こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
事例問題2
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Dさん( 62歳、男性)は、和食店で働いていた25歳の時に統合失調症を発症した。入退院を繰り返したが、40代以降は母親と同居し、通院のみで病状も落ち着いていた。Dさんが55歳の時に同居の母親が亡くなって、一人暮らしとなったために生活が乱れて妄想がひどくなり、精神科病院に入院となった。その後、Dさんは相続した自宅を不本意ながら売却することになった。Dさんは、入院後も何度か病状が再燃し、5年が経過した。新たに病棟担当になったE精神保健福祉士がDさんと面接すると、Dさんは、「自分は長男だから家を守っていくつもりだった。弟に『兄さんのこれからの生活のためにも売却した方がいい』と押し切られた」と感情的に語った。(問題52)
Dさんは、E精神保健福祉士との面接を通して徐々に落ち着きを取り戻し、主治医より退院の話も出るようになった。そして、「一人暮らしをしてみたい」と話し、退院を希望した。入院中の服薬や食事などの管理は看護師が行っていたが、「今はいい状態なので、帰る家さえ決まれば退院できると思う。一人暮らしは初めてだが、料理はできるし、なんとかなる」と話した。精神保健福祉士は、本人も参加するカンファレンスで退院に向けた病棟での働きかけを検討した。(問題53)
Dさんは、地域移行支援を利用し、グループホームの体験宿泊を繰り返しながら、退院準備を進めた。掃除やごみ出しに苦労していたが、半年後に退院し、ホームヘルパーに掃除や洗濯を手伝ってもらいながら一人暮らしをしている。また、自宅で料理を楽しんだり、地域活動支援センターの料理会に積極的に参加している。1年が経過した頃、相談支援事業所のF精神保健福祉士は、ホームヘルパーよりDさんが時々訪問日を間違えると報告を受けた。また、外来で何度も血糖値の高さも指摘された。Dさんも、「この前、道に迷ってしまった。コンロの火を消し忘れてしまった。今まではそんなことなかったのに」と言っており、F精神保健福祉士は本人と相談して、主治医を含む関係者とカンファレンスを開催することにした。(問題54)
問題52 次の記述のうち、この時にE精神保健福祉士がDさんに伝えた言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
- 「長男として悔しいし、やりきれなかったですね」
- 「弟さんはDさんの意向に反して実家を処分し、ひどい人ですね」
- 「病棟の中でDさんの楽しめることを見付けていきましょう」
- 「お母様は亡くなる前にDさんのことを考えてくれればよかったですね」
- 「実家はもうないので、諦めましょう」
設問について
相談援助の理念、基本姿勢についての理解が問われる問題。
新たに病棟担当となった精神保健福祉士が、患者から過去の話を感情的に語るのを聴いて、どのような反応をするべきか。
各選択肢について
選択肢1:「長男として悔しいし、やりきれなかったですね」
〇
「自分は長男だから家を守っていくつもりだった」というDさんの思いにを受け止め、寄り添い、「感情の反映」をしている。
選択肢2:「弟さんはDさんの意向に反して実家を処分し、ひどい人ですね」
×
家族は重要な社会資源。
Dさんと弟の関係性を良いものにしていく言動が望ましい。
実家の処分は弟なりにDさんのことを考えてのことであった可能性もあり、安易に弟を批判する発言は避けるべき。
選択肢3:「病棟の中でDさんの楽しめることを見付けていきましょう」
×
Dさんの生きる場所を病棟の中と決めつけるのはNG。
選択肢4:「お母様は亡くなる前にDさんのことを考えてくれればよかったですね」
×
Dさんの母親が生前どのような対応を行っていたのか明らかではなく、Dさんのことを考えていなかったかのように決めつけるのもNG。故人、しかもDさんの家族を貶める発言もNG。
選択肢5:「実家はもうないので、諦めましょう」
×
実家がもうないのは事実だが、「諦め」を勧める前に、Dさんの思いを受容する必要がある。
正答
1(「長男として悔しいし、やりきれなかったですね」)