こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
問題24 「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)におけるソーシャルワークに関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
- 実践に基づいた専門職であり学問である。
- 原理の一つに社会正義がある。
- 集団的権利ではなく個人の権利を尊重する。
- 西洋の諸理論を基準に展開される。
- 「人々とともに」ではなく「人々のために」働くという考え方をとる。
(注)「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは、2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。
設問について
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義についての理解が問われる問題。
中央法規当該科目テキスト第2版p56~。
下記に引用した部分はもちろん、注釈を含めて何十回でも読み、国試合格後も何度でも立ち返るべきものかと。
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。
社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。
ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知*1を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける*2。
この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい*3。
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
各選択肢について
選択肢1:実践に基づいた専門職であり学問である。
〇
上記に引用した通り。
選択肢2:原理の一つに社会正義がある。
〇
上記に引用した通り。
選択肢3:集団的権利ではなく個人の権利を尊重する。
×
個人の権利と集団的権利の両方を含んでいる。
ソーシャルワークは、第一・第二・第三世代の権利を尊重する。第一世代の権利とは、言論や良心の自由、拷問や恣意的拘束からの自由など、市民的・政治的権利を指す。第二世代の権利とは、合理的なレベルの教育・保健医療・住居・少数言語の権利など、社会経済的・文化的権利を指す。第三世代の権利は自然界、生物多様性や世代間平等の権利に焦点を当てる。これらの権利は、互いに補強し依存しあうものであり、個人の権利と集団的権利の両方を含んでいる。
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
選択肢4:西洋の諸理論を基準に展開される。
×
この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。
2000年のグローバル定義は、西欧諸国の価値観が強く反映されているという批判があった。
この定義は、ソーシャルワークは特定の実践環境や西洋の諸理論だけでなく、先住民を含めた地域・民族固有の知にも拠っていることを認識している。植民地主義の結果、西洋の理論や知識のみが評価され、地域・民族固有の知は、西洋の理論や知識によって過小評価され、軽視され、支配された。この定義は、世界のどの地域・国・区域の先住民たちも、その独自の価値観および知を作り出し、それらを伝達する様式によって、科学に対して計り知れない貢献をしてきたことを認めるとともに、そうすることによって西洋の支配の過程を止め、反転させようとする。ソーシャルワークは、世界中の先住民たちの声に耳を傾け学ぶことによって、西洋の歴史的な科学的植民地主義と覇権を是正しようとする。こうして、ソーシャルワークの知は、先住民の人々と共同で作り出され、ローカルにも国際的にも、より適切に実践されることになるだろう。国連の資料に拠りつつ、IFSWは先住民を以下のように定義している。
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
- 地理的に明確な先祖伝来の領域に居住している(あるいはその土地への愛着を維持している)。
- 自らの領域において、明確な社会的・経済的・政治的制度を維持する傾向がある。
- 彼らは通常、その国の社会に完全に同化するよりも、文化的・地理的・制度的に独自であり続けることを望む。
- 先住民あるいは部族というアイデンティティをもつ。
選択肢5:「人々とともに」ではなく「人々のために」働くという考え方をとる。
×
実践
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
ソーシャルワークの正統性と任務は、人々がその環境と相互作用する接点への介入にある。環境は、人々の生活に深い影響を及ぼすものであり、人々がその中にある様々な社会システムおよび自然的・地理的環境を含んでいる。ソーシャルワークの参加重視の方法論は、「生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける」という部分に表現されている。ソーシャルワークは、できる限り、「人々のために」ではなく、「人々とともに」働くという考え方をとる。
正答
1(実践に基づいた専門職であり学問である。)
2(原理の一つに社会正義がある。)