こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
問題62 「医療観察法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
- 精神保健審判員は生活環境調査を実施する。
- 検察官からの申立てを受けた家庭裁判所は合議体を形成する。
- 通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。
- 地方裁判所は処遇の実施計画を作成する。
- 入院処遇における退院の決定は、保護観察所が行う。
設問について
医療観察法の審判や手続きに関わる人の役割についての理解が問われる問題。
中央法規当該科目テキスト第6版p322~等。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
各選択肢について
選択肢1:精神保健審判員は生活環境調査を実施する。
×
精神保健審判員は、審判において裁判官とともに合議体を形成し、精神障害者の医療に関する学識経験に基づき意見を述べる等して、対象者の処遇を決定する(医療観察法第6条第1項、第11条第1項、第13条第2項、第41条等)。
生活環境調査を実施するのは、社会復帰調整官。
社会復帰調整官とは
法務省ホームページ
保護観察所に勤務し,精神障害者の保健及び福祉等に関する専門的知識に基づき,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進するため,生活環境の調査,生活環境の調整,精神保健観察等の業務に従事します。
選択肢2:検察官からの申立てを受けた家庭裁判所は合議体を形成する。
×
検察官からの申立てを受けるのは、家庭裁判所ではなく地方裁判所。
審判
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部
処遇を決定するための審判は、地方裁判所の裁判官1名と「精神保健審判員」と呼ばれる精神科医1名(鑑定医とは別の医師)の合議体で行います。裁判所は、処遇の要否と内容について、「精神保健参与員」に精神保健福祉の観点に基づく意見を求めます。審判の結果、入院処遇、通院処遇、不処遇のいずれかが決定します。
選択肢3:通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。
〇
(保護観察所の長による申立て)
第五十四条 保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があると認めることができなくなった場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、直ちに、地方裁判所に対し、この法律による医療の終了の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
2 保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために当該決定による入院によらない医療を行う期間を延長してこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、当該期間が満了する日までに、地方裁判所に対し、当該期間の延長の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
3 指定通院医療機関及び保護観察所の長は、前二項の申立てがあった場合は、当該決定により入院によらない医療を行う期間が満了した後も、前二項の申立てに対する決定があるまでの間、当該決定を受けた者に対して医療及び精神保健観察を行うことができる。
医療観察法
選択肢4:地方裁判所は処遇の実施計画を作成する。
×
処遇の実施計画を作成するのは、保護観察所の長。
(処遇の実施計画)
第百四条 保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定があったときは、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長と協議の上、その処遇に関する実施計画を定めなければならない。
2 前項の実施計画には、政令で定めるところにより、指定通院医療機関の管理者による医療、社会復帰調整官が実施する精神保健観察並びに指定通院医療機関の管理者による第九十一条の規定に基づく援助、都道府県及び市町村による精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第四十七条又は第四十九条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十九条その他の精神障害者の保健又は福祉に関する法令の規定に基づく援助その他当該決定を受けた者に対してなされる援助について、その内容及び方法を記載するものとする。
3 保護観察所の長は、当該決定を受けた者の処遇の状況等に応じ、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長と協議の上、第一項の実施計画について必要な見直しを行わなければならない。
選択肢5:入院処遇における退院の決定は、保護観察所が行う。
×
入院処遇における退院の決定は、保護観察所ではなく、地方裁判所で開催される審判で行う。
医療観察法における対象者の処遇は、すべてこの審判で決定される。
退院の許可等の申立て:入院している者、その保護者又は付添人は、地方裁判所に対し、退院の許可又はこの法律による医療の終了の申立てをすることができる(医療観察法第50条)。指定入院医療機関の管理者は、社会に復帰することを促進するために入院を継続させてこの法律による医療を行う必要があると認めることができなくなった場合は、保護観察所の長の意見を付して、直ちに、地方裁判所に対し、退院の許可の申立てをしなければならない(医療観察法第49条)。
正答
3(通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。)