こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
問題 9 次のうち,「転移」を利用する精神療法として,正しいものを 1 つ選びなさい。
- 森田療法
- 行動療法
- ゲシュタルト療法
- 支持的精神療法
- 精神力動的精神療法
設問について
精神科領域の治療技法に関する標準的な問題。
転移とは
転移
てんい
transference心理学用語。感情転移のことで,S.フロイトが精神分析で用いた鍵概念の一つ。対人関係において,現実の対象には不釣合いな感情や態度を示した場合,幼児期に接しただれか,特に両親に向けられていた感情や態度が再現されたと解釈できることが多い。これを転移と呼ぶ。転移には,信頼,友情,恋愛などの感情を伴う陽性転移と,恨み,敵意,憎悪などの感情を伴う陰性転移とがある。しかし,本来,陽性と陰性の両転移がともにみられるものであり (これを両価傾向=アンビバレンスという) ,状況の変化によって変容しやすく,輻輳した心理機制である。
転移(てんい)とは? 意味や使い方 – コトバンク
精神療法とは
人間同士の交流を通して症状や苦痛、様々な窮屈感や不自由感に介入する治療を精神療法といいます。
日本精神神経学会 精神療法委員会に「精神療法について」を訊く
上記ページによると、精神療法は以下の2種に分けられる。
- 対象となる人のパーソナリティや考え方の変化や成長を積極的に目指していく治療
例:力動的精神療法、認知行動療法、森田療法、内観療法など - そうした変化は目指さず、その人が現在持っている資質を十全に活かせるようにすることで適応力を挙げることを支援する治療
日本では「支持的精神療法」と呼ばれることが多いもので、普段の診察場面でも主治医によって幅広く実施されている。主治医は診察場面が話しやすい雰囲気になるよう気を遣い、「薬を飲みたくない」と言う人がいれば一体何を心配しているのかを明らかにして、その解決を試み、医師からの直接的働きかけを好むように感じられる場合には「〇〇しましょう」と明確な指示や指導を行い、直接指示されることを好まないと推定される場合では選択肢を示唆する程度に留め、本人の積極性を引き出そうとする。
MSDマニュアルの記載もメモ。
精神療法(心理療法)
対話療法とも呼ばれる精神療法の分野は、近年になって大きな進歩を遂げています。精神療法家は、共感的かつ受容的な雰囲気をつくり出すことで、患者が直面している問題の原因に患者自身が気づき、対処法を自分で考え、それを実行できるよう手助けします。精神療法を通じて得られる感情的気づきと洞察によって、しばしば患者の態度や行動に変化が生じ、以前より充実し、満足のいく生活を送れるようになります。
精神療法は様々な状態に適し、効果的です。精神障害がない人でも、就職先が見つからない、大切な人との死別、家族が慢性の病気を患っているといった問題に対処するときには、精神療法が役立つことがあります。グループ精神療法、夫婦療法、家族療法も広く行われています。
精神障害の治療 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版
各選択肢について
選択肢1:森田療法
森田療法は、わが国の精神科医、森田正馬(もりたまさたけ)(1874~1938)によって創始された神経症に対する独自の精神療法です。
森田療法とは | 東京慈恵会医科大学 森田療法センター
(中略)
森田療法はこのような観点から、患者さんが症状へのとらわれから脱して「あるがまま」の心の姿勢を獲得できるよう援助します。「あるがまま」の姿勢とは、不安や症状を排除しようとする行動や心のやりくり(「はからい」と呼ばれます)をやめ、そのままにしておく態度を養うことです。さらには、不安の裏にある、よりよく生きていきたいという欲望(生の欲望)を建設的な行動として発揮していくことをも意味しています。こうした行動を通して、自分を受け入れ自分らしい生き方を実現することが森田療法の最終的な目標になります。
選択肢2:行動療法
行動療法は行動理論と学習理論に立脚してなされるが、治療の目標は、まず行動の変容である。意識や無意識に働きかけるのではなく、異常行動そのものを治療の対象とする。
(中略)
行動療法では、異常行動は素質ではなく後天的に学習されたものであると考える。したがって、学習の原理によって、適切に学習し直すのが治療である。主として条件づけの考え方にたって、さまざまな治療法がくふうされている。
その代表的なものが系統的脱感作法で、主として恐怖や不安を解消するためにくふうされた方法である。
コトバンク:行動療法
選択肢3:ゲシュタルト療法
「いまここ」の気づきに焦点を当て、過去に囚われることなく、未来を恐れることなく、自らが求める人生を得るためのお手伝いをする心理療法です。また、人それぞれが違う人間であり、大切な存在であることを互いに認め合いながら、自分らしさを発揮できるようになる心理療法です。
ゲシュタルト療法は、1950年代に精神分析医フリッツ・パールズとゲシュタルト心理学者であった妻のローラ・パールズ、ポール・グッドマンらによって開発されました。パールズは、クライアントの過去に問題があるのではなく、昔の問題を「いまここ」に引き続き持ち続けていることに原因があると考えました。
ゲシュタルト療法・東京|ゲシュタルト療法とは
選択肢4:支持的精神療法
支持的精神療法は、最もよく利用されているものですが、その成否は患者と精神療法家との間の共感的かつ支持的な関係にかかっています。自己の感情を表現するよう促すとともに、精神療法家が問題解決の手助けをします。支持療法の一種である「問題解決に焦点を置いた精神療法」は、かかりつけ医によって効果的に行える場合があります。
精神障害の治療 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版
支持療法は、精神疾患を持つ人のほとんどに対して行われる支援であり、精神保健サービスで最も実践されている方法の一つと言えます。具体的には、専門家が当事者の話を聞き、共感を示して励まし、現在持っている能力を伸ばすような関わりを指すことが多いです。しかし、あまりにも基本的で当たり前に行われている方法であるために、行う期間や回数などが定まっていなかったり、地域による差が大きかったりして、支持療法のはっきりとした定義はありません。
こころとくらし by 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部
選択肢5:精神力動的精神療法
力動的精神療法は、症状や悩みの背景にあるもののまだ十分に意識されていない、無意識的な葛藤や自分の傾向を知ることでそれらの改善を目指す精神療法です。しばしば精神分析的精神療法とも呼ばれます。
日本精神神経学会 精神療法委員会に「精神療法について」を訊く
精神力動的精神療法は、精神分析と同様に、現在の思考、感情、行動における無意識のパターンを認識することに重点を置くものです。ただし、対象者は寝いすに横たわるのではなく、通常はいすに座り、行う回数は週に1~3回です。また、患者と精神療法家との関係には、精神分析ほど重点が置かれていません。
精神障害の治療 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版
正答
正答:5(精神力動的精神療法)