こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
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問題6 次の記述のうち,認知症患者に用いられるドネペジル塩酸塩について,正しいものを 1 つ選びなさい。
- 効能は認知機能の回復である。
- 血管性認知症に適応がある。
- 心疾患には特に注意が必要である。
- 服薬を中止すると強い離脱症状を認める。
- 神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を促進する。
設問について
過去問集には、認知症の薬物療法に関する標準的な問題、と書かれているのだけど、中央法規当該科目テキスト第2版には、ドネペジル塩酸塩についての詳しい記載がないようで。抗認知症薬の項目に、日本では1999年からドネペジルが使われているとあるのみ。
テキストを超える内容だし、発展的な問題と言って良いのでは・・と思いつつ。
テキストに出てくる抗認知症薬については、大まかにでもおさえておきたい。
ガランタミン(レミニール)
- 効能効果:軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
- 作用機序:「アセチルコリンを分解する酵素」をブロックする⇒脳内のアセチルコリンが増え、神経の伝達が改善して、認知症症状の進行を抑える
- 重大な副作用:(頻度不明)狭心症,心筋梗塞,徐脈,房室ブロック,洞不全症候群,QT延長、脳血管発作,痙攣発作、食道破裂を伴う重度の嘔吐,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃腸出血、肝炎、湿疹、幻覚、激越、せん妄、錯乱、脱水
リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)
- 効能効果:軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
- 作用機序:アセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害することにより脳内アセチルコリン量を増加させ,脳内コリン作動性神経を賦活する。
- 重大な副作用:(頻度不明)失神、徐脈、心ブロック、QT延長、急性汎発性発疹性膿疱症、肝炎、横紋筋融解症
メマンチン(メマリー)
- 効能効果:中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
- 重大な副作用:(頻度不明)痙攣、失神、意識消失、精神症状(激越、攻撃性、妄想、幻覚、錯乱、せん妄)、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症、完全房室ブロック、高度な洞徐脈等の徐脈性不整脈
脳内にはグルタミン酸という神経細胞を興奮させる神経伝達物質があります。ところが、神経細胞が興奮し続けると神経細胞が死んでしまうことも。そこで、グルタミン酸の働きを少し抑えて、神経細胞が興奮死するのを防ぐ、そして進行を遅らせる薬剤がメマンチン(商品名メマリー)です。この薬剤は、どちらかというと「穏やか系」(興奮を鎮める)です。したがって、盗られ妄想、易怒性、暴言・暴力など介護者が困る症状を鎮める効果が期待されます(効く例もあれば効かない例もあります)。この薬は使いすぎると活動性が低下して、「昼も寝てばかり」になってしまうので、過剰にならないように注意が必要です。また、副作用でめまいなどを生じます。
認知症介護研究・研修センター
各選択肢について
選択肢1:効能は認知機能の回復である。
×
ドネペジル塩酸塩に限らず、抗認知症薬は全て認知症の進行を遅らせる程度の効能で、認知機能の回復までは望めず、認知機能低下の進行を止めることもできない。
今年承認されたレカネマブすら、結局のところ、認知症の進行を緩やかにするという効果。
KEGG:医療用医薬品 : ドネペジル塩酸塩
- 効能または効果
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
選択肢2:血管性認知症に適応がある。
×
ドネペジル塩酸塩の効能は、アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制。
KEGG:医療用医薬品 : ドネペジル塩酸塩
- 薬効薬理
18.1 作用機序
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する。
選択肢3:心疾患には特に注意が必要である。
〇
KEGG:医療用医薬品 : ドネペジル塩酸塩
- 副作用
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 QT延長(0.1〜1%未満)、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(各頻度不明)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、失神(各0.1〜1%未満)
心停止に至ることがある。[9.1.1参照]
11.1.2 心筋梗塞、心不全(各0.1%未満)
11.1.3 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)(0.1%未満)、十二指腸潰瘍穿孔(頻度不明)、消化管出血(0.1%未満)
本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがある。
11.1.4 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1〜1%未満)、黄疸(頻度不明)
11.1.5 脳性発作(てんかん、痙攣等)(0.1〜1%未満)、脳出血、脳血管障害(各0.1%未満)
11.1.6 錐体外路障害(アルツハイマー型認知症:0.1〜1%未満、レビー小体型認知症:9.5%)
寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがある。[8.1参照]
・・さらに続く
選択肢4:服薬を中止すると強い離脱症状を認める。
×
強い離脱症状の報告はないらしい。
選択肢5:神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を促進する。
×
KEGG:医療用医薬品 : ドネペジル塩酸塩
- 薬効薬理
18.1 作用機序
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する。
正答
3(心疾患には特に注意が必要である。)