MENU

問題30|第23回 精神保健福祉士 国家試験 ③精神保健福祉相談援助の基盤

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

事例問題1

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
D精神保健福祉士は、処方薬への依存のためにU精神科病院の薬物依存症外来に通うEさん( 26歳、女性)が減薬を目的に入院したことを契機に担当となった。主治医から話を聞いたり電子カルテの情報を確認したりしたD精神保健福祉士は、Eさんが、幼少期の実母による過酷な虐待や、思春期における性的被害の経験を有していることを把握した。そこで、薬物問題に加え、過去の逆境体験に対する理解や、その体験が現在に及ぼす影響をも視野に入れた支援が必要であると考えた。(問題30)
入院時のEさんは挑発的態度を繰り返しており、病棟スタッフとの信頼関係を築けずにいた。D精神保健福祉士は、過去の体験に基づく強い人間不信や自己否定感が根底にあることを読み取り、温かく落ち着いた関わりを続けた。その結果、Eさんは、主治医とD精神保健福祉士には心を許すようになり、「死にたい」と苦しい胸の内を打ち明けるようにもなった。(問題31)
Eさんは、病棟内のプログラム参加には消極的で、ルール違反ばかり繰り返していた。スタッフに注意されると、暴言を吐いたり自殺をほのめかしたりするので、スタッフの間にはEさんに対するネガティブな感情や不全感が蓄積され、いつしか病棟チーム全体が機能不全に陥りつつあった。そこで、D精神保健福祉士はケアカンファレンスでEさんを取り上げることを提案した。その中で病状や治療方針を共有したり、スタッフがEさんとの関わりの中で受けた傷つきや恐れの気持ちを表出できるよう働きかけたりした。また、相互の役割を確認し、日々の苦労をスタッフ間でねぎらい合えるようにした。その結果、病棟チームにあった刺々しい雰囲気が薄れ、Eさんの言動も徐々に落ち着きをみせるようになった。(問題32)
D精神保健福祉士は、Eさんの退院後の安全な生活を重視するとともに、過去に植え付けられた無力感や自己否定感から解放されることを目標とした。そして、もう一度自分の人生に対するコントロール感を取り戻すために、ストレングスに着目した支援を大切にしたいと考えていた。

目次

問題30 次のうち、この時点でD精神保健福祉士が意識したEさんに対するアプローチとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. フェミニストアプローチ
  2. 課題中心アプローチ
  3. ナラティブアプローチ
  4. トラウマインフォームドアプローチ
  5. 解決志向アプローチ

設問について

ソーシャルワークのアプローチについての理解が問われる問題。

近年の依存症治療領域における姿勢として、背景にある様々な生きづらさを理解していこうとする点が挙げられる。特に薬物依存においては、虐待によるトラウマ等が複雑に影響し合って対人関係の問題が愛着障害のように現れることもある。そのようなことを理解した上での支援が求められる。

各選択肢について

選択肢1:フェミニストアプローチ

×

ドミネリやマクリードが提示。
男女同権に基づいた性差別の廃止と女性の解放というフェミニズムの考え方を基盤にして、女性であることから引き起こされる問題や課題を解決し、社会改革も視野に入れた方法。

選択肢2:課題中心アプローチ

×

リードやエプスタインらが提示。
既存のソーシャルワークの技術を再構成することで、クライエントが解決を望んでいる問題を取り上げ、短期間の時間の中で、具体的な課題を設定して取り組むことで問題を解決する計画的な方法。
クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し、あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

選択肢3:ナラティブアプローチ

×

ホワイトやエプストンらの理論と実践、社会構成主義の考え方を基盤としている。
クライエントが語る人生の物語の意味であるナラティブに焦点を当てたアプローチ。

選択肢4:トラウマインフォームドアプローチ

トラウマインフォームドなプログラム・組織・システムはトラウマの広範
な影響を理解し(realizes)、回復への可能な道筋を知っている。クライエ
ント・家族・職員やシステムに関係する人たちに生じるトラウマの兆候や症状を認識する(recognizes)。トラウマに関する知識を方針・手続き・実践に十分統合して対応し(responds)、積極的に再トラウマ化を予防する(resist re-traumatization)。

大阪教育大学 SAMHSA のトラウマ概念とトラウマインフォームドアプローチのための手引き(PDF)

トラウマインフォームドアプローチの6つの主要な原則
トラウマインフォームドアプローチは、規定の実践や手順というよりむしろ、6つの主要な原則を遵守するものです。これらの原則は、用語や適用のしかたは場面または部門に特化したものになることがありますが、多様な場面で用いることができます。

トラウマインフォームドアプローチの6 つの主要原則
1.安全
2.信頼性と透明性
3.ピアサポート
4.協働と相互性
5.エンパワメント、意見表明と選択
6.文化、歴史、ジェンダーの問題

同上

選択肢5:解決志向アプローチ

×

バーグやシェザーらが提示。
ブリーフセラピー(短期療法)の流れをくみ、クライエントが抱く解決した状態のイメージに焦点をあてて、解決に役立つ資源を活用しながら短期間で実現していく。
クライエントに対して発するミラクル・クエスチョン(問題解決後の生活の様子や気持ちについて、想像を促す質問)など、様々な質問技法がある。

正答

4(トラウマインフォームドアプローチ)

第23回 精神保健福祉士 国家試験 全問題はこちら

あわせて読みたい
第23回 精神保健福祉士 国家試験対策 過去問題しゃぶり尽くし 【(1) 精神疾患とその治療】 問題1 次のうち,摂食,体温,情動の調節に関わっている中枢神経の部位として,正しいものを 1 つ選びなさい。 問題2 次のうち,この患者...

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
プロフィール詳細はこちら

目次
閉じる