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問題58|第22回 精神保健福祉士 国家試験 ④精神保健福祉の理論と相談援助の展開

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

事例問題 4

次の事例を読んで,問題 58 から問題 60 までについて答えなさい。
〔事 例〕
精神障害者雇用トータルサポーターのFさん(精神保健福祉士)は,ある日,従業員1,000 名超の食品製造会社であるV社の人事課長の訪問を受けた。話を聞くと,障害者法定雇用率の達成には 7 名足りず,新たに法定雇用率の算定が見直されたこともあり,現在雇用していない精神障害者も雇用することで達成したいとのことであった。
そして,障害者や高齢者や外国人など様々な従業員が活躍することで多様性のある企業として発展していきたいと話した。そこでV社としては,まず精神障害者の雇用に重点的に取り組みたいと考え,何から始めればよいか教えてほしいとのことであった。(問題 58)
半年後,V社が精神障害者雇用を進める中で人事課長からFさんに相談があった。話を聞くと,新たに雇用した精神障害者のGさん(40 歳,女性)が,仕事で小さなミスが続いた後に出社できなくなり,退職を申し出たとのことであった。対応を依頼されたFさんはV社を訪問し,相談室でGさんと会った。Gさんは緊張した表情を見せながら,自分は会社の役に立っていないこと,仕事に自信がなくなったこと,会社に迷惑を掛けるから辞めたいことを小声で話した。Fさんは面接の中で,Gさんは無遅刻・無欠勤であったこと,部署では昼食弁当の注文係を自らやっていたことを引き出した。また,Fさんの問いかけに対してGさんは,来月には父親が定年退職なので,自分が無職になった後の生活が不安であることなどを語った。(問題 59)
そこで,Fさんの提案で,訪問型職場適応援助者を活用することとし,H職場適応援助者(精神保健福祉士)がGさんの支援に入った。(問題 60)
1 か月後にFさんがV社を訪れると,Gさんは笑顔で仕事をしており,人事課長も喜んでいた。Fさんの援助もあり,人事課長は,「障害者の雇用継続に取り組むことで,従業員全体の退職者数も減り,社の雰囲気が変わり,働きやすい職場になった」と笑顔で話してくれた。

目次

問題 58 次の記述のうち,この時にFさんが提案したこととして,適切なものを 2つ選びなさい。

  1. 求職登録者のうち,V社で働けそうな精神障害者をFさんが選定する。
  2. V社の障害者雇用の意義を「社会的包摂の実現」とし,社内で共有する。
  3. FさんがV社を訪問し,作業内容や職場環境を把握する。
  4. V社の近くに就労継続支援B型事業所を設立し,障害者雇用を進める。
  5. 診療報酬明細書(レセプト)を調べて,該当する社員に障害者手帳の所持を照会する。

設問について

精神障害者雇用トータルサポーターの役割についての理解が問われています。

障害者法定雇用率の達成や、障害者も含めて多様な人材を採用していく方向性の中でまず精神障害者の採用を増やしたいという意向の企業に対する支援を考えます。

精神障害者雇用トータルサポーターとは

ハローワークに配置されている。採用されるのは、精神保健福祉士、臨床心理士等の有資格者で、精神障害の専門的知識や支援経験のある人。
主な業務は以下の通り。

対精神障害者

  • 精神症状に配慮したカウンセリング
  • 就職準備プログラムの実施
  • 職場実習のコーディネート
  • 専門機関への誘導
  • 就職後のフォローアップ

対企業

  • 精神障害者の雇用に関する意識啓発
  • 職場開拓
  • 課題解決のための相談援助
  • 個別定着支援
  • 医療機関と企業の橋渡し
  • 先進事例の収集 等

利用者さん同行でハロワに行って、精神障害者雇用トータルサポーターさんの面談に同席したことがあります。その時の方は、公認心理士と社会福祉士の有資格者でした。

各選択肢について

選択肢1:求職登録者のうち,V社で働けそうな精神障害者をFさんが選定する。

×

精神障害者雇用トータルサポーターは、求職登録者の意向を尊重して就労を支援します。人買いみたいなことはしません。

選択肢2:V社の障害者雇用の意義を「社会的包摂の実現」とし,社内で共有する。

精神障害者の雇用促進に向けて、V社の環境整備を精神障害者も働きやすいように進めていく必要があり、そのサポートは精神障害者雇用トータルサポーターの役割と言えます。

選択肢3:FさんがV社を訪問し,作業内容や職場環境を把握する。

精神障害者の雇用促進に向けて、V社の環境整備を精神障害者も働きやすいように進めていくために、予め事業所の業務や環境を把握することも精神障害者雇用トータルサポーターの役割と言えます。

選択肢4:V社の近くに就労継続支援B型事業所を設立し,障害者雇用を進める。

×

V社の人事課長は、「障害者や高齢者や外国人など様々な従業員が活躍することで多様性のある企業として発展していきたい」と話していたのであって、福祉サービスを提供する事業所を新たに作りたいわけではなさそうです。

選択肢5:診療報酬明細書(レセプト)を調べて,該当する社員に障害者手帳の所持を照会する。

Fさんは、ハロワに配置されている精神障害者雇用トータルサポーターであって、診療報酬明細書にアクセスする権限があるとは考えられません。V社と通すとしても、社員の個人情報保護の観点から不適切。

正答

2(V社の障害者雇用の意義を「社会的包摂の実現」とし,社内で共有する。)
3(FさんがV社を訪問し,作業内容や職場環境を把握する。)


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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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