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合格レポート付き!〈レポート課題3〉精神保健福祉相談援助の基盤(専門)|精神保健福祉士養成課程通信科

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月に社会福祉士国家試験に合格したので、2023年3月に精神保健福祉士養成短期コースに申し込みました。

その学習についての記録です。

この記事では、精神保健福祉士養成課程通信科(短期)の、3つめのレポート課題の作成過程についてまとめます。

目次

レポート作成の準備

テーマ分析

今回のレポート課題、テーマはこれ。

・レポートテーマ:「精神障害者の権利擁護にかかる精神保健福祉士の役割について述べなさい。」(800字~1200字以内)

社会福祉士の養成課程で学ぶ際に考えた、合格するレポートの書き方を活用しつつ進めていこうと思います。

テーマだけ見て考えていると効率が悪いので、材料を集めながらテーマの分析を進めていきます。

材料を集める

中央法規の当該科目のテキスト(第2版)では、第8章が「精神障害者の相談援助における権利擁護の意義とその範囲」になっています。

レポートの主な内容は、恐らくこの章の重要な部分を切ったり貼ったりして800字~1200字程度にまとめたものになるかと。また、先にスクーリングで当該科目を受講したので、その中で強調されたことも盛り込めると良いと思います。

その作業をしながら、出題意図のカケラを拾い集めて、これまでになかった新たな気付きが得られることを目指します。

目次を作る

材料を集めながら目次(構成)を考えていきます。
見出しを付けるかどうかは後で考えます。

  • はじめに:精神保健福祉士の役割と機能概略
  • 精神障害者の権利擁護に関する問題点、課題
  • おわりに:精神障害者を支援する際の注意点

集めた材料メモ

下記に主な内容を書き出しましたが、1000字前後のレポートに、各発達段階についてこんなに書ききれるわけがないので、かなり絞らないと。
さて、どう絞りますか・・
この見極めが、本質を見出す作業というわけで・・

*()内はページ数

基本的なこと、用語の定義等

権利擁護(アドボカシー)

  • (209)1950年代から1960年代にかけて、人種問題を発端としたアメリカ社会の混乱から、ソーシャルワークは心理主義偏向から新たな方向に導かれ、グロッサーがアドボカシーを最初に取り上げた
  • (209)アドボケイト・ロール:弁護者としての役割
    ソーシャルワーカーが中立性を保ち、側面的支援を行うという従来の立ち位置から、クライエントの側に大きくシフトする必要性を示したもの

秋山智久によるアドボカシー

(226)「ソーシャルワーカーがクライエントの生活と権利を擁護するために、その知識と技術を駆使して、主として行政・制度や社会福祉機関・施設の柔軟な対応や変化を求めて行う専門的・積極的な弁護活動」

  1. 発見の機能:当事者のおかれている環境や状況に対する問題発見者・問題提起者としての役割
  2. 調整の機能:制度・組織との仲介者・媒介者の役割を果たすが、これは主として「ケース・アドボカシー」における役割
  3. 介入の機能:ワーカーの理念と組織・制度の問題を結びつけるためにクライエント集団と地域社会福祉政策とを結びつける攻撃的介入者の役割である。これは「クラス・アドボカシー」における役割でもある。
  4. 対決の機能:制度や組織の厚い壁に対して、専門職としての中立性は保ちながらも当事者の利益のために代弁する機能。スパイ、パルティザン、ゲリラ的役割。
  5. 変革の機能:ソーシャルワーカーが日常的なジレンマを抱きながらも、変革主義者・弁護的変革者として機能することの必要性を指摘している。

人権を擁護する精神保健福祉士の役割

  • (225)精神保健福祉士は、インテーク、アセスメント、プランニング、モニタリング、エバリュエーションといったソーシャルワークのプロセスに沿った個別支援を行うが、そのプロセスの中で、多くの専門的機能を活用しながら実践を行っている
  • (226)ソーシャルワーカーが権利擁護に携わるためには、その実践のなかに多くの機能を発揮することが求められている。
代表的な役割的機能
  • 対クライエント
    ー 側面的援助機能(イネイブラー)
    ー カウンセリング機能
    ー 教育機能
  • クライエントと環境との間
    ー 情報提供機能
    ー 代弁・代行機能
    ー 相互の調整、媒介
    ー 保護機能
  • 組織や地域社会を対象
    ー 組織を運営するための管理機能
    ー 資源と資源を結ぶネットワーキング機能
    ー 他領域へのコンサルテーション機能
    ー 新たな社会資源を生み出す開発機能

引用

  • (222)人権を侵害されてきた長い歴史を持つ精神障害者を援助対象としてきた精神保健福祉分野のソーシャルワーカー
  • (223)各国で精神障害者の権利擁護システムが構築されてきている
  • (223)日本では精神障害者への偏見や、権利意識の立ち遅れ、さらには、疾患と障害を併せもつがゆえに「治療の必要性」と「権利の擁護」のせめぎあいという固有の問題から逃れることができずにきた
  • (225)クライエントと環境の間では、クライエントに対する情報提供機能や代弁・代行機能、相互の調整や媒介、保護機能などを担うが、それらの多くは権利擁護(アドボカシー)機能を含んでもいる
  • (225)精神障害者の歴史を振り返ったときに、長期入院や社会での受け皿がなかったことなどから、権利を意識し、主張するという機会を奪われてきた人たちが多いことに気が付く
  • (233)権利擁護はソーシャルワークの根幹をなす視点であり、精神保健福祉士の実践には権利擁護の機能は欠くことのできないものである。
注意点
  • (222)自立した専門職として、権利擁護(アドボカシー)をどう実践していくのか、そこでソーシャルワークはどう機能できるのかという具体的な方法論の構築、所属機関との対立やシステムの不備、社会資源の不足、支援者の不在など、多くの歴史的課題を私たちは引き継いで、今ここにいるのである。
  • (223)多くの病院の精神保健福祉士がとってきた役割は「擁護者」ではなく「権利保護者」であり、日本の医療・福祉の領域において、クライエントの立場にたつ擁護者は不在で、独立した権利擁護機関が確立されていないのである
  • (226)多くの精神保健福祉士は、サービス提供機関に所属し、雇用されているものであり、所属機関の一員として利益を追求しながらも、他方では、サービス利用を権利として最大限に擁護しようとするものでもあるという矛盾した立場に立っているのである。
  • (227)精神障害者の場合、サービス提供機関や専門職との対等性、パートナーシップの獲得が困難な場合が多く、専門職と依存的な関係を築きやすい傾向にある。(略)そうした人たちの支援に、精神保健福祉士のアドボカシー機能やスキルが活用される。それは人としてのセルフ・エスティーム(自己肯定感)を高め、こうありたい自分、自己イメージやアイデンティティの再構築といったプロセスを含むものである。情報提供や試験的な体験などを通して、意思形成を促すこと(サービス情報などへのアクセス支援を含む)、次に、意思を伝えるコミュニケーションスキルの獲得などを経て、意思決定に至る人もいる。権利を擁護する精神保健福祉士は、単に代行や代弁を行うだけでなく、クライエントが自己決定に至るそのプロセスを支援するもである。
  • (235)精神保健福祉士が日常業務のなかで行っている調整や媒介といった機能は、権利擁護機能としても位置づけられる機能である。しかし、誰にとっての調整であり、結果としてなされた決定は、誰のための何を目的とした決定なのかということについて意識化する必要を感じる。
  • (235)福祉の対象となる人たちのなかには、権利を意識し、主張できるような経験が積み上げられていない場合も多いのである。
  • (246)成年後見人がついているわけではない対象者すべてに、自己決定をそのまま自己責任に置き換えてしまうというかかわりでよいのかというと、そういうわけにもいかない。逆に、判断能力が不十分だという理由で代理行為を行うことも慎重であらねばならない。知識や経験が不足している事柄に関しては、能力や資質を引き出すことを含めたプロセスにかかわることにこそ、精神保健福祉士の存在意義がある。
  • (246)日本の福祉専門職はサービス提供機関に所属している人が大多数である。専門職は所属している機関に雇用されるものであり、かつ、サービス利用を権利として最大限に補償しようとするものでもあるという矛盾した立場に立っている。

一応できたので、しばらく温めます。
思いのほか、長くかかってしまいました・・

一旦書いたけど破棄Ver.

「権利擁護」は、ソーシャルワークの実践に欠かせない、ソーシャルワークの根底をなす価値であり、目指し貫くべき理念である。「人権擁護」とともに「人間の尊厳の保持」という根源的価値を支え、ソーシャルワーク実践を方向づけるものである。また、精神保健福祉士という資格制度誕生の背景には、精神障害者の権利が制限される長期入院の解消や社会的復権の必要性があった。精神科ソーシャルワーカーが実践してきたその活動も「権利擁護」につながるものであり、精神保健福祉士の役割の根幹にあると言えるだろう。
 日本における権利擁護(アドボカシー)の捉え方とその実践は、国際的な流れに影響されながら時代とともに変化してきた。かつては権利擁護とアドボカシーを分けて考えて援助者側の機能に着目する捉え方が主流であったが、近年はクライエントを中心にエンパワメントを支援する立場も台頭している。今日の権利擁護(アドボカシー)は、クライエントのエンパワメントを促進し、自己決定を支援する積極的な意味も持つと言えよう。
「成年後見制度」や「生活自立支援事業」といった狭義の権利擁護は当然重要であり、精神障害者の代弁者として、彼らの権利を守るための法的な枠組みや政策の改善を求める役割を精神保健福祉士が担う場合もあるだろう。しかし広義においては、権利擁護(アドボカシー)を単なる「弁護」や「代弁」と捉えず、クライエントの生活や権利を支援していく上での積極的な情報提供や権利教育を含み、セルフ・アドボカシーに寄与することも含むものと捉えられる。この広義の権利擁護の実践は、クライエントの自立を支援する権利擁護であり、ケース・アドボカシーかクラス・アドボカシーかに関わらず、精神保健福祉士にとって殊の外重要ではないだろうか。
 広義の権利擁護における支援では、クライエントのエンパワメントを促進して、抑圧(権利侵害)されていたクライエントが自身の抑圧されている状況に気付き、自尊感情を取り戻し、潜在的能力に気付き、問題に対処する能力を身に付け、自己決定する生き方を身に付けられるようはたらきかける。精神保健福祉士はその際、数多くの専門的技術を用いて機能を発揮し役割を果たすこととなるだろう。その機能と役割、専門的技術の一つ一つを、ソーシャルワークの価値に照らして権利擁護につながるものであると常に自覚して意図的にクライエントと関わることも、精神保健福祉士に求められていると考えられる。
 精神疾患や精神障害に対する誤解や偏見は現在もなお根深く残っている。また、精神科医療においては重大な権利侵害が長年行われてきた歴史があり、最近も深刻な事件が報道された。このような状況において精神保健福祉士は自らに課される権利擁護の機能と役割の重さを十分に自覚して業務に取り組む必要があると言えよう。

合格レポート

提出して、合格となったレポートを掲載します。
ご参考になれば幸いです。
丸写しはダメですよ。

「権利擁護」は、精神保健福祉士がソーシャルワークを実践する上で欠かせない、ソーシャルワークの根底をなす価値であり、目指し貫くべき理念である。精神保健福祉士の業務や機能のほとんどに対して、権利擁護は価値・理念・視点として位置付けられている。「成年後見制度」や「日常生活自立支援事業」といった狭義の権利擁護にとどまらず、クライエントの生活や権利を支援していく上での積極的な情報提供や権利教育を含めて権利擁護を実践していく必要がある。
 秋山智久(1999)はソーシャルワーカーが権利擁護上において果たす機能と役割を下記の5つに整理、検討している。
1.発見の機能:当事者の置かれている環境や状況に対する問題発見者、問題提起者としての役割
2.調整の機能:制度・組織とも仲介者・媒介者の役割。主にケースアドボカシーにおける役割
3.介入の機能:ワーカーの理念と組織・制度の問題を結び付けるためにクライエント集団と地域福祉政策とを結びつける攻撃的介入者の役割。主にクラス・アドボカシーにおける役割
4.対決の機能:制度や組織の熱い壁に対して、専門職としての中立性は保ちながらも当事者の利益のために代弁する機能
5.変革の機能:ソーシャルワーカーが日常的なジレンマを抱きながらも、変革主導者・弁護的変革者として機能すること
 谷川ひとみらによる下記の整理もある。高齢者支援に向けたものだが、精神障害者支援においても権利擁護の役割を果たす上で有用と思われる。
1.発見機能:利用者が権利行使できていない・していない、権利侵害がされている実態を発見する
2.啓発(教育)機能:利用者自身がどのような権利をもっているかを理解し、その権利を行使してよいということを自覚できるようにする
3.予防機能:啓発機能の実践を通して、権利侵害の事態が発生しないようにする
4.救済機能:緊急保護、権利擁護の制度へつなげる、苦情解決のしくみへつなげるなどして、事後的に権利侵害状態からの救済を図る
5.エンパワメント機能:一連の支援過程を通して、利用者が権利主体としての認識を強めることができるようにする
6.開発機能:地域で自立生活を送るために必要な、未整備の社会資源を開拓・開発するソーシャルアクションを行う  

精神疾患や精神障害に対する誤解や偏見は現在もなお根深く残っている。精神科医療においては重大な権利侵害が長年行われてきた歴史があるが、最近も深刻な事件が報道されており、決して過去のことではない。支援を必要とする人の中には、権利を意識し主張する機会を奪われてきた経験を有する人は多いこともあり、精神保健福祉士による権利侵害も起こり得る。このような状況において精神保健福祉士は、自らに課される権利擁護の機能と役割の重さを常に自覚して業務に取り組む必要があると言えよう。

講師講評

教科書の内容に沿って精神障害者の権利擁護に係る精神保健福祉士の役割について適切に述べられているという印象です。精神保健福祉士の権利擁護的役割は、精神保健福祉士が生まれた経緯・経過、精神保健福祉士法の第二条の定義を踏まえると、精神障害者、精神疾患の受療及び社会復帰施設利用者の診療促進、社会復帰促進に関わる範囲での権利擁護に限定されて定義されている印象です。従って今回のテーマに対する解答としましては精神障害者の権利擁護に限定した内容で十分であると考えます。ただ、現在の精神保健福祉士の活動範囲からみると、精神保健福祉法で規定されている以外の対象者をも支援する場合も含まれていることがわかると思います。このようなすべての対象者における権利擁護としては診療、社会復帰促進という内容を含めた基本的人権、生存権、生活権、さらには幸福権など精神障害を有さない一般の人と同等の権利全般をも擁護する立場に精神保健福祉士はいると言えます。障害のない人にとっては普通の、当たり前になっていること、すなわちクライエントが自力で自己決定に至るプロセスを支援することが精神保健福祉士の役割であるということがいえると思われます。
精神障害者・精神疾患患者に対する人権侵害事件は中々なくならない印象です。教科書的には宇都宮病院事件、Y氏事件が有名でしょう。ことにY氏事件は精神保健福祉士の権利擁護の姿勢を根幹から揺るがす内容なことが知られています。そしてその後、日本精神保健福祉士協会では精神保健福祉士の権利擁護に係る倫理綱領をまとめています。日本社会福祉士会でもまとめられておられますのでご存じの方は多いと思います。精神保健福祉士の倫理綱領もご一覧いただけますと幸いです。

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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