こんにちは。
就労移行支援事業所で就労支援員として働いているブジカエルです。
就労移行支援事業所で仕事をしていると、「計画相談」という言葉をしばしば耳にします。
就労移行支援事業所は、多くの利用者さんが計画相談事業所等で相談して作られた「サービス等利用計画」に基づいて支援計画を立て、支援を行います。
今回は、相談支援事業および相談支援と就労移行支援の関係について理解するために、相談支援事業をその内容から整理します。
相談支援事業は相談の内容から3つに分類される
障害のある人が、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるようにするために、相談支援事業があります。
相談支援事業を分類する基準はいくつかあるのですが、ドコモ・プラスハーティの3つに分ける分け方が理解しやすかったのでご紹介します。
ドコモ・プラスハーティでは、相談の内容に応じて相談支援を以下の3つに分けています。
- 基本相談(様々な相談に対応)
- 計画相談(福祉サービスの利用を支援)
- 地域相談(施設や病院を出て暮らせるように支援)
先に述べたように、就労移行支援事業所では多くの場合、2の計画相談で作られた「サービス等利用計画」に基づいて支援を行います。
参考:ドコモ・プラスハーティ 相談支援 よくわかる相談支援~計画相談、地域移行支援、地域移行支援~
厚生労働省の「相談支援」の分類
厚生労働省ウェブサイト「障害のある人に対する相談支援について」のページでは、相談支援を以下の5つに分類しています。
- 障害福祉サービス等の利用計画の作成(計画相談支援・障害児相談支援)
- 地域生活への移行に向けた支援(地域移行支援・地域定着支援)
- 一般的な相談をしたい場合(障害者相談支援事業)
- 一般住宅に入居して生活したい場合(住宅入居等支援事業(居住サポート事業))
- 障害者本人で障害福祉サービスの利用契約等ができない場合(成年後見制度利用支援事業)
ドコモ・プラスハーティ分類との対応は概ね以下のようになります。
ドコモ・プラスハーティ分類 | 厚生労働省分類 |
基本相談 | 一般的な相談をしたい場合 |
計画相談 | 障害福祉サービス等の利用計画の作成 |
地域相談 | 地域生活への移行に向けた支援 |
相談支援事業の「基本相談」とは
「基本相談」とは、障害福祉、障害者の生活に関する様々なこと(例:今直面している問題・課題、将来の暮らし・生活)について、障害者本人や家族・保護者などからの相談に応じるもの。
障害福祉サービスを利用する・しないは関係なく相談することができ、相談の内容に応じて以下のようなことを行います。
- 必要な情報を提供
- アドバイス
- 福祉サービスの利用支援
- 権利擁護のために必要な援助
- 市町村や障害福祉サービス事業者との連絡調整
市町村が直営で実施していることもありますが、地域で障がい福祉に専門性のある社会福祉法人などが市町村からの委託で実施している場合が多いです。
また、こうした相談支援事業を効果的に実施するために、自立支援協議会が設置され、中立・公平な相談支援事業の実施や地域の関係機関の連携強化、社会資源の開発・改善が推進されています。
相談支援事業の「計画相談」とは
「計画相談」は、「サービス利用支援」と「継続サービス利用支援」の2種類に分けられます。
サービス利用開始前は「サービス利用支援」で、サービス等利用計画についての相談及び作成などの支援が必要と認められる場合に、障害者本人やその家族、またはその両方からの相談に応じ、障害福祉サービスを申請する際に必要となる「サービス等利用計画」を作成し、障害者(児)の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援します。
市町村からの支給決定後は「継続サービス利用支援」で、
- 障害福祉サービス事業者などとの連絡調整やサービスの利用調整
- 支給決定を受けている障がい児者の生活状況や福祉サービスの利用状況などの確認(モニタリング)
- (必要に応じて)関係機関を集めた担当者会議を開催
- 支給決定の更新、見直しなどに関する調整
といったことを行います。
相談支援事業の「地域相談」とは
「地域相談」は、施設や病院を出て暮らせるように支援するもので、地域相談には「地域移行支援」と「地域定着支援」の2つがあります。
「地域移行支援」は、入所施設や精神科病院、矯正施設(刑務所など)等からの退所・退院にあたって支援が必要な人に対して、入所施設や精神科病院等における地域移行の取り組みと連携しつつ、地域移行に向けた支援を行うものです。
「 地域定着支援」は、入所施設や精神科病院、矯正施設(刑務所など)から退所・退院した人、家族との同居から一人暮らしに移行した人、地域生活が不安定な人等に対し、地域生活を継続していくための支援を行うものです。
終わりに
就労移行支援をはじめ、障害がある人の生活を支える福祉サービスは、種類がたくさんあって複雑です。
相談支援は、その複雑なサービスをうまく使うためのお手伝いを提供するもの、ということでした。
県の指定基準などを読むと、相談支援事業における人員配置では、相談支援専門員を最低1人は置かなければならないと書いてあったりします。
障害福祉に携わっていると、キャリアを積み重ねる中で「相談支援専門員」の資格を取得することも視野に入ってくるのでした。