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就労移行支援事業所は乱立中!現場で必死感満載の支援員から新人支援員さんに伝えたいこと

障害福祉の相談支援事業とは

近年、障害者の法定雇用率の引き上げが続いていたこともあって、就労移行支援事業所を利用する人も右肩上がり。
就労移行支援事業所数も右肩上がり。

このような状況下、就労移行支援の現場ではどのようなことが起こっているでしょうか?
また、今後の就労移行支援はどうなっていくでしょうか?

この記事では、就労移行支援事業所が乱立している今、その支援員になりたての方や、これから就労移行支援に挑戦しようとしている人に知ってほしいことをまとめました。

目次

乱立している就労移行支援事業所

障害者福祉においては、就労移行支援は始めやすく儲かりやすいこともあって、2018年まで事業所が増え続けていました※。

利益を上げやすいというのは、現行制度でそうなっているからであって、今後変わる可能性は高いですが。現状では、就労継続などの他の就労系支援や、障害児を対象とするサービスと比較すると、稼ぎやすい。ドル箱です。

というわけで、就労移行支援事業所はもはや乱立状態。

リタリコ、ココルポートといった、就労移行支援サービスを展開する大手企業は、既に持っているノウハウを生かして事業所をどんどん増やしていくし。

儲かる話なら首を突っ込まないではいられない、ヤクザ屋さんのような人も参入してきます。

就労移行支援事業所のクオリティは当然、玉石混交。

厚生労働省の調査によると、就労移行支援事業所の数は2018年に過去最高となった3503から、翌2019年には3399か所に減っていました。淘汰が始まったのかもしれません。

就労移行支援で支援員を目指す人にとってのメリットとデメリット

就労移行支援事業所がどんどん増えると、求職中の人や転職を考えている人にとっては、どんなメリットとデメリットがあるでしょうか?

事業所が増えることのメリット

就労移行支援事業所が増えると、

  • 異業種から福祉への転職を目指す人
  • 他の福祉領域から障害者福祉を目指す人
  • 他の障害者福祉領域から就労移行支援を目指す人

こういった方々にとっては、職を得やすくなる、チャンスが広がる、というメリットがあります。

特に、異業種から福祉への転職を目指していて、「福祉といっても、介護しかないかも・・」と思い込んでいる人には朗報かもしれません。

就労移行支援では、福祉以外の業務の経験が非常に活きます。

普通にオフィスワークなどをしてきて、これから福祉を目指そうという人にとっては、福祉や対人援助が未経験でも、今までの経験をかなり生かせる職種。就労移行支援の生活支援員や就労支援員は、大活躍できる職種かもしれません。

また、国家資格キャリアコンサルタントの資格を取ったものの実務経験を積む機会がないという人にとっても、就労移行支援は良い実務経験の場になるのではないでしょうか。

キャリコンはとにかく、実務経験が大事。
今後キャリコンとしてのキャリアを積むにしても、まず実務経験がないことにはそのファーストステップが難しいという人も多いのではないでしょうか。

その点、就労移行支援事業所は現状、未経験でも入職しやすく、実務経験のスタートとしては入りやすい現場です。

また、人材紹介や派遣系の職務と異なり、短いスパンで厳しいノルマが課されたり、そのために意に沿わない仕事を紹介するようなことも必要ありません。目の前にいる人の、本当にその人のためになることをするという、素晴らしい仕事です。

事業所が増えることのデメリット

当然、デメリットもあります。

先にも述べたように、就労移行支援事業所のクオリティは玉石混交。
未経験でも入れるところは、それなりにその訳があるかもしれません。ないかもしれませんが・・

運が悪いと、私のようにとんでもない事業所に就職してしまうかもしれません。

その事業所で働いていけるのか?
ブラックなポイントはないか?
しっかり確認することをお勧めします。

就労移行支援事業所のクオリティを見極めるポイント

職場に求める環境は、人それぞれ異なりますが、「長時間残業、サービス残業、仕事の持ち帰り」といった労働時間に関することや、「パワハラ・セクハラ・モラハラ」などの各種ハラスメント、その他労働法で定められているようなことに関しては当然注意するべきポイントですが、ここでは、就労移行支援に限ってはこれも見た方がいいよ!というポイントをご紹介します。

全国で3000を超える就労移行支援事業所の中には、質の低い支援を行う事業所も恐らくたくさんあります。

事業所のクオリティを見極めるポイントも色々ありますが、まずは以下の2つ。

ポイント1:利用者さんの就職率・定着率

就職率0%の就労移行支援事業所も珍しくないこの業界。
利用期間の2年を費やして、結局就職できずじまいの人がたくさんいるんです。

ということは、私の勤務先よりも支援のクオリティが低い事業所が、恐らくたくさんあるのです。

ひどい話ですよね。

私の勤務先事業所の業務レベルもかつては相当低かったと思うのですが(今はかなりマシになってきた)、それでも事業開始以来就職率&定着率100%を保っているので、かなりマシな方ではあるかと。

ちなみに、途中で他の事業所に移る等でやめる人もまれにいます。そういう方に関しては、その後どうなったのかわからないので計算には入れていません。

もし、本当にちゃんと就労移行支援の仕事をしたいと思うのであれば、応募先事業所の就職率・定着率がどれほどであるのか、確認してみるといいと思います。

ポイント2:従業員の定着率

私の勤務先の事業所では、従業員の定着率がとても低くて、離職率が大変高く、3年以内の離職率は100%です。

1年以内の離職率が約80%。
2年以内の離職率は約95%。

他の福祉領域ではわかりませんが、就労移行支援では、支援者がコロコロ入れ替わるのは望ましくないと思います。

利用者さんの成長と就職、定着のためには、支援とその検証の積み重ねがとても大事なので(と思うんです)、支援員が入職から1年もしないうちに次々に姿を消してしまうのは、利用者さんの不利益に直結する事態。

また、人が蓄えていく様々な知識やスキルについても十分には後進の人に伝わらず、事業所としてのレベルの低さにもつながります。

従業員がある程度入れ替わるのは、様々な視点があるという点においてはメリットとなりますが、私の勤務先のように、3年間で30人退職してしまって事業所開始当初から残っている人が一人もいないような状況は、利用者さんにとっても、従業員にとっても、デメリットでしかありません。

その他のポイント

他は、一般的なことですが、以下のようなこともポイントになるかと。

  • 清潔か、片付いているか
  • 利用者の態度、空気感

こういったことに、その事業所のクオリティが染み出るのではないかと思います。

これからの就労移行支援を担う方へ

私は勤務先の事業所(というか社長)のアホさ加減にうんざりしたので、タイミングを見て年内に退職するつもりでいます。

利用者さんへの関わりが半端になってしまうことが心残りではありますが、会社に対するネガティブな感情が大きくなってしまい、そんな感情を持ちながら利用者さんに良い関わり方ができるのか?残念ながらその自信を保てない状態になってしまいました。

でも、勤務先の事業所は今後も就労移行支援を続けるし、質の悪い就労移行支援事業所は今後もたくさんの存在し続けることでしょう。

就労移行支援のクオリティの低さは、就労を目指して頑張る利用者さんたちの不利益に他なりません。

もし私のように、就労移行支援事業所に入職したものの、ろくに研修もOJTもない中で、何をどうしたらいいのか迷い悩むことがあったら、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

福祉&対人援助未経験で私が入職して間もなく、他の支援員が全員辞めてしまい、就労移行支援の経験のないサビ管とたった2人で事業所に残されました。

そんな中、2人で必死になって業務をまわしながら、知識とスキルの習得にも必死になって取り組んだ成果をまとめました。

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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