MENU

問題70|第22回 精神保健福祉士 国家試験対策 ⑤精神保健福祉に関する制度とサービス

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

事例問題

次の事例を読んで,問題 70 から問題 72 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(45 歳,男性)はグループホームに居住している。Kさんは双極性障害を抱えているが,近頃,服薬が滞りがちになり不穏になっていた。先日,「確実に成功する事業を思い付いた。融資を頼むために銀行に行ってくる」と大声で騒ぐ状況となった。異変に気が付いたグループホームのスタッフになだめられながら,かかりつけの精神科病院で精神保健指定医による診察を受けた。その結果,自傷他害のおそれはないものの医療と保護の観点から急速に入院が必要な状態と判断されたが,Kさんは入院には同意しなかった。唯一の身寄りである遠方に住む妹とはすぐには連絡が取れず,最終的に 72 時間に限った入院となった。(問題 70)
二日後,駆けつけた妹によって同意が得られ,入院形態が切り替わった。しかし,Kさんの不穏な状態は続いており,躁状態も治まらず,一般の病室では治療の継続が困難と判断され,やむを得ず,本人の意思では退出することができない個室において,12 時間以上の治療処置がなされることとなった。(問題 71)
Kさんには,その都度入院に関する説明が行われていたが,状況は十分には把握できていないようで,担当となったL精神保健福祉士に対して,「何で入院しなければならないんだ」と立腹していた。入院から 3 週間後,薬物療法によってKさんの病状は落ち着き,通常の閉鎖病棟の一室に移った。Kさんの病状が安定してきたこともあり,入院について改めて説明する機会を設けることとなった。L精神保健福祉士は医師と共にKさんのところに行き,今回の経緯と,入院中の諸権利に関する文書について時間をかけて丁寧に説明した。(問題 72)
Kさんは完全には納得していないようだったが,「ともかく,こうやって入院中にできることと,できないことを話しに来てくれたのは一応よかったです」と語ってくれた。

目次

問題70 次のうち,この入院形態に関する記述として,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 都道府県知事の権限によって行われる。
  2. 定期病状報告を提出しなければならない。
  3. 市町村長の同意による入院が可能である。
  4. 緊急その他やむを得ない場合には,入院の必要性を判定する診察は,特定医師でも可能である。
  5. 地方裁判所の裁判官の命令によって行われる。

設問について

精神保健福祉法に基く入院形態についての理解を問う問題。

日本精神科病院協会「精神保健福祉法の解説」でわりと詳しくわかります。
基本的なことは下記「こころの情報サイト」から。

任意入院
患者本人に入院する意思がある場合、任意入院となります。
症状が改善し、医師が退院可能と判断した場合や、患者本人が退院をした場合に退院となります。

医療保護入院
精神障害であり、医療と保護のために入院の必要があると判断され、患者本人の代わりに家族等が患者本人の入院に同意する場合、精神保健指定医の診察により、医療保護入院となります。連絡のとれる家族等がいない場合、代わりに市町村長の同意が必要です。

応急入院
精神障害であり、医療と保護のために入院の必要があると判断されたものの、その家族等の同意を得ることができない場合には、精神保健指定医の診察により、72時間以内に限り、応急入院指定病院に入院となります。

措置入院
2名以上の精神保健指定医の診察により、精神障害のため自分を傷つけたり他人に危害を加えようとするおそれがあると判断された場合、都道府県知事の権限により措置入院となります。

こころの情報サイト|国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所

各選択肢について

選択肢1:都道府県知事の権限によって行われる。

×

都道府県知事の権限によって行われるのは、措置入院と緊急措置入院。

選択肢2:定期病状報告を提出しなければならない。

×

審査会で審査を行う定期病状報告書等(医療保護入院者の入院届、措置入院者及び医療保護入院者の定期病状報告書)は、非自発的入院患者の人権を擁護するとともに、その入院の適正さを担保するために作成されるものであり、定められた期限までに知事に届け出ることが病院管理者に義務付けられています。

埼玉県精神医療審査会「精神保健福祉法に規定する入退院届出等の記載の手引き」

選択肢3:市町村長の同意による入院が可能である。

×

市町村長の同意による入院が可能なのは、医療保護入院。

選択肢4:緊急その他やむを得ない場合には,入院の必要性を判定する診察は,特定医師でも可能である。

応急入院は、もっぱら医学的判断のみに基づいて入院が行われるので、人権保護の観点から法律的に厳しい要件が規定されています。このため、応急入院での入院期間は、精神保健指定医の診察による場合は72時間に、特定医師の診察による場合は12時間に限られています。これらの期間を超えて入院を継続する場合は、他の入院形態(医療保護入院や任意入院)に切り換える必要があります。

日本精神科病院協会

選択肢5:地方裁判所の裁判官の命令によって行われる。

×

地方裁判所の裁判官の命令によって行われるのは、医療観察法に基づく決定で、心神喪失の状態で重大な他害行為を行った人に対するもの。

正答

4(緊急その他やむを得ない場合には,入院の必要性を判定する診察は,特定医師でも可能である。)

第22回 精神保健福祉士 国家試験 全問題はこちら

あわせて読みたい
第22回 精神保健福祉士 国家試験対策 過去問題しゃぶり尽くし 【(1) 精神疾患とその治療】 問題1 次のうち,交感神経の活動の高まりを示すものとして,正しいものを 1 つ選びなさい。 問題2 次のうち,ICD-10 において,解離...

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
プロフィール詳細はこちら

目次
閉じる