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問題80|第24回 精神保健福祉士 国家試験 ⑥精神障害者の生活支援システム

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

事例問題

次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
Aさん(30歳、男性)は、21歳の時に統合失調症と診断され、母親と二人で住む市内にあるX精神科病院に入院した。しばらくして症状はようやく落ち着いたが、母親は自宅への退院に難色を示し、他の退院後の受入先も確保できず退院の話は進まなかった。そのうちAさんの退院意欲が減退したこともあり、入院は長期化した。
Aさんは28歳の時、地域で生活する精神障害当事者と対話できるX精神科病院内のプログラムに参加した。そこでAさんは退院意欲が喚起され、病院のB精神保健福祉士に、「退院して自宅に戻りたい」と相談を持ちかけた。B精神保健福祉士は、Aさんとの面接に加えて母親との面接を設定した。面接で母親は、「病気のことがよく分からないし、また入院前の、あの大変な状況に戻っても対応できる自信がない」と語り、自宅への退院に後ろ向きであった。B精神保健福祉士は、家族を対象に専門家が実施するX精神科病院内の家族の感情表出に着目したプログラムへの参加を勧めた。(問題78)
プログラムへの参加を通して、母親はAさんの自宅への退院に前向きになり、様々な人の支援を受けながらAさんは自宅へ退院した。しかし退院後間もなく、母親は体調を崩して1週間ほど入院となり、自宅でAさんの身の回りの世話をできる人がいなくなった。Aさんは生活能力の低下もあいまって心細さを強く訴えるようになったため、「障害者総合支援法」に規定される、短期間の入所により食事や入浴の提供などを行うサービスを利用することとした。(問題79)
母親の退院後しばらくして、Aさんは自宅に戻った。B精神保健福祉士の勧めでY地域活動支援センターに通い、徐々に地域での生活を楽しむようになった。Y地域活動支援センターでは、米国で精神障害当事者が開発したリカバリーに向けたプログラムが行われていた。入院中に知り合ったCさんに誘われてAさんもそのプログラムに参加した。そこで、自分のこれからの人生を考えられるようになった。(問題80)

目次

問題80 Aさんが参加したプログラムに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 「私たちは一人ぼっちではない(We are not alone)」を合言葉とした。
  2. 精神障害当事者が中心となって実施する。
  3. 支援者と共同で創出した働く場が起源である。
  4. 困難な時の対処方法について、プランをあらかじめ作成する。
  5. 匿名での参加が原則である。

設問について

当事者が参加するプログラムについての理解が問われる問題。

米国で精神障害当事者が開発したリカバリーに向けたプログラムで、自分のこれからの人生を考えられるようになるようなものと言えば、WRAP(Wellness(元気)・Recovery(回復)・Action(行動)・Plan(プラン))と当たりをつけられる。

WRAPについては、
中央法規当該科目テキスト第3版p258, 268、
中央法規「理論と展開I」テキスト第2版p30等。

各選択肢について

選択肢1:「私たちは一人ぼっちではない(We are not alone)」を合言葉とした。

×

「私たちは一人ぼっちではない We are notalone」を合言葉にしたのは、クラブハウス活動。

1948年にクラブハウス活動がニューヨークで結成されており、「私たちは一人ぼっちではない We are notalone」を合言葉にファウンテンハウスに集まった精神障害当事者たちは、自分たちでお互いの相談に乗り、ソーシャルワーカーを雇用していった。クラブハウス活動は現在では世界クラブハウス連盟に28ヶ国約400ヶ所が加盟するまでになっている(2018年時点)。

選択肢2:精神障害当事者が中心となって実施する。

元気回復行動プラン( WRAP )は、精神障害の当事者がリカバリーを実現するためのプログラム。

メアリー・エレン・コープランド氏を中心に、精神障害のある人たちによって作られたリカバリーにつながるためのツールで、日本ではWRAP研究会が「Wellness Recovery Action Plan」という言葉を「元気回復行動プラン」と翻訳。

選択肢3:支援者と共同で創出した働く場が起源である。

×

イタリアにおいて精神科病院を廃止され、精神障害のある人たちが支援者と協働で、自分たちが働く場「ソーシャルファーム」を作った。

ソーシャルファームは、精神病院廃止に伴って地域で暮らし始めた精神障害のある人たちが、支援者と協働で創出した雇用の場がきっかけでできたもので、精神障害者などの障害者に限らず、刑務所出所者、貧困者など社会的弱者といわれている人たちと支援者との共同で展開されている。

ソーシャルファームについては、中央法規当該科目テキスト第3版p176。

選択肢4:困難な時の対処方法について、プランをあらかじめ作成する。

WRAP の構成要素は大きく分けて以下の6つ。
①Wellness Toolbox (元気に役立つ道具箱)
②Daily Maintenance Plan (日常生活管理プラン)
③Triggers and Action Plan (引き金とその対応プラン)
④Early Warning Signs and Action Plan (注意サインとその対応プラン)
⑤When Things Are Breaking Down and Action Plan (調子が悪くなっている時のサインとその
対応プラン)
⑥Crisis Planning (クライシスプラン)

出典:厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)研究協力報告書
WRAP (Wellness Recovery Action Plan: 元気回復行動プラン)に関する研修報告

選択肢5:匿名での参加が原則である。

×

匿名での参加が原則になのは、AA等。

正答

2(精神障害当事者が中心となって実施する。)
4(困難な時の対処方法について、プランをあらかじめ作成する。)

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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