こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
事例問題2
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
発達障害者支援センターのF精神保健福祉士は、Gさん(35歳、女性)から息子のHさん(7歳)のことで相談を受けた。Gさんの話は、「Hは、幼少期から人見知りやこだわりが強かったが、障害とは思っていなかった。保育園でもささいなことで泣き出していたが、園長から、『Hさんの個性として受けとめましょう』と言われていた。しかし、地元のV小学校に入学すると、音に過敏で先生の話が聞けない、ノートが取れない、場面の切替えができない、運動会に参加できないなど、様々なつまずきがみられた。そして、2年生になると授業についていけなくなり、登校を嫌がって自宅でテレビゲームばかりするようになった。そこで、専門医を受診したところ、自閉症スペクトラムと診断された」とのことである。Gさんには診断にショックを受けながらも、無理やり登校を強いてきたことを責める様子がみられた。そして、「私はこれからHにどのように接したらいいのでしょうか」とF精神保健福祉士に尋ねた。(問題52)
V小学校には特別支援学級はなかったが、GさんもHさんも転校は望んでいなかった。そこで、F精神保健福祉士はV小学校と協議の場を設け、Hさんが安心して学校に通うための対応を提案した。(問題53)
Hさんが4年生に進級した時に、特別支援学級が設置され、Hさんは通常の学級との併用を開始した。ところが、しばらくするとHさんは、「なぜ自分だけが他の教室に行くの?」と特別支援学級に行くのを拒み、通常の学級での個別の配慮も嫌がるようになった。Gさんは、Hさんの言動に驚く一方、Hさんが他の児童と自分を比べざるを得ない状況に心を痛めた。Gさんの思いを聞いたF精神保健福祉士は、この件についてV小学校と協議を重ねた。そして、Hさんと同じ配慮が望ましい児童が複数いることも分かり、同様の配慮を教室環境や授業展開に取り入れた。結果として、Hさんが落ち着いて学習できる環境は、他の児童の学習効果につながるものでもあった。また、この取組を通して、児童たちが、Hさんの困り事や支援の意義を理解できるようになったことは大きな成果であった。(問題54)
問題54 次のうち、V小学校の児童への取組を示すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ソーシャルキャピタル
- ユニバーサルデザイン
- ソーシャルロール・バロリゼーション
- ヘルスプロモーション
- アファーマティブアクション
設問について
相談援助に関わる言葉に関する理解が問われる問題。
精神保健領域以外の言葉についても知っておきたい。
各選択肢について
選択肢1:ソーシャルキャピタル
×
ソーシャルキャピタルは、社会関係資本とも。
政治学者のパットナムが1993年にその著書で示して注目されるようになった言葉。
円滑な人間関係や協調行動が社会の効率性を高める、人的ネットワーク等の社会組織が大切である、という考えに基づく。
選択肢2:ユニバーサルデザイン
〇
ユニバーサルデザインとは、障害者や高齢者等、特定の人を対象とするバリアフリーデザインに代わり、誰にとっても使いやすいという考え方。自らも障害者であるメイスが提唱。
選択肢3:ソーシャルロール・バロリゼーション
×
ソーシャルロール・バロリゼーションとは、障害者等社会的マイノリティの人を、保護の対象とするのではなく、社会的役割を持ちその役割を維持するために能力を高めることで、結果的にその人の社会的意識の改善を目指す考え方。
ヴォルフェンスベルガーが1983年に提唱。
選択肢4:ヘルスプロモーション
×
ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス。個人の意識や行動変容を求めるだけではなく、社会環境や法整備等の環境づくりが重要とされる。
世界保健機関が1986年に提唱、2005年に再提唱。
選択肢5:アファーマティブアクション
×
アファーマティブアクションは、ポジティブアクションとも。
性別や人種等の属性で社会的弱者とされる人を、公正でない立場におかれている存在ととらえて救済する優遇措置。
正答
2(ユニバーサルデザイン)