こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
事例問題
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Bさん( 50歳、男性)は30代の頃に統合失調症を発症し、両親が自宅で面倒を見ていた。しかし、その両親が交通事故で亡くなると、病状が極めて不安定になり、最終的にX病院に2010年(平成22年)に入院した。入院後1年で病状は落ち着いたものの、退院が迫ると病状が悪化するなど、不安定な状態になることを10年ほど繰り返していた。
地域の相談支援事業所のC精神保健福祉士は、X病院からBさんについて紹介を受け、Bさんに話を聞いた。Bさんは、「退院はともかく、外の世界が今どうなっているかは知りたい。あと病院の外で食事をしてみたい」とぽつぽつと話した。Bさんは、「障害者総合支援法」における地域相談支援に基づくサービスを利用し、C精神保健福祉士と一緒に社会資源の見学をし、外出のついでに食事などをした。外出のたびにC精神保健福祉士は、Bさんに地域での暮らしをイメージしてもらえるように働きかけた。(問題70)
BさんはC精神保健福祉士と一緒に行動するにつれ、退院に興味を持ち始めたが、「身寄りのない自分は困ったときに誰にも相談できない。心細い」と不安を訴えた。C精神保健福祉士は、「障害者総合支援法」における地域相談支援に基づくサービスを紹介し、随時、退院後の相談に乗ることとした。(問題71)
退院したBさんは、両親から残された自宅で、上記の支援とホームヘルプサービスを利用して当初生活していた。しかし実際に一人暮らしをしてみると生活上の困難が思いの外大きいことが明らかになり、共同生活援助(グループホーム)を利用することになった。一旦はグループホームに馴染(なじ)んだかに見えたBさんだったが、そのうちC精神保健福祉士に、「人と一緒に暮らすのは自分にはどうしても向いていない」「にぎやかな感じが苦手」という訴えを漏らすようになった。そこでC精神保健福祉士は、Bさんと相談しながら改めて自宅での生活を検討した。
その中で、ある法律の改正で2018年(平成30年)に新設された、居宅における自立した生活を営む上での支援を目的とし、原則1年の期限で訪問と適宜の相談を提供するサービスを利用することとした。(問題72)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
問題72 次のうち、このサービスを利用する際に必要な手続として、正しいものを1つ選びなさい。
- 日常生活自立支援事業の利用
- 障害支援区分の認定
- 自立支援医療(精神通院医療)の受給
- サービス等利用計画の作成
- 指定通院医療機関への通院
設問について
グループホームで暮らす中で、改めて一人暮らしを希望するようになったBさんが、居宅における自立した生活を営む上での支援を受けるために、原則1年の期限で訪問と適宜の相談を提供するサービスとは?
精神障害者が地域で利用できる障害福祉サービスと、必要な手続きについての理解が問われる問題。
特に、障害者総合支援法の改正で2018年(平成30年)に新設された、自立生活援助についての理解が問われている。
第五条 (中略)
16 この法律において「自立生活援助」とは、施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者その他の主務省令で定める障害者が居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題につき、主務省令で定める期間にわたり、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、当該障害者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の主務省令で定める援助を行うことをいう。
障害者総合支援法
17 自立生活援助
居宅において単身等で生活する障害者につき、定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題を把握し、必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の自立した日常生活を営むために必要な援助を行います。【対象者】
障害者支援施設若しくは共同生活援助を行う住居等を利用していた障害者又は居宅において単身であるため若しくは同居家族等が障害や疾病等のため居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題に対する支援が見込めない状況にある障害者。具体的には次のような例が挙げられます。(1) 障害者支援施設やグループホーム、精神科病院等から地域での一人暮らしに移行した障害者等で、理解力や生活力等に不安がある者
(2) 現に、一人で暮らしており、自立生活援助による支援が必要な者(※1)
(3) 障害、疾病等の家族と同居しており(障害者同士で結婚している場合を含む)、家族による支援が見込めない(※2)ため、実質的に一人暮らしと同様の状況であり、自立生活援助による支援が必要な者※1の例
(1) 地域移行支援の対象要件に該当する施設に入所していた者や精神科病院に入院していた者等であり、理解力や生活力を補う観点から支援が必要と認められる場合
(2) 人間関係や環境の変化等により、一人暮らしや地域生活を継続することが困難と認められる場合(家族の死亡、入退院の繰り返し 等)
(3) その他、市町村審査会における個別審査を経てその必要性を判断した上で適当と認められる場合※2の例
厚生労働省>障害福祉サービスについて
(1) 同居している家族が、障害のため介護や移動支援が必要である等、障害福祉サービスを利用して生活を営んでいる場合
(2) 同居している家族が、疾病のため入院を繰り返したり、自宅での療養が必要な場合
(3) 同居している家族が、高齢のため寝たきりの状態である等、介護サービスを利用して生活を営んでいる場合
(4) その他、同居している家族の状況等を踏まえ、利用者への支援を行うことが困難であると認められる場合
各選択肢について
選択肢1:日常生活自立支援事業の利用
×
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。
日常生活自立支援事業 |厚生労働省
選択肢2:障害支援区分の認定
×
自立生活援助の利用に障害支援区分の認定は不要。
選択肢3:自立支援医療(精神通院医療)の受給
×
自立生活援助の利用に自立支援医療の受給は必須な手続きではない。
総合支援法第5条24項に「この法律において「自立支援医療」とは、障害者等につき、その心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定めるものをいう」と規定がある。
選択肢4:サービス等利用計画の作成
〇
障害者総合支援法におけるサービスの利用開始・変更等に、サービス等利用計画を作成する必要がある。
選択肢5:指定通院医療機関への通院
×
指定通院医療機関とは、医療観察法の通院処遇における通院先の精神科医療機関のこと。
自立生活援助の利用に、指定通院医療機関への通院は不要。
正答
4(サービス等利用計画の作成)