こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
事例問題4
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
X地域活動支援センター(Ⅰ型)(以下「センター」という。)は、近隣のR市中学校より中学2年生を対象とした福祉教育の依頼を受けた。「総合的な学習の時間で精神障害を取り上げたい。生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ機会になってほしい」という。センターに勤務するK精神保健福祉士は、以前、センターの利用者に、「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことを思い出し、改めてセンターに期待される役割を考えた。(問題58)
依頼を受けたK精神保健福祉士は、中学校教諭、センター利用者、民生委員、同僚の精神保健福祉士たちと共同検討会を行い、授業の目的や内容について協議を始めた。授業で取り上げる精神疾患の種類や知ってほしい社会資源を検討していた時、センターの利用者から、「病気やサービスの説明だけで生徒がこころの健康を考えたり、障害のある人と一緒に生きていけるような地域をつくれるだろうか。講義だけでいいのでしょうか?」との意見が出された。そこでK精神保健福祉士は次のように発言した。(問題59)
検討会を重ねるうちに、それぞれの思いや願いを率直に語る雰囲気ができ、各々の立場での考え方を共有していった。生徒たちのメンタルヘルス、地域での精神障害者の生活、感じる偏見などの話題を通して授業の目的や内容が明確になり、案がまとまった。授業のテーマは、「誰かに相談することは自分と大切な人を守る」とし、内容はプログラム1としてメンタルヘルスや当事者体験の講義、プログラム2として交流体験型学習と決定した。(問題60)
授業実施後、生徒たちから、「誰もが一日一日を一生懸命生きていることが分かった」、「自分と周りの人を大切にして行動したい」などの感想が寄せられた。また教諭より、「当事者の方と交流して、地域で共に生きることを生徒たちが考える機会になった」とコメントがあった。その後、K精神保健福祉士は授業についての報告書をまとめ、この取組を他でも展開していけるよう教育委員会に働き掛けを行っている。
問題58 次のうち、この時点でK精神保健福祉士が考えたX地域活動支援センター(Ⅰ型)の役割として、適切なものを1つ選びなさい。
- 地域における連携強化のための調整
- 障害に対する理解の促進のための普及啓発
- 在宅障害者への社会適応訓練
- 地域のボランティア育成
- 相談支援事業の実施
設問について
地域活動支援センターの役割についての理解が問われる問題。
地域活動支援センターについては、中央法規「生活支援システム」テキストp143, 152, 279。
地域活動支援センターは、利用者が地域において自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、利用者を通わせ、創作的活動または生産活動の機会の提供および社会との交流の促進を図るとともに、日常生活に必要な便宜の供与を適切かつ効果的に行う。
業務は、地域で生活する精神障害者の日常生活支援、地域住民との交流を通した普及啓発活動、当事者活動の支援等。
規模や利用人数により、I型・II型・III型に分類され、機能強化事業の内容が異なる。
地活の事業内容
- 基礎的事業:創作的活動、生産活動、社会との交流の促進等
- 機能強化事業
Ⅰ型:精神保健福祉士等の専門職員を配置し、医療・福祉及び地域の社会基盤との連携強化のための調整、地域住民ボランティア育成、障害に対する理解促進を図るための普及啓発等
II型:雇用・就労が困難な在宅障害者に対し、機能訓練、社会適応訓練、入浴等のサービスを実施
III型:地域の障害者のための援護対策として地域の障害者団体等が実施する通所による援護事業の実績を概ね5年以上有し、引き続き援護事業を実施
各選択肢について
選択肢1:地域における連携強化のための調整
×
今回の依頼が地活と学校の連携強化に発展することは考えられる。が、今回の依頼の目的は連携強化ではなく、生徒に対するメンタルヘルスや精神障害との地域共生に関する普及啓発。
選択肢2:障害に対する理解の促進のための普及啓発
〇
選択肢3:在宅障害者への社会適応訓練
×
学校の希望と異なる。
ちなみに、雇用・就労が困難な在宅障害者に対し、社会適応訓練等のサービスを実施するのは、地活II型の機能強化事業。
選択肢4:地域のボランティア育成
×
生徒がボランティア活動をするようになる可能性はあるし、地域住民ボランティア育成事業を実施するのは地活I型の事業でもあるが、学校の希望と異なる。
選択肢5:相談支援事業の実施
×
当該事例における学校の希望は、障害者等当事者等の相談支援ではなく中学校の生徒の教育。
正答
2(障害に対する理解の促進のための普及啓発)