こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
問題67 「医療観察法」における地域処遇に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 地方裁判所は、6か月ごとに通院処遇の継続の確認を行う。
- 指定通院医療機関は、対象者自身で決めることができる。
- 担当の精神保健参与員は、日常生活における相談に応じる。
- 指定通院医療機関での通院医療費は、「障害者総合支援法」における自立支援医療の対象となる。
- 対象者本人は、原則として保護観察所が主催するケア会議に出席して意見を述べることができる。
(注1)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
(注2)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
設問について
医療観察法についての理解が問われる問題。
中央法規当該科目テキスト第6版p316~。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
各選択肢について
選択肢1:地方裁判所は、6か月ごとに通院処遇の継続の確認を行う。
×
(通院期間)
医療観察法
第四十四条 第四十二条第一項第二号の決定による入院によらない医療を行う期間は、当該決定があった日から起算して三年間とする。ただし、裁判所は、通じて二年を超えない範囲で、当該期間を延長することができる。
入院処遇の入院期間に上限を定めた規定はありません。
医療観察法.net
指定医療機関は入院決定後6ヶ月ごとに裁判所に入院継続の確認の申し立てをしなければならないという規定(第49条)がありますが、これを裁判所が認める限り、この延長は限りなく更新されます。その更新延長に限度を設ける規定はありません。
選択肢2:指定通院医療機関は、対象者自身で決めることができる。
×
指定通院医療機関は厚生労働大臣が定める。
(入院等)
同上法
第四十三条 前条第一項第一号の決定を受けた者は、厚生労働大臣が定める指定入院医療機関において、入院による医療を受けなければならない。
2 前条第一項第二号の決定を受けた者は、厚生労働大臣が定める指定通院医療機関による入院によらない医療を受けなければならない。
3 厚生労働大臣は、前条第一項第一号又は第二号の決定があったときは、当該決定を受けた者が入院による医療を受けるべき指定入院医療機関又は入院によらない医療を受けるべき指定通院医療機関(病院又は診療所に限る。次項並びに第五十四条第一項及び第二項、第五十六条、第五十九条、第六十一条並びに第百十条において同じ。)を定め、その名称及び所在地を、当該決定を受けた者及びその保護者並びに当該決定をした地方裁判所の所在地を管轄する保護観察所の長に通知しなければならない。
4 厚生労働大臣は、前項の規定により定めた指定入院医療機関又は指定通院医療機関を変更した場合は、変更後の指定入院医療機関又は指定通院医療機関の名称及び所在地を、当該変更後の指定入院医療機関又は指定通院医療機関において医療を受けるべき者及びその保護者並びに当該医療を受けるべき者の当該変更前の居住地を管轄する保護観察所の長に通知しなければならない。
選択肢3:担当の精神保健参与員は、日常生活における相談に応じる。
×
(精神保健参与員の関与)
同上法
第三十六条 裁判所は、処遇の要否及びその内容につき、精神保健参与員の意見を聴くため、これを審判に関与させるものとする。ただし、特に必要がないと認めるときは、この限りでない。
審判
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部
処遇を決定するための審判は、地方裁判所の裁判官1名と「精神保健審判員」と呼ばれる精神科医1名(鑑定医とは別の医師)の合議体で行います。裁判所は、処遇の要否と内容について、「精神保健参与員」に精神保健福祉の観点に基づく意見を求めます。審判の結果、入院処遇、通院処遇、不処遇のいずれかが決定します。
社会復帰調整官とは
法務省>社会復帰調整官について
保護観察所に勤務し,精神障害者の保健及び福祉等に関する専門的知識に基づき,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進するため,生活環境の調査,生活環境の調整,精神保健観察等の業務に従事します。
選択肢4:指定通院医療機関での通院医療費は、「障害者総合支援法」における自立支援医療の対象となる。
×
医療観察法の医療費は通・入院費ともに国(厚生労働省)から支出されます。通常の健康保険の取り扱いではありません。医療法の保険点数に準じていますが、医療観察法独自の項目が付加された点数制が設定されています。対象者の自己負担はありません。しかし、通院命令を受けた対象者(以下、通院対象者)が精神保健福祉法にのっとった入院をした場合はその個人が持っている健康保険を使い入院する扱いとなり、従って自己負担も発生します。
医療観察法.net
また、通院対象者の通院にかかる交通費は対象者負担となります。対象者が生活保護法の適用を受けている場合、交通費は生活保護予算から支出されます。そうでない場合は対象者の自己負担となります。医療観察法の指定通院医療機関の数が少ない現在は、遠距離通院となる場合が少なくなく、交通費の自己負担は場合によっては大きな負担になることがあります。
なお、通院対象者に訪問看護が実施される時には、訪問看護料、訪問看護にかかる交通費は医療観察法医療費扱いとなります。
選択肢5:対象者本人は、原則として保護観察所が主催するケア会議に出席して意見を述べることができる。
〇
地域社会における処遇を進める過程では,保護観察所と指定通院医療機関,精神保健福祉関係の諸機関の各担当者による「ケア会議」を行うこととしています。
法務省>医療観察制度Q&A
ケア会議を通じ,関係機関相互間において,処遇を実施する上で必要となる情報を共有するとともに,処遇方針の統一を図っていくこととしています。
具体的には,処遇の実施計画を作成するための協議を行うほか,その後の各関係機関による処遇の実施状況や,本人の生活状況等の必要な情報を共有し,実施計画の評価や見直しについての検討を行います。また,保護観察所が裁判所に対して行う各種申立て(本制度による処遇の終了,通院期間の延長,入院)の必要性についての検討や,病状の変化等に伴う対応などについても検討されます。
ケア会議は,保護観察所が,定期的又は必要に応じて,あるいは関係機関等からの提案を受けて開催され,関係機関の担当者のほか,場合によっては,本人やその家族等も協議に加わることがあります。
ケア会議で共有される本人に関する情報の取扱いについては,個人情報の保護の観点から特段の配慮が必要となります。
正答
5(対象者本人は、原則として保護観察所が主催するケア会議に出席して意見を述べることができる。)