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問題16|第22回 精神保健福祉士 国家試験 ②精神保健の課題と支援

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

目次

問題 16 精神作用物質の乱用対策及び使用者への援助に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 有効な外来治療として,ワークブックとマニュアルを用いた集団認知行動療法プログラムが開発されている。
  2. 大麻は,麻薬及び向精神薬取締法で使用と所持が規制されている。
  3. ハーム・リダクションとは,薬物使用を厳罰化することで,その流通量を減らすことを目的とした政策のことである。
  4. 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予制度とは,一定期間服役させた後,残りの期間を社会復帰促進センターで処遇するものである。
  5. 覚せい剤取締法違反は,「医療観察法」における重大な他害行為とされる 6 罪種の一つである。

(注)「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

設問について

精神作用物質の乱用対策・使用者への援助は頻出テーマだそうで。
関連する法制度、支援方法については押さえておきたい。

精神作用物質の乱用に関連する国の政策等

厚労省の依存症対策のページが参考になる。
行動嗜癖(ギャンブル依存)も含まれる。
依存症対策|厚生労働省

下記サイトも勉強になる。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部

精神作用物質とその影響に関する基本事項

物質使用障害は、一般に物質の使用により問題が生じているにもかかわらず、その使用を続ける行動パターンがみられるものです。

関係する物質は、以下のような物質関連障害の典型的な原因として知られる10種類の薬物のいずれかであることが多くなっています。

  • アルコール
  • 抗不安薬と鎮静薬
  • カフェイン
  • 大麻(マリファナと 合成カンナビノイドを含む)
  • 幻覚剤(LSD、フェンシクリジン、シロシビンなど)
  • 有機溶剤(塗料用シンナーや特定の接着剤など)
  • オピオイド(フェンタニル、モルヒネ、オキシコドンなど)
  • 中枢刺激薬(アンフェタミンや コカインなど)
  • タバコ
物質使用障害 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版

各選択肢について

選択肢1:有効な外来治療として,ワークブックとマニュアルを用いた集団認知行動療法プログラムが開発されている。

SMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)とは

「せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム」の略。
神奈川県立精神医療センターの旧せりがや病院で開発された認知行動療法型の外来依存症治療プログラム。

選択肢1の「有効な外来治療として,ワークブックとマニュアルを用いた集団認知行動療法プログラムが開発されている」はこのSMARPPのこと。

参考にされているのは、米国の薬物依存症外来治療プログラムMatrix Model。

↓これは後日読んで勉強したい。
薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究 | 厚生労働科学研究成果データベース

選択肢2:大麻は,麻薬及び向精神薬取締法で使用と所持が規制されている。

×

薬物乱用に関係する法律

「ダメ。ゼッタイ。」で有名(?)な麻薬・覚せい剤乱用防止センターのホームページから引用。

薬物を取り締まる主な国内法規として、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、大麻取締法、あへん法、毒物及び劇物取締法、医薬品医療機器等法があります。
覚醒剤は、覚せい剤取締法
大麻は、大麻取締法
あへん、けし等はあへん法
麻薬(コカイン・MDMA等合成麻薬・LSD等)は麻薬及び向精神薬取締法
シンナー等は、毒物及び劇物取締法
と規制対象となる薬物がそれぞれの法律で定められています。

薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

選択肢3:ハーム・リダクションとは,薬物使用を厳罰化することで,その流通量を減らすことを目的とした政策のことである。

×

ハーム・リダクションとは

“ハームリダクション”とは、合法・違法に関わらず精神作用性のあるドラッグについて、必ずしもその使用量は減ることがなくとも、その使用により生じる健康・社会・経済上の悪影響を減少させることを主たる目的とする政策・プログラムとその実践である。ハームリダクションは、ドラッグを使用する人、その家族、そしてそのコミュニティに対して有益なものとなる。

国際ハームリダクション協会(International Harm Reduction Association)による見解

上記引用は、国際ハームリダクション協会(Harm Reduction International)のウェブサイトから。
この協会、本文はロンドンにあって、その歴史は1990年に遡るようですが、薬物依存の問題は当時よりマシになってきたのでしょうか。改善していることを願います。

シンプルに説明すると、“リスクのある行動を全面的にやめることなく、有害な影響を軽減すること”です。
“害を取り除く、ゼロにする”ことを目指して失敗するよりも、“害を減らすこと”をまず目標にして行動を変えましょう、という取り組み

【健康コラム】知ってほしい、“ハームリダクション” | イーウェル │ 2018年11月01日

↓参考になります。
【特集】薬物依存を考える “ハームリダクション”の現場から(1) 薬物をやめることより「支援につながること」を重視 – 記事 | NHK ハートネット
いつも質の高い番組をありがとう、NHK。

選択肢4:薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予制度とは,一定期間服役させた後,残りの期間を社会復帰促進センターで処遇するものである。

×

薬物使用等の罪を犯した人に対する刑の一部執行猶予制度とは

刑務所を出所した人等の中には,再び犯罪をすることなく,社会で立ち直るために,出所後も比較的長い間支援を続けていくことが必要な人がいます。特に,違法薬物の使用などを繰り返す人については,薬物依存症という病気が原因の場合が少なくないため、地域社会での支援につながることが大切であると言われています。

平成28年6月から始まった刑の一部の執行猶予制度は,こうした人たちに対応するもので,裁判所での判決時点で,刑務所に収容される期間に続けて,社会内での見守りの期間を定めておくものです。

薬物使用等の罪を犯した人に対する刑の一部執行猶予制度とは – 依存症対策全国センター

↓薬物使用等の罪を犯した人に対する刑の一部執行猶予のために、法律が作られています。

(趣旨)
第一条 この法律は、薬物使用等の罪を犯した者が再び犯罪をすることを防ぐため、刑事施設における処遇に引き続き社会内においてその者の特性に応じた処遇を実施することにより規制薬物等に対する依存を改善することが有用であることに鑑み、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関し、その言渡しをすることができる者の範囲及び猶予の期間中の保護観察その他の事項について、刑法(明治四十年法律第四十五号)の特則を定めるものとする。

薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律 | e-Gov法令検索
社会復帰促進センターとは

1993年(平成5)ころより日本の刑事施設は「過剰収容」の状態が現出した(その後この傾向は緩和されたものの、一部の刑事施設ではなお過剰収容になっているところもある)。この過剰収容状態を緩和するために、いわゆるPFI(Private Finance Initiative)方式(民間資金を活用して建設・運営される方式)の刑務所建設が行われたが、これらの刑務所は「社会復帰促進センター」という名を冠してよばれる。2010年の時点で4施設を数える。

刑務所(けいむしょ)とは? 意味や使い方 – コトバンク

選択肢5:覚せい剤取締法違反は,「医療観察法」における重大な他害行為とされる 6 罪種の一つである。

×

「医療観察法」における重大な他害行為とは

 「重大な他害行為」とは,殺人,放火,強盗,強制性交等,強制わいせつ,傷害(軽微なものは対象とならないこともあります。)に当たる行為をいいます。

法務省:医療観察制度Q&A

医療観察法を見ても分からない。

(定義)
第二条 この法律において「対象行為」とは、次の各号に掲げるいずれかの行為に当たるものをいう。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八条から第百十条まで又は第百十二条に規定する行為
二 刑法第百七十六条から第百八十条までに規定する行為
三 刑法第百九十九条、第二百二条又は第二百三条に規定する行為
四 刑法第二百四条に規定する行為
五 刑法第二百三十六条、第二百三十八条又は第二百四十三条(第二百三十六条又は第二百三十八条に係るものに限る。)に規定する行為

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 | e-Gov法令検索

医療観察法を翻訳すると、「殺人,放火,強盗,強制性交等,強制わいせつ,傷害」となるのでした。

正答

正答:1(有効な外来治療として,ワークブックとマニュアルを用いた集団認知行動療法プログラムが開発されている。)

第22回 精神保健福祉士 国家試験 全問題はこちら

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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