こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
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問題4 患者の訴えと症状に関する次の組合せのうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 「気を失うかと思った」 ―― 抑うつ気分
- 「大切にしていた着物を家族に盗まれた」―― 貧困妄想
- 「車を運転したときに交通事故を起こしたような気がする」 ―― パニック発作
- 「隣の家の人が電磁波攻撃を仕掛けてくる」 ―― 被害妄想
- 「誰もいないのに人の声が聞こえてきた」 ―― 強迫観念
設問について
精神症状に関する用語の理解が問われる問題。
過去問解説本によると、標準的なレベルだそうで。
各選択肢について
選択肢1:「気を失うかと思った」 ―― 抑うつ気分
×
「気を失うかと思った」という訴えは、パニック発作でしばしば認められる他、実際に意識レベルの低下を来す病態で見られる。
抑うつ気分は気分の障害の1つで、気分が沈み、喜びや楽しさを感じず、淋しく悲しい状態。悲観的に考えがちになり、意欲も低下する。「気分がめいる、落ち込む」「元気が出ない」「ゆううつだ」などと表現される。うつ病に特徴的な訴え。
抑うつ気分については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p49、136。
選択肢2:「大切にしていた着物を家族に盗まれた」―― 貧困妄想
×
妄想は、思考の障害のうち、内容の障害。
内容が不合理で有り得ない、病的に強い確信がある、訂正不可能である、という3つの特徴がある。
貧困妄想は、妄想のうち、例えば「財産を失った」という内容のもの。
うつ病で見られる思考の障害に、自己評価の低下が重症で、自分に関する事柄を極端に悲観的に捉え、次のような妄想による訴えが訂正不能で持続する(微小妄想)。
・貧困妄想(貯金がなくなりもう生きていけない、入院費が払えなくなった、など)
・罪業妄想(重大な罪を犯した、その罰を今受けている、など)
・心気妄想(重大な病気にかかった、もう先はない、など)
妄想の多くは統合失調症やその関連疾患でしばしばみられ、器質性の精神疾患であるアルツハイマー病でも見られる。器質性の精神疾患でしばしばみられる妄想に「物とられ妄想」(自分で通帳などを隠しておきながら、それを忘れて介護者が盗んだと思い込む)がある。
妄想については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p47-48、p138。
選択肢3:「車を運転したときに交通事故を起こしたような気がする」 ―― パニック発作
×
「車を運転したときに交通事故を起こしたような気がする」という訴えは、強迫観念でしばしば見られる。これば「通り過ぎた交差点へ確認のためにいちいち戻る」という強迫行為につながり、社会生活が阻害される。
パニック発作は、特段の理由なく急激に不安が高まる状態で、動機・頻脈、胸部苦悶、発刊、めまいなどを覚え「死んでしまうのではないか」という観念にとらわれる。
強迫については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p50-51、155-157。
パニック症については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p152-153。
選択肢4:「隣の家の人が電磁波攻撃を仕掛けてくる」 ―― 被害妄想
〇
統合失調症でしばしば見られる訴え。
妄想はその内容から以下の3つに区別される。
- 被害妄想:関係妄想、注察妄想、迫害妄想、ひどく妄想、嫉妬妄想、迫跡妄想、憑依妄想、など
- 微小妄想:罪業妄想、貧困妄想、心気妄想、など
- 誇大妄想:血統妄想、発明妄想、宗教妄想、恋愛妄想、など
妄想については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p47-48、p121、p138。
選択肢5:「誰もいないのに人の声が聞こえてきた」 ―― 強迫観念
×
「誰もいないのに人の声が聞こえてきた」という訴えは幻聴の可能性があり、統合失調症でしばしば認められる。
強迫観念とは、自分でも必要がない、不合理だと思っているのに、色々な考えやイメージ、特定の考えやイメージが頭に浮かんできて、長時間にわたり払拭できない状態。
幻聴については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p45、120.
強迫観念については、中央法規の当該科目テキスト(第2版)p50-51、155。
正答
4(「隣の家の人が電磁波攻撃を仕掛けてくる」 ―― 被害妄想)