これまで様々な職場で働いてきた中で得た感覚ですが、今の50代以上の人はパワハラをパワハラと思わず平気で行う人が多いです。

年長者がより大きな権力を持ち発生するものが多いので、パワハラを行う人は年長者が多くなって当然ですが。時代の変化に合わせて変われないのも、年長者の特徴でしょうか。

そして、そういう人たちから強力なパワハラのもと育てられてきた、30代、40代の中にもパワハラを実践する人がいます。

回りまわって受け継がれていくんですね。
貧困やDVと同様、パワハラも連鎖すると。

多くの組織において年長者が権力を持ちます。
今、部長クラス以上になっている、50代以上の特に男性が色々な会社でパワハラしまくっているのではないでしょうか。

パワハラが当たり前の中で過ごしてきた人たちだから、パワハラじみた言動以外での接し方をあまりできないのかもしれません。

でも、それで済む話ではないわけです。

ちなみに、私の今の職場で問題になっている人は50代後半男性。
前職でパワハラ全開だった社長も、サビ管兼管理者も、どちらも50代半ばの男性でした。

ハラスメント防止は法律上義務になった

2019年6月5日に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました(2020年6月1日施行)。

この改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務とされました。

厚生労働省:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!(PDF)

各種ハラスメント防止のための関係者の責務

【事業主の責務】

1) 職場におけるハラスメントを⾏ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること
2) 自社の労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること
3) 事業主自⾝(法⼈の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

【労働者の責務】
1) ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
2) 事業主の講ずる雇⽤管理上の措置に協⼒すること
※ 取引先等の他の事業主が雇⽤する労働者や、求職者も含まれます。

事業主が雇用管理上講ずべき措置

  • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
  • 併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)

職場におけるハラスメントの防止のための望ましい取組

  1. 各種ハラスメントの一元的な相談体制の整備
  2. 職場におけるハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための取組
    コミュニケーションの活性化や円滑化のために研修等の必要な取組を⾏うことや適正な業務目標の設定等の職場環境の改善のための取組
  3. 労働者や労働組合等の参画

自分の職場の問題点

今私の勤め先で問題になっている点を考えました。

一時的に業務過多

諸般の事情で、非常勤さんたちは以前7時間でやっていた仕事を、現在6時間で行っています。

日によって or 人によっては6時間では終わらず、1時間近くの残業になることもままあるようで。

昼休みはあまり取れていないようです。
そして残業代は出ません。(これは違法ではないかと思うのですが・・)

パワハラだし労働条件悪いしでは、「もういいや」という判断に、なりやすいかもしれません。

管理者が職員の支援を否定する

個別支援計画は非常勤職員に知らされません。
利用者支援の目的やゴールが明確でないわけです。
「お任せします」状態で、一見、自由です。

だから非常勤の職員さんたちはそれぞれの視点で支援してくださるのですが、それを管理者が自分の価値観で否定します。
個別にも、会議の場でも。

進むべき道がわからない中で、自分なりに考えてやったことをいとも簡単に否定され、支援者は傷つきます。

会議の場だと、それを見聞きしている人たちも萎縮します。
風通しはどんどん悪くなります。

ハラスメント対策が行われていない、相談窓口が示されていない

中小の事業所ではハラスメント対策がまだ義務化されていないので仕方のない部分はあるのですが。

今のところハラスメント研修も、ハラスメントがあった場合の相談先の明示もありません。

そもそもパワハラの起こりやすい構図

普段の勤務体制は、男性管理者に女性職員1人ととなっています。

ジェンダー格差の大きい日本においてそもそも優位である男性が管理者となっていて、女性のしかも非常勤の職員が1人配置されていることで、ちょっとしたこともパワハラ的になってしまい やすいと言えます。

会議においてもこの管理者がファシリテータとなり、他の職員は全員女性。特定の人に対して当たりがきついこともあります。

私は自分以外の人へのパワハラも苦手で、ZOOMでパワハラ的な言動を見聞きしているだけでも脈がおかしくなることもあったりします。

メンタルケア、スーパービジョンがない

組織的にメンタルケアは行っていません。

以前あったものはコロナ禍で止まったまま。

勤務時に管理者と二人になることが多く、その時にメンタルケアやスーパービジョン的な対話ができればいいのですが、相手がパワハラ上司だと逆効果。

教育研修システムがない

従業員の教育や研修を受けさせないわけではないのです。

以前は講師を招いて研修を行うなどしていたようなのですが、やはりコロナ禍で止まったまま。

社協などから福祉関係の研修案内が来れば共有され、「どんどん受けてね」と言われるのですが、今は個人任せとなっています。

なので、それで大丈夫な人にとってはいいのですが、大丈夫でない人にとっては望ましくない状況です。

非常勤さんたちは自らの成長や支援スキルの向上について考えているのに、法人としてそこに手を差し伸べられていません。非常にもったいないことです。

手取り足取りやった方がいいとまでは言わないけれども、未経験OK、主婦歓迎で雇用しているのだから、法人としては教育研修をある程度システム化しておいた方がいいのではないかと思います。

個別支援計画含む計画や目標が共有されない

前述の通り、私の勤務先では個別支援計画が共有されません。

一度、非常勤の職員さんとも共有した方がいいのではないかと言ったことがあるのですが、ご家族のこととかも書いてあって個人情報がどうのこうのでそれはできないとか言われました。

私の職場では調理実習というものがあって、自立を目指す利用者さんの調理スキルアップにかなりの時間と労力を費やしているのですが、その調理実習についても同様です。

簡単な評価表はあるのですが、長期的な目標がありません。

利用者さん自身が獲得したいスキルなどの個別の達成目標が明確にされず、長期的な視点が欠けているまま、職員が独自の視点で単発的な支援を行うので、支援が非常にしにくい状態です。

そんな中で非常勤の職員さんたちは、それぞれに考え頑張ってやってくれているのに、あっさり否定されるので、モチベーションダダ下がり。当然です。

共有すべき理念、行動指針がない

問題の管理者は、職員の支援を否定したら、対処法を一応は示すのですが、その対処法がまたその人の独断で、対症療法的で、あまり賛同できない場合がままあります。

なぜそうなるか?
共有するべき理念や行動指針がなく、どのような支援が望ましいのかについて考える際の拠り所がない中で、一人の管理者が自身の価値観で断じるからです。

もちろん、理念や行動指針があれば全てうまくいくというわけではありません。

理念や行動指針に即して、職員一同が意識を合わせて同じ方向を向いて進んでいくためには、相当な努力が必要です。

良質なコミュニケーションを、前向きに積み重ねて初めて可能になります。

管理者がネガティブ

何が問題かって、この管理者がとてもネガティブなんです。

前向きでポジティブな議論になかなかならない。

「困らなきゃ変わらない」が口癖。

前向きな失敗経験の積み重ねで学習することはもちろんたくさんありますが、嬉しい!楽しい!の積み重ねで変わっていく部分もたくさんあるのに、それはどうも理解できないようです。

まぁ、失敗を奨励しているだけあって、人の失敗に対して比較的寛大だなぁとは思うのですが。

とはいえ、管理者がネガティブな発言を度々していると、周囲の人も気分がネガティブになっていきます。
支援者も、利用者も。

利用者さんに対して彼がネガティブな対応をしているのを傍から見ていると、辛くなります。

人権問題

結局、人権問題なんです。

福祉職員なら、人権問題に対して敏感でなければならないと思うのですが、彼はどうもその辺りの意識が薄いように思われます。彼は精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士の資格を持っていて、十分に勉強はしたはずなのですが。

対職員だけでなく、利用者さんに対する接し方で、それってハラスメントでないかい?と感じたことは一度や二度ではありません。

普通に言えばいいのに、どうしてそういう言葉選びをするかぁ、なんでそういう口調になるかなぁと思うのです。

そういうところに同じく疑問を持つ利用者さんが、やはりパワハラまがいの言い方をされた時の会話を録音していて、私に聞かせたりすることがあります。

障害者を障害者扱いしない、というのは彼の信念のようで、対等に接するのはいいのですが。それを通り越して、尊厳を傷つける対応になっていると思うのです。

まして人一倍感じやすい感覚を持っている人であれば、余計に傷つき辛いのではないか。
心が痛みます。

まとめ

パワハラ対策の王道を進むしかないのかな、と思います。

まずは、問題があることを組織として認めて、法律で定められたこと取り組みを行い、望ましいとされていることにも取り組む。

地道に取り組み続けて、職場全体の意識を変えていく他ないように思います。

近々辞めてしまう非常勤の職員さんたちからお話を聴いて、何もしないではいられず、勤務先の偉い人に相談しました。
明日、個別にお話できることになっています。

良い方向に進みますように。。

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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