日本では、社会通念や常識と言われる思い込みが変わりにくい、もしくは変わらないということがままあります。
ジェンダーギャップはその最たるもので、世界第三位の経済国でありながら女性を差別し続けること甚だしく、2018年には世界144位にまで落ち込みました。
なぜ日本ではなかなか変われないのか?
#KuTooキャンペーンを題材に考えました。
日本が変われない理由
日本が変わらないのはなぜか?
日本が変われない要因として個人的には、
- 日本が島国で、色んな意味で隔絶されているから
- 他国の情勢に疎い人が多いから
- 男性の多くが保守的だから
- 女性の多くが諦めやすいから
こんなところかと思っていますが、最大の理由は、
- 波風立てる変化よりも、不便や不都合が多くある状態の平穏を、多くの人が選ぶから
- 自分で考えることを放棄している人が多いから
ではないかと今のところ思っています。
これを立証するものは何もありません。私の勘です。歴史学者さんとか社会学者さんが調べてくれると嬉しいです。
変われない日本を表す「パンプスやヒール靴の女性への強制」
女性に対する様々な偏見と差別意識の現われの1つが、職場におけるパンプスやヒール靴の女性への強制です。
石川優実さんが厚生労働省宛の署名を集めようと始めた#KuTooのキャンペーンが広く話題になりました。
先月には約1万8千人の署名を厚生労働省に提出。それから約1か月経った今も署名は増え続け、3万5千人に届こうとしています。
イギリスでは同様のキャンペーンで3日間で10万人の署名があつまったそうです。ジェンダーギャップに関して、日本ではまだまだ意識が低いのかもしれません。
パンプスやヒール靴を女性に強制する人は誰か
健康経営が叫ばれるこの時代に、不健康な靴を女性にだけ強制する会社や業界があるということを、私は恥ずかしながらこのキャンペーンで初めて知りました。
家事や育児をはじめ女性に対する不当な強制が世の中にたくさんあることは承知しているけれども、それが業界や会社によっては靴にも及んでいることを知り、そんな靴を強制するバカは一体誰だ?と思ったのでした。
女性が健康に悪い靴を履いて、足を傷め痛めながら働く環境を作っているのは、
- ヒール靴の辛さを知らない、知ろうともしない男性
- その男性が中心となって作っている組織、団体
- 常識やマナーを疑ってみようとしない、考えない人たち
こんなところかと思います。
男性が女性にパンプスやヒール靴を強制する
#KuTooキャンペーンの提唱者である石川優実さんは、葬儀の案内をするお仕事をしていた時にヒール靴を強制されたということでした。
そこから察するに、冠婚葬祭といったフォーマルな服装やきちんとした対応が必要な業界では、接客スタッフにヒールの高さがある程度ある靴を求めるのだろうと思われます。
石川さん曰く、着用する靴については就業規則に定められていたそうです。
恐らく人事総務や労務管理を行う部署の人たちが中心となって、世間の常識とか、マナーとされる服装とか、色々なことを勘案して、就業規則が作られたのではないかと思います。
あるいは、どこかの会社で既に作られている就業規則を真似するとか、業界団体で何らかの規準のようなものを定めているとか、そんなところではないでしょうか。
日本の企業は何だかんだ言っても男中心の組織なので、男性目線で作られた規則が多いのであろうことは予想できます。
常識やマナーを疑ってみようとしない、考えない人たち
長年の間多くの人が思い込んでいる「フォーマルな服装のときはヒールの高さがある程度ある靴を履くべき」という社会通念。
仮に葬儀場で女性の案内人がヒールの低いフラットシューズを履いていたら、たとえそれが革靴であっても、「こういう場でヒールの低い靴を履くなんて失礼だ!非常識だ!」と騒ぐクレーマーも、もしかしたらいるかもしれません。
そういうことを恐れて、女性のマナーとされるヒール靴を強制する会社があってもおかしくありません。
そもそも、既存の常識や社会通念を、疑うことなく(=考えることなく)受け入れる人はたくさんいます。常識に限らず、考えること自体を面倒くさがる人がたくさんいます。考えても答えの出ないようなこと、自分一人が考えても仕方のないことについては考えることを放棄してしまう。
そういう人が多い社会では、「どうしてこれがマナーなんだっけ?」と考えるよりは、「これがマナーなんだから従っておこう」とする方にどうしたって寄っていくことになる。
良質なマナーが問われる葬儀等の接客において、長年マナーとされてきたことに疑問を呈して物議を醸すよりは、長い物には巻かれておいた方が無難、という方向に行くのはごく自然なことと思われます。
出る杭が打たれまくる日本、女性は特に打たれる
かくして石川さんが#KuTooキャンペーンを展開することになるわけですが、この運動が注目を集めたことで、石川さんのグラビアやヌードのお仕事をネタにした誹謗中傷“スラット・シェイミング”が起こりました。
これは本当にひどい。
世の中に多様な考え方があるのは当然ですが、グラビア女優がハイヒールの強制について疑問を呈したらいけないのか?
また、女性が表に立って活躍しようとすると、不当に足を引っ張ろうとする男性も多い。
出る杭が打たれるのは、男女関係ないように思われるかもしれませんが、打たれる杭と打つ人たちをよくよく見てください。出る杭が男性の場合、打つ人は大抵男性です。女性が出る杭になると、男性も女性も打ってきます。
もちろん例外はありますが。
だから、女性が何かを変えようとして目立つことをすると、色んな人が一斉に叩いてきたり、足を引っ張ったりするんです。そんな社会では、波風立てる変化よりも、不便や不都合が多くある状態の平穏を、多くの人が選ぶのは当たり前。
今月の参議院議員選挙を前に、女性の議員立候補の少ないことがマスコミで取り上げられましたが、出たら打たれるし、当選したらしたで男社会で理不尽な苦労が待ち受けているのは目に見えています。
かくして、変われない日本であり続けるのでしょう。