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問題58|第23回 精神保健福祉士 国家試験 ④精神保健福祉の理論と相談援助の展開

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

事例問題4

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
 政令指定都市のP市保健所で働くL精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)(以下「L相談員」という。)に、P市に住む父親のMさん( 80歳)と長女のAさん( 50歳)の事で、民生委員から相談があった。「ごみが庭にあふれ悪臭もあり、近隣住民が不安に思っている。Mさんは外に向かって怒鳴るし、Aさんの姿を見なくなった。精神的な病気があるかもしれないので保健所に相談に来た。MさんとAさんが心配だ」とのことだった。次の日、L相談員はMさん宅を訪問した。(問題58)
 玄関から声をかけるとMさんは、「俺の勝手だ。ほっといてくれ」と強い口調で言いドアを閉めた。Aさんの姿は確認できず、名刺を置いてMさん宅を離れた。L相談員は、Mさん親子についての情報収集や今後の支援方法を、関係機関と検討する必要があると判断し、地域包括支援センターに連絡した。その結果、地域ケア会議が開かれることとなり、初回会議にはL相談員の他に地域包括支援センターの保健師、社会福祉協議会の福祉活動専門員、P市高齢福祉課の担当者、民生委員が参加した。(問題59)
L相談員が訪問を続けると、Aさんが玄関先に出てくれるようになった。2か月が過ぎた頃Aさんから、「何とかしようと思っていました。でも父は怒りやすくなり、話もかみ合わなくて。私も気分が落ちて、朝は布団から出られなくなって。2年前に15年ほど勤めた会社を辞めたんです。それから、どうしようもなく…」と話があった。詳しく話を聴くと、Mさんには認知症、Aさんには精神疾患の疑いがそれぞれあり、支援を希望していることが分かった。
 チームによる支援を続け1年が過ぎた。少しずつ居住環境は改善されつつある。また、現在Mさんは通所介護(デイサービス)を利用しており、Aさんは精神科クリニックへ通院を続けている。Aさんは、「気持ちが落ち着いてきたような気がします。でもこれからですね」とL相談員に話した。この支援をきっかけに、L相談員はMさん親子のような課題を持つ方への支援の充実や支援体制の構築が必要と考え、「障害者総合支援法」に基づくP市協議会で検討することを提案してきた。(問題60)

(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

目次

問題58 次のうち、この時点のL相談員が行った援助方法として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. アドミニストレーション
  2. アサーション・トレーニング
  3. アウトリーチ
  4. アクションリサーチ
  5. アクティング・アウト

設問について

地域を基盤にした援助の方法と、援助の展開過程についての理解が問われる問題。

地域で援助を受けてこなかったケースが発見されようとする段階で、援助者が行うことは?

各選択肢について

選択肢1:アドミニストレーション

×

アドミニストレーション=組織の管理、運営、行政、等を意味する。

ソーシャル・アドミニストレーションはイギリスの大学でソーシャル・サービスを研究,教育する学部名となっており,一つの学問分野と認められている。ただ,それが固有の知識体系を持った学問領域disciplineであるか否かについては,議論が分かれている。現代国家の行政研究の領域が,福祉国家体制の拡充とともに,大きくパブリック・アドミニストレーション(行政学)とソーシャル・アドミニストレーション(以下SA)に分化されたと考えることができる。

コトバンク

「ソーシャル・アドミニストレーション」=社会福祉運営管理。
1920年代からイギリスで研究されるようになった。イギリスでは、国・自治体の社会福祉行政、制度の運営管理という広い意味で用いられている。内容は、①ニーズの分析・評価、②政策の選択・形成、③サービス事業の計画、④サービス提供体制の組織化、⑤実施過程の進行管理・事後評価、⑥サービス効果等に関する政策・運営主体へのフィードバック。

選択肢2:アサーション・トレーニング

×

アサーション<自己表現>トレーニングとは、自分も相手も大切にした自己表現を身につけていくためのトレーニングです。自分の気持ち、考え、信念等を正直に、率直にその場にふさわしい方法で表現できるコミュニケーションを目指します。 ひとりひとり違う私たちだからこそ、時にはそれぞれの考えや思いが対立したり、葛藤を起こす場面もありますが、それにどう向き合い、自分らしい自己表現をしていくかを考え、身につけていく講座です。

株式会社 日本・精神技術研究所

選択肢3:アウトリーチ

《「手を差しのべること」の意》
1 援助が必要であるにもかかわらず、自発的に申し出をしない人々に対して、公共機関などが積極的に働きかけて支援の実現をめざすこと。医療機関が、在宅の患者や要介護者を訪問して社会生活を支援する活動など。訪問支援。

コトバンク

選択肢4:アクションリサーチ

×

社会心理学者 K.レビンが提唱した,集団力学の理論を社会生活に応用し,具体的な事態の改善を試みることを意図する研究。集団活動の過程を,実際の展開場面において,しかも実験的に刺激を加え,それによって生じた変動の過程として観察,記録していく。

コトバンク

選択肢5:アクティング・アウト

×

行動化・攻撃・受動的攻撃・統制の防衛機制の記事はとても参考になるのですが、出典・参考資料等が1つも記載されておらず、メディアとしての信頼度は低め。

意識したくない「無意識の衝動・欲求・感情・葛藤」が意識化されそうになったとき、それを回避しようとする防衛反応のことを言う。「行動化」とも呼ばれてる。
自覚ができていない衝動・欲求・感情・葛藤が、言葉としてではなく行動として表れる。
自傷行為、自殺企図、暴力行為などが含まれる。

ナース専科

行動化 acting out(アクティング アウト)とは

対処機制の1つ。自分がおかれている現状や感情から逃げ出したいという衝動や願望を、何らかの行動で示すこと。

マイナビ ナースプラス

正答

3(アウトリーチ)

第23回 精神保健福祉士 国家試験 全問題はこちら

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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