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(1) 精神疾患とその治療|第22回 精神保健福祉士 国家試験対策 過去問題しゃぶり尽くし

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

目次

第22回 精神保健福祉士 国家試験「精神疾患とその治療」

問題 1 次のうち,交感神経の活動の高まりを示すものとして,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 瞳孔の縮小
  2. 脈拍の減少
  3. 血圧の低下
  4. 消化液の分泌減少
  5. 腸管蠕動の亢進

自律神経系の機能についての基本的な問題。
共通科目「人体の構造と機能及び疾病」ともかぶる範囲で、確実に正答を導きたい問題です。
学校指定のテキスト、受験対策のテキストに掲載されている範囲のことは押さえておきたいところ。

本問については下記サイト「MSDマニュアル-家庭版」を参考としてメモしておくにとどめます。
MSDマニュアル-家庭版:自律神経系の概要

正答:4(消化液の分泌減少)

問題 2 次のうち,ICD-10 において,解離性(転換性)障害に含まれているものとして,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. トランスおよび憑依障害
  2. 強迫性障害
  3. パニック障害
  4. 身体化障害
  5. 離人・現実感喪失症候群

応用問題と言えるかと思います。

本問については下記サイトを参考としてメモしておくにとどめます。
厚生労働省:ICD-10(2013年版)準拠 内容例示表
厚生労働省e-ヘルスネット:休養・こころの健康
メドレー:解離性障害、転換性障害
日本精神科病院協会:主な精神障害の解説
精神・発達障害者しごとサポーター養成講座:精神障害(精神疾患)の特性(代表例)

正答:1(トランスおよび憑依障害)

問題 3 次のうち,心的外傷後ストレス障害(PTSD)の典型的な症状として,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. アンへドニア
  2. 多重人格
  3. 疾病恐怖
  4. 考想吹入
  5. 的外れ応答

心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する基礎的な問題。

厚生労働省:みんなのメンタルヘルス「PTSD」
厚生労働省e-ヘルスネット:休養・こころの健康「PTSD / 心的外傷後ストレス障害」

アンへドニア

アンヘドニアとは、ポジティブ感情の低下、意欲の減退、報酬に対する感受性の低下、喜びの喪失などといわれているものです。
アンヘドニアはうつ病の中心的な症状の1つですが、うつ病に限らず様々な疾患(例えば、統合失調症、強迫症、外傷後ストレス障害など)においてもみられる症状です。

実はアンヘドニアは、薬物療法や従来の心理療法では改善しにくいことがわかっています。
近年提唱された研究領域基準(Research Domain Criteria;RDoC)では、アンヘドニアはポジティブシステムの失調/障害として整理されています。つまり、ポジティブシステムが働かなくなっている状態です。

国立精神・神経医療研究センター:認知行動療法センター>アンヘドニアに対するポジティブ価システムに焦点を当てた認知行動療法の超高周波音響療法による増強効果(PoCot:ぽこっと)

多重人格

一人の人間の中に全く別の性別、性格、記憶などをもつ複数の人格が現れる神経症。

解離性同一症とは、かつて多重人格障害と呼ばれた神経症で、子ども時代に適応能力を遥かに超えた激しい苦痛や体験(児童虐待の場合が多い)による心的外傷(トラウマ)などによって一人の人間の中に全く別の人格(自我同一性)が複数存在するようになることをさします。

厚生労働省e-ヘルスネット:休養・こころの健康「解離性同一症 / 解離性同一性障害」

疾病恐怖

病気不安症は、自分は重篤な病気にかかっている、またはかかりつつあると思い込む精神障害です。
患者は病気にかかっている、あるいはかかるのではないかと深刻に心配しているため、強い苦痛を感じ、日常の役割を果たすのが難しくなります。
徹底的な評価によって重篤な病気が否定されたにもかかわらず、患者が重篤な病気にかかっている、またはかかりつつあると心配し続ける場合に、この病気と診断されます。

MSDマニュアル家庭版:病気不安症

考想吹入

思考奪取または思考吹入に関する妄想:他者が自分の心を読み取ることができる,自分の考えが他者に伝わっている,または考えおよび衝動が外的な力によって自分に押し付けられていると確信する。

MSDマニュアルプロフェッショナル版:統合失調症

的外れ応答

ガンザー症候群

ガンザーもうろう状態ともいう。拘禁下の心因反応としてみられることの多いヒステリー性精神症状をいう。質問を受けた際,内容はかなり正確につかんでいると思われるのに,ばかげた応答をするなど痴呆と見誤るような症状を呈する。多くの場合,意識障害,幻覚性錯乱,夢幻様状態などを伴うが,長期間継続することは少い。ぼんやりした表情と力のない態度が特徴的。ドイツの精神科医 S.ガンザー (1853~1931) が拘禁された未決囚にみられる症候群として報告したので,その名がつけられた。

コトバンク:ガンザー症候群

正答:1(アンへドニア)

問題 4 次のうち,成人で発症した神経性無食欲症の典型的な症状として,正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 頻脈
  2. 無月経
  3. 過活動
  4. 低身長
  5. 過呼吸

神経性無食欲症に関する基本的な問題。
下記サイトが参考になりました。
MSDマニュアルプロフェッショナル版:神経性やせ症
厚生労働省e-ヘルスネット:休養・こころの健康「摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症」

正答:2(無月経)
   3(過活動)

問題 5 小児自閉症に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 症状は急性に出現する。
  2. 女児に多く発症する。
  3. 3歳までに症状が明らかになる。
  4. 虐待が原因で発症する。
  5. コミュニケーション能力は高い。

小児自閉症に関する基本的な問題。
MSDマニュアル家庭版:自閉スペクトラム症
MSDマニュアルプロフェッショナル版:自閉スペクトラム症

正答:3(3 歳までに症状が明らかになる)

問題 6 次のうち,緊張病状態でよくみられる症状として,正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 躁気分
  2. 知能低下
  3. せん妄
  4. 常同症
  5. 拒絶症

緊張病は、興奮・昏迷を基本として、①カタレプシー(同じ姿勢を固持する)、②反響言語(相手の言葉をオウム返しする),反響動作(相手の動作を反復する)、常同症(同じ動作をつづける)、拒絶症(態度や行動で拒否を示す)、無言など、特徴的な症状を示す症候群です。

統合失調症のみならず、うつ病、双極性障害、脳炎などによる器質性精神病などが原因のこともあるため、慎重な診察が必要となります。生命維持のための基本的な生活活動(食事摂取や飲水、休息、清潔動作など)ができなくなるため、脱水や低栄養、身辺の不潔、褥創、誤嚥、失禁、廃用性の筋萎縮や関節拘縮などが合併しやすく、身体的なアセスメントやケアが必要となり、多くの場合入院治療が必要となります。

COMHBO地域精神保健福祉機構:統合失調症・妄想性障害・緊張病

躁気分

躁気分は、晴れ晴れとして自身に満ちた気分で、多弁・多動、万能感を伴うこともある、躁状態の時の気分を指すと考えられます。

躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。
躁状態ではとても気分がよいので、本人には病気の自覚がありません。

厚生労働省:みんなのメンタルヘルス「双極性障害(躁うつ病)」

知能低下

「陽性症状」「陰性症状」と並んで、統合失調症の症状として注目されるようになってきたのが「認知機能障害」です。認知機能というのは、記憶したり、注意を適切に集中させたり、計画を立てたり、判断したりする能力のことです。健康な人は、それとは意識せずにこの認知機能を働かせていますが、統合失調症の場合、この機能が低下します。

NHK福祉ポータル ハートネット:統合失調症とは

せん妄

せん妄は、突然発生して変動する精神機能の障害で、通常は回復可能です。注意力および思考力の低下、見当識障害、覚醒(意識)レベルの変動を特徴とします。
多くの病気、薬剤、毒物などが、せん妄の原因になりえます。
(中略)

せん妄状態の人は、睡眠中も落ち着きがなかったり、睡眠と覚醒のサイクルが逆転して昼間に眠って夜間に起きていたりすることもよくあります。

奇妙で恐ろしい幻覚を見たり、実際にはいない人や存在しない物が見えたりすることもあります。なかにはパラノイア(迫害されているという根拠のない思い込み)や妄想(誤った強い思い込みで、通常は知覚や経験を誤って解釈してしまうことによって生じるもの)がみられる人もいます。

せん妄は人格や気分を変えてしまうこともあります。物静かで内向的になる結果、せん妄状態にあることを誰からも気づかれない人もいれば、イライラして、興奮状態で慌ただしく動き回る人もいます。

MSDマニュアル家庭版:せん妄

常同症

ある特定の行為を長時間にわたって反復持続する症状で,緊張型統合失調症の興奮期によく起こるとされている。手の上下運動を繰り返したりする常同運動,特定の姿勢をとり続ける常同姿勢,一定の場所から離れようとしない場所の常同,同じことばか句を繰り返す音誦症などがある。

コトバンク:常同症

拒絶症

統合失調症(精神分裂病)に最も多くみられる精神運動障害の一つ。患者は他人の命令や期待を拒否し,あるいは強く抵抗してかえって逆のことを行う。この症状が食事について現れるときは拒食症,言語について現れるときは緘黙(かんもく)症と呼ばれる。

〘名〙 緊張型統合失調症に最も多くみられる精神運動障害の一つ。他人の要求や命令に対して反抗や抵抗を示し、逆のことをしたりすること。

コトバンク:拒絶症

正答:4(常同症)
   5(拒絶症)

問題 7 次のうち,抗精神病薬の主な副作用として,適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 健忘
  2. 脱抑制
  3. 身体依存
  4. 反跳性不安
  5. 遅発性ジスキネジア

抗精神病薬とは?

抗精神病薬は統合失調症の治療の中心となる薬で、主として脳内のドーパミン神経の活動を抑えることにより、幻覚や妄想、考えをうまくまとめられない、気持ちをうまく表現できない、意欲がわかないなどの症状を改善し、また再発を防ぐ効果があります。

大塚製薬|すまいるナビゲータ | 統合失調症のお薬について(薬の種類や副作用の解説)

抗精神病薬は,神経伝達物質受容体に対する特異的な親和性と活性に基づいて,従来型抗精神病薬および第2世代抗精神病薬(SGA)に分類される。

抗精神病薬 – 08. 精神障害 – MSDマニュアル プロフェッショナル版

主な抗精神病薬の副作用

錐体外路症状
ドーパミン神経の過剰な遮断によって、日常の動作が障害されてスムーズな体の動きができなくなります。

パーキンソン様症状
体がうまく動かない、手がふるえる、体が前かがみになって小刻みに歩く、など

ジストニア
目が上を向く、ろれつがまわらない、首が反り返る、体が傾く、など

アカシジア
足がむずむずする、絶えず歩き回る、足を落ち着きなく揺らす、など

ジスキネジア
無意識に口が動く、手足が勝手に動く

流涎(りゅうぜん)
よだれが多量に出る

悪性症候群
急に高熱(38℃以上)が出て下がらない、汗を多くかく、脈が速くなる、筋肉のこわばりが強くて動けない、意識がもうろうとするといった症状が現れることがあります。発症率は、抗精神病薬を使っている人の1%未満とまれですが、放置すると死に至る危険性もある重い副作用です。現在では有効な治療方法が確立していますので、速やかに受診して医師の指示に従いましょう。

体重が増える
抗精神病薬の中には、服用することで食欲を亢進させて体重を増やしてしまうものがあります。精神疾患にかかると、食生活や生活習慣が乱れたり、運動不足になることがありますので、日常の食事や運動などで体重コントロールを心がけましょう。

糖尿病
抗精神病薬の中には、糖尿病の人には使用できないものがあります。自分や家族が糖尿病を患っている人は、必ず医師に伝えてください。短期間に急激に体重が増えた、のどが渇く、砂糖を多く含む清涼飲料水をたくさん飲むようになった、おしっこの量・回数が増えた、などは糖尿病が疑われるため速やかに受診して検査を受けましょう。

脂質異常症(高脂血症)
患者さんの体質や抗精神病薬の特性によって、血清脂質値の異常が現れる可能性があります。脂質異常症は心臓病や動脈硬化の危険因子です。統合失調症の患者さんは、喫煙、肥満、糖尿病といった危険因子をすでにもっている場合がありますから特に注意が必要です。

統合失調症とメタボリックシンドローム
精神疾患にかかっているとメタボリックシンドローム(メタボ)になりやすいことが知られています。病気のために食生活や生活習慣が乱れがちになったり、健康への関心が低下してしまったり、また、抗精神病薬の中にはメタボを引き起こす可能性のあるものもあります。
定期的に体重を測定したり、血液検査を受けて、メタボチェックを続けましょう。

大塚製薬|すまいるナビゲータ | 統合失調症のお薬について(薬の種類や副作用の解説)

健忘

健忘とは、きっかけとなった出来事の数秒前、数日前、さらに前、またはその後に起こった体験や出来事を思い出す能力が部分的または完全に失われる障害です。

健忘 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MSDマニュアル家庭版

脱抑制

薬物やアルコールといった外的な刺激によって抑制が効かなくなった状態のこと。

脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことを指します。脳の外傷、特に前頭葉の損傷では共通した症状としてみられるほか、せん妄、躁状態、薬物・アルコールの影響下にある人にも認められます。

脱抑制 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

身体依存

薬物の摂取をやめると、離脱症状と呼ばれる身体の症状が起こる状態のこと。

耐性や精神依存が生じた状態で、多量の依存性薬物を連用するようになると、やがて身体依存が形成されます。

もともと体は依存性薬物を摂取した状態では呼吸や脈拍などの機能に影響を受けます。ところが身体依存の状態になると、薬物を摂取した状態が普通の状態であると身体がみなすようになり、その薬物が体内にあっても身体が正常に機能するようになります。そして逆に、薬物が切れると離脱症状と呼ばれる症状が現れるようになります。

身体依存 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

反跳性不安

ベンゾジアゼピン系抗不安薬では、突然服用を中止すると服用前より強い不安が現れるようになるらしい。
「反跳性不眠」の記事はたくさんあったけど、「反跳性不安」についての良記事が見当たらなかったので、下記を引用。

反跳性不眠(はんちょうせいふみん)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用することによって、ほぼ満足できる睡眠が得られるようになった段階で、突然服用を中止すると服用前より強い不眠が現れるようになる。これを反跳性不眠といい、一般に作用時間の短い薬剤ほど出現しやすい。

反跳性不眠|睡眠用語辞典|不眠・眠りの情報サイト スイミンネット

遅発性ジスキネジア

前述の通り、「無意識に口が動く、手足が勝手に動く」ジスキネジアは、抗精神薬の副作用のひとつ。

正答:5(遅発性ジスキネジア)

問題 8 次の記述のうち,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方するときのうつ病患者に対する説明として,適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 「空腹時に服用してください」
  2. 「イライラ感の出現に注意してください」
  3. 「服用後数時間で効果が出現します」
  4. 「服用後数時間は安静にしてください」
  5. 「症状の強いときに頓服として服用してください」

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とは?

脳の神経伝達物質の中でもセロトニンの再取り込みを阻害することで神経細胞と神経細胞の間のセロトニンの量を増やし、情報伝達を増強して抗うつ効果を発揮すると考えられています。

うつ病のお薬について(薬の種類や副作用の解説) | すまいるナビゲーター | 大塚製薬

少数の患者では,SSRIの投与開始または増量後1週間以内に,焦燥,抑うつ,および不安が増強したようにみえることがあり, SSRIと自殺傾向の可能性について従来から懸念が存在する。

うつ病の薬物治療 – 08. 精神障害 – MSDマニュアル プロフェッショナル版

2.重要な基本的注意
1)うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
2)不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
3)自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
4)家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
5)眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
6)投与中止(突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚、頭痛及び悪心等があらわれることが報告されている。投与を中止する場合には、突然の中止を避け、患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。

選択的セロトニン再取り込み阻害剤 – 日本医薬情報センター「セルトラリン錠」PDF

正答:2(「イライラ感の出現に注意してください」)

問題 9 次のうち,「転移」を利用する精神療法として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 森田療法
2 行動療法
3 ゲシュタルト療法
4 支持的精神療法
5 精神力動的精神療法

精神科領域の治療技法に関する標準的な問題。

精神療法とは

人間同士の交流を通して症状や苦痛、様々な窮屈感や不自由感に介入する治療を精神療法といいます。

日本精神神経学会 精神療法委員会に「精神療法について」を訊く

上記ページによると、精神療法は以下の2種に分けられる。

  1. 対象となる人のパーソナリティや考え方の変化や成長を積極的に目指していく治療
    例:力動的精神療法、認知行動療法、森田療法、内観療法など
  2. そうした変化は目指さず、その人が現在持っている資質を十全に活かせるようにすることで適応力を挙げることを支援する治療
    日本では「支持的精神療法」と呼ばれることが多いもので、普段の診察場面でも主治医によって幅広く実施されている。主治医は診察場面が話しやすい雰囲気になるよう気を遣い、「薬を飲みたくない」と言う人がいれば一体何を心配しているのかを明らかにして、その解決を試み、医師からの直接的働きかけを好むように感じられる場合には「〇〇しましょう」と明確な指示や指導を行い、直接指示されることを好まないと推定される場合では選択肢を示唆する程度に留め、本人の積極性を引き出そうとする。

MSDマニュアルの記載もメモ。

精神療法(心理療法)

対話療法とも呼ばれる精神療法の分野は、近年になって大きな進歩を遂げています。精神療法家は、共感的かつ受容的な雰囲気をつくり出すことで、患者が直面している問題の原因に患者自身が気づき、対処法を自分で考え、それを実行できるよう手助けします。精神療法を通じて得られる感情的気づきと洞察によって、しばしば患者の態度や行動に変化が生じ、以前より充実し、満足のいく生活を送れるようになります。

精神療法は様々な状態に適し、効果的です。精神障害がない人でも、就職先が見つからない、大切な人との死別、家族が慢性の病気を患っているといった問題に対処するときには、精神療法が役立つことがあります。グループ精神療法、夫婦療法、家族療法も広く行われています。

精神障害の治療 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版

森田療法

森田療法は、わが国の精神科医、森田正馬(もりたまさたけ)(1874~1938)によって創始された神経症に対する独自の精神療法です。
(中略)
森田療法はこのような観点から、患者さんが症状へのとらわれから脱して「あるがまま」の心の姿勢を獲得できるよう援助します。「あるがまま」の姿勢とは、不安や症状を排除しようとする行動や心のやりくり(「はからい」と呼ばれます)をやめ、そのままにしておく態度を養うことです。さらには、不安の裏にある、よりよく生きていきたいという欲望(生の欲望)を建設的な行動として発揮していくことをも意味しています。こうした行動を通して、自分を受け入れ自分らしい生き方を実現することが森田療法の最終的な目標になります。

森田療法とは | 東京慈恵会医科大学 森田療法センター

行動療法

行動療法は行動理論と学習理論に立脚してなされるが、治療の目標は、まず行動の変容である。意識や無意識に働きかけるのではなく、異常行動そのものを治療の対象とする。

(中略)

行動療法では、異常行動は素質ではなく後天的に学習されたものであると考える。したがって、学習の原理によって、適切に学習し直すのが治療である。主として条件づけの考え方にたって、さまざまな治療法がくふうされている。

 その代表的なものが系統的脱感作法で、主として恐怖や不安を解消するためにくふうされた方法である。

コトバンク:行動療法

ゲシュタルト療法

「いまここ」の気づきに焦点を当て、過去に囚われることなく、未来を恐れることなく、自らが求める人生を得るためのお手伝いをする心理療法です。また、人それぞれが違う人間であり、大切な存在であることを互いに認め合いながら、自分らしさを発揮できるようになる心理療法です。​

ゲシュタルト療法は、1950年代に精神分析医フリッツ・パールズとゲシュタルト心理学者であった妻のローラ・パールズ、ポール・グッドマンらによって開発されました。パールズは、クライアントの過去に問題があるのではなく、昔の問題を「いまここ」に引き続き持ち続けていることに原因があると考えました。

ゲシュタルト療法・東京|ゲシュタルト療法とは

支持的精神療法

支持的精神療法は、最もよく利用されているものですが、その成否は患者と精神療法家との間の共感的かつ支持的な関係にかかっています。自己の感情を表現するよう促すとともに、精神療法家が問題解決の手助けをします。支持療法の一種である「問題解決に焦点を置いた精神療法」は、かかりつけ医によって効果的に行える場合があります。

精神障害の治療 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版

支持療法は、精神疾患を持つ人のほとんどに対して行われる支援であり、精神保健サービスで最も実践されている方法の一つと言えます。具体的には、専門家が当事者の話を聞き、共感を示して励まし、現在持っている能力を伸ばすような関わりを指すことが多いです。しかし、あまりにも基本的で当たり前に行われている方法であるために、行う期間や回数などが定まっていなかったり、地域による差が大きかったりして、支持療法のはっきりとした定義はありません。

こころとくらし by 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部

精神力動的精神療法

力動的精神療法は、症状や悩みの背景にあるもののまだ十分に意識されていない、無意識的な葛藤や自分の傾向を知ることでそれらの改善を目指す精神療法です。しばしば精神分析的精神療法とも呼ばれます。

日本精神神経学会 精神療法委員会に「精神療法について」を訊く

精神力動的精神療法は、精神分析と同様に、現在の思考、感情、行動における無意識のパターンを認識することに重点を置くものです。ただし、対象者は寝いすに横たわるのではなく、通常はいすに座り、行う回数は週に1~3回です。また、患者と精神療法家との関係には、精神分析ほど重点が置かれていません。

精神障害の治療 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版

正答:5(精神力動的精神療法)

問題 10 次の記述のうち,医療保護入院を検討すべき要件として,適切なものを 1つ選びなさい。

  1. 本人が入院に同意する場合
  2. 本人が身体的虐待を受けている場合
  3. 本人に精神疾患に対する病識がなく,入院治療の必要性を理解できない場合
  4. 医療や保護に急速を要し,家族等の同意を得ることができない場合
  5. 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合

精神科治療の入院形態に関する基礎的な問題。
精神保健福祉法に定められている、本人の意思によらない入院について。

入院について、医療法とは別の法律で定められているのは精神科治療だけ。
本人の自由意思に反した医療行為を、患者の病状によっては行わなければならない場合があるという特殊事情によるとはいえ、滝山病院のような事件も起きてしまうと・・闇すぎる・・。

医療保護入院とは

医療と保護のために入院の必要があると判断され、患者本人の代わりに家族等が患者本人の入院に同意する場合、精神保健指定医の診察により、医療保護入院となります。連絡のとれる家族等がいない場合、代わりに市町村長の同意が必要です。

精神科の入院制度について|治療や生活へのサポート|メンタルヘルス|厚生労働省

それぞれの選択肢について

  1. 本人が入院に同意する場合
    ⇒任意入院
  2. 本人が身体的虐待を受けている場合
    ⇒主に施設。虐待対応で精神科への非自発的入院は通常考えられない。
  3. 本人に精神疾患に対する病識がなく,入院治療の必要性を理解できない場合
    ⇒医療保護入院。家族等の同意が必要。該当者がいなければ、市町村長の判断。
  4. 医療や保護に急速を要し,家族等の同意を得ることができない場合
    ⇒応急入院。
  5. 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合
    ⇒措置入院。

厚労省の「みんなのメンタルヘルス」のページが、簡潔でわかりやすかったのでメモ。
精神科の入院制度について|治療や生活へのサポート|メンタルヘルス|厚生労働省

正答:3(本人に精神疾患に対する病識がなく,入院治療の必要性を理解できない場合)

以上

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者地域移行支援施設の生活支援員。国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学10年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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