〔事例〕
Lさん(35歳、女性)の勤める会社は、社員の業務負担が過重になっていた。その中で、Lさんは、週末も休みを取れず毎日終電で帰宅する生活を送り、過労で仕事に集中できなくなっていた。ある日Lさんは、商品の発注を誤り、多額の損失を出してしまった。Lさんはその責任を問われ、社内の人間関係も悪化する中で事後対応に3か月間当たった。Lさんはある朝から出勤できなくなり、Y病院の精神科を受診したところ、うつ病と診断された。業務負担以外には、心理的負荷の掛かる出来事はなかった。
Y病院のM精神保健福祉士は、Lさんは、「心理的負荷による精神障害の認定基準」に該当しているのではないかと考えた。M精神保健福祉士はLさんと一緒に所定の書類を作成し、Z機関に提出するように勧めた。(問題70)
Lさんからの書類を受理したZ機関は、審査を行った上で業務中の災害と認定した。この認定を受けたことによって、LさんはY病院に支払っていた治療費を、後日、全額受け取ることができた。(問題71)
Lさんはしばらく休職して、退職した。Lさんは一人暮らしで、友人は仕事や子育て等で忙しく、人と話ができる居場所が欲しいと考えるようになった。Lさんは通院時にM精神保健福祉士に相談し、M精神保健福祉士はケアマネジメントを実施する役割を担っているU機関を紹介した。U機関のA相談支援専門員(精神保健福祉士)は、Lさんが希望する生活を丁寧に聞き取りながら、Lさんがより豊かに生活していくことができるように計画を作成した。そこには、就労継続支援B型事業所及び地域活動支援センターの利用や、Lさんが自らの体験をいかした活動を行うこと、一人暮らしの人が集まる食事会に参加することなどが盛り込まれていた。(問題72)
活動への参加を通してもう一度働きたいと考えたLさんは、自分のペースで仕事のできる再就職先を見付け新たな生活をスタートさせた。
問題72 次のうち、A相談支援専門員(精神保健福祉士)が作成した計画として、正しいものを1つ選びなさい。
- 処遇実施計画
- 地域移行支援計画
- サービス等利用計画
- 居宅サービス計画
- 個別支援計画
設問について
福祉の専門職の業務に関する理解が問われる問題。
正答以外の選択肢についても、福祉の専門職が何の法律に基づき何という計画を作るか知っておきたい。
相談支援専門員の業務については、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」がある。
各選択肢について
選択肢1:処遇実施計画
×
処遇実施計画は、医療観察法に基づき保護観察所の社会復帰調整官が中心となって作成する。
医療観察法の通院による医療の決定(入院によらない医療を受けさせる旨の決定)を受けた人及び退院を許可された人については、保護観察所の社会復帰調整官が中心となって作成する処遇実施計画に基づいて、原則として3年間、地域において、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定通院医療機関)による医療を受ける。
選択肢2:地域移行支援計画
×
地域移行支援は、総合支援法の地域相談支援の1つで、障害者支援施設や救護施設・更生施設、刑事施設、精神科病院等に入所・入院している障害のある人の地域生活への移行を支援するもの。サービスの内容は下記の通り。
- 住居の確保その他の地域生活に移行するための活動に関する相談
- 地域生活への移行のための外出時の同行
- 障害福祉サービス(生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援に限る)の体験利用
- 体験宿泊
- 地域移行支援計画の作成
選択肢3:サービス等利用計画
〇
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」によると、相談支援専門員は、サービス等利用計画の作成に当たっては、利用者の希望等を踏まえて作成するよう努めなければならない。
選択肢4:居宅サービス計画
×
居宅サービス計画は、介護支援専門員が介護保険制度に基づき作成する。
選択肢5:個別支援計画
×
個別支援計画は、総合支援法で規定される各サービスの事業所でサビ管が作成する。
正答
3(サービス等利用計画)