こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
問題 15 犯罪被害者の精神保健に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。
- 「第3次犯罪被害者等基本計画」(警察庁)では,犯罪被害者等に関する専門職養成機関の設置計画が盛り込まれた。
- 「平成29年度犯罪被害類型別調査」(警察庁)によると,殺人・殺人未遂または傷害等の暴力被害を受けた者のうち「重症精神障害相当の状態」にある者は約1割であった。
- 犯罪被害者等基本法において,犯罪被害者等とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族とされている。
- 「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」では,支援機関からの情報提供は被害者からの支援の要望を待つことが原則とされている。
- 全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体は,市町村に各1か所ずつ存在する。
(注)「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」とは,平成24年度厚生労働科学研究「大規模災害や犯罪被害等による精神疾患の実態把握と対応ガイドラインの作成・評価に関する研究」において作成されたものである。
設問について
犯罪被害者の精神保健に関する問題。
犯罪被害者は、身体や財産等目に見える直接的被害だけでなく、心にも大きな衝撃を受けます。
犯罪被害者の精神保健に関する基本事項
犯罪被害者の精神保健に関する基本事項については、下記ウェブサイト/ページが参考になります。
犯罪被害者の支援の基本となる法律は、まず押えておきたいところ。
(目的)
犯罪被害者等基本法 | e-Gov法令検索
第一条 この法律は、犯罪被害者等のための施策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。
各選択肢について
選択肢1:「第3次犯罪被害者等基本計画」(警察庁)では,犯罪被害者等に関する専門職養成機関の設置計画が盛り込まれた。
犯罪被害者等基本計画とは
犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)第8条により、政府は、犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画を定めなければならないこととされています。
犯罪被害者等施策ホームページ – 警察庁 / 犯罪被害者等基本計画
令和3年4月1日から令和8年3月31日を計画期間とする「第4次犯罪被害者等基本計画(令和3年3月30日閣議決定)」が策定されました。
犯罪被害に関する専門職・専門家に関して
「第3次犯罪被害者等基本計画」の中に、「専門家」「専門職」に関して言及している箇所は複数ありますが、専門家や専門職の活用や養成といった事項であり、養成機関の設置については触れられていません。
選択肢2:「平成29年度犯罪被害類型別調査」(警察庁)によると,殺人・殺人未遂または傷害等の暴力被害を受けた者のうち「重症精神障害相当の状態」にある者は約1割であった。
犯罪被害類型別調査とは
本調査は、第3次犯罪被害者等基本計画に基づき、被害類型別、加害者との関係別に、犯罪被害者等の置かれた状況について調査を実施し、犯罪等被害が心身の健康状態に及ぼす影響、主観的な回復状況とその要因に関する認識等を把握し、各府省庁の施策の企画・立案等に反映させることを目的とする。
平成29年度犯罪被害類型別調査 – 警察庁
上記調査に、下記記載があります。
殺人・殺人未遂または傷害等の暴力被害の影響が非常に深刻であることがわかります。
(3)精神健康状態(K6)
犯罪被害類型別にK6の値を見ると、重症精神障害相当とされる13点以上の割合は、児童虐待(29.4%)で最も高く、次いで殺人・傷害(23.8%)、DV(18.8%)となっている。
選択肢3:犯罪被害者等基本法において,犯罪被害者等とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族とされている。
犯罪被害者等とは
(定義)
犯罪被害者等基本法 | e-Gov法令検索
第二条 この法律において「犯罪等」とは、犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
2 この法律において「犯罪被害者等」とは、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
3 この法律において「犯罪被害者等のための施策」とは、犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう支援し、及び犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするための施策をいう。
選択肢4:「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」では,支援機関からの情報提供は被害者からの支援の要望を待つことが原則とされている。
「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」について
このガイドラインは、民間の犯罪被害者相談機関の支援員など、精神保健専門家以外の犯罪被害支援者支援者の方が利用できる被害後急性期の心理社会ケアについての指針を示したものです。このガイドラインは、既存の文献や現場での知見を基に、犯罪被害者支援に精通した専門家、相談員の方々のご意見をDelphi法という系統的集約法を用いて作成したエキスパートコンセンサスによるガイドラインです。
犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン|犯罪被害者のメンタルヘルス情報ページ
当該ガイドラインに、下記記載があります。
被害後間もない時期では、支援の要望を待つのではなく、支援機関から被害者に連絡し、支援の準備があることや支援情報を伝えることが望ましい。
急性期では被害者は混乱し、どこに支援を求めたらよいか分からないことが多くみられるため、支援機関から積極的に情報を提供されることが必要な場合がある。
(略)
被害者が相談したいと思えるようになるには時間がかかる場合が多いため、最初の段階では情報提供にとどめ、時期を見計らって連絡を入れ、被害者が望むときに、相談に乗ることができることを伝えるなどの工夫が役に立つ。
選択肢5:全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体は,市町村に各1か所ずつ存在する。
全国被害者支援ネットワークとは
全国被害者支援ネットワークは、8県に設置された民間被害者支援団体により、平成10年5月に設立されました。その後、全国被害者支援ネットワークの加盟団体は年々増加し、平成21年7月には47都道府県すべてに設置された民間被害者支援団体が加盟することとなりました。
犯罪被害者等施策ホームページ – 警察庁 / 公益社団法人全国被害者支援ネットワーク
正答
正答:3(犯罪被害者等基本法において,犯罪被害者等とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族とされている。)