こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月に社会福祉士国家試験に合格したので、2023年3月に精神保健福祉士養成短期コースに申し込みました。
その学習についての記録です。
この記事では、精神保健福祉士養成課程通信科(短期)の、1つめのレポート課題の作成過程についてまとめます。
レポート作成の準備
テーマ分析
今回のレポート課題、テーマはこれ。
「気分(感情)障害の症状、分類、予後、治療について、それぞれまとめなさい。」(800字~1200字以内)
社会福祉士の養成課程で学ぶ際に考えた、合格するレポートの書き方を活用しつつ進めていこうと思います。
今回のレポートでは書くべきことが明確に示されているので、テーマ分析は端折れるかと思ったのですが、書きながら色々考えることになり。単に代表的な精神疾患の1つをまとめさせるだけの課題ではないように感じたので(代表的な精神疾患の中でも、なぜ気分(感情)障害をテーマにしたか、というところの出題意図が、やはりあるようだと。)、その部分を所感に書きます。
材料を集める
中央法規の当該科目のテキスト(第2版)では、第4章代表的な精神疾患の第4節(132~148ページ)で気分(感情)障害について書かれています。
文字数は800~1200字なので、この節をまとめれば概ねOKだろうと想定したのですが、このテキストだけだとやや理解しにくいところもあったので、結局下記の資料も見ました。
目次を作る
レポートのテーマをそのまま使って、以下の構成とします。
見出しを付けるかどうかは後で考えます。
- はじめに
- 気分(感情)障害の症状
- 気分(感情)障害の分類
- 気分(感情)障害の治療と予後
- おわりに(所感があれば)
※「予後」とは:病気や治療などの医学的な経過についての見通し。
5/18、一応できたので、しばらく温めておきます。
合格レポート
提出して、合格となったレポートを掲載します。
ご参考になれば幸いです。
丸写しはダメですよ。
1. 気分(感情)障害の症状
気分(感情)障害(ICD-10)とは、気分または感情の変化を主症状とする。抑うつ気分(うつ病エピソード)や高揚気分(躁病エピソード)が一定期間持続して出現する。この場合の気分とは、比較的長く持続する感情を指し、健康時の気分の浮き沈みとは異なる。感情の障害、意欲・行動の障害、思考の障害、食欲低下や睡眠障害など身体の症状等、心身両面に多様な症状が出現する。
2.気分(感情)障害の分類
気分障害の分類は、従来診断、ICD-10(DSM-IVはほぼ同様)、DSM-5とで名称や分類が異なり複雑である。
ICD-10、DSM-IV-TRでは反復性うつ病と双極性感情障害という2つの障害を「気分障害」という1つのカテゴリに含めている。しかし時を重ね両者の間には大きな違いがあるとわかってきたため、DSM-5(2013年発表)は気分障害という上位カテゴリを廃止し、うつ病と双極性障害を別のものと見なして以下のように分類している。
・双極性障害および関連症候群(双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害等)
・抑うつ障害群(うつ病、持続性抑うつ障害[気分変調症]、月経前不快気分障害等)
なお、DSM-VIでは非定型うつ病が正式に取り上げられ診断基準が示されていた。しかし、うつ病の概念が曖昧に広がり治療や対応の面で混乱が生じたこと等からDSM-Vでは削除された。
3.気分(感情)障害の治療と予後
気分(感情)障害の中でも特にうつ病と双極性障害について述べる。
・うつ病
うつ病は時間の経過とともに回復する傾向があるため休養はより重要で、治療の原則は十分な休養である。軽症の場合薬物療法の効果は限定的で、プラセボ投与の場合と比較して有意差はないという報告もある。中等~重症の場合には薬物療法が必要であり、薬物療法が適切に行われないと苦痛や自殺リスクが各段に高まる。抗うつ薬を服用しなくても一般的には半年~1年程度で1回の抑うつエピソードは回復するが、薬物療法によって3か月程度以内に短縮できる。休養すれば大半に回復が見込まれ、回復後に機能低下が残らない疾患であるが、再発することが多いので就労を含む社会生活への復帰は慎重に進める必要がある。
・双極性障害
薬物療法が中心となり、気分安定作用のある炭酸リチウムを投与する。一生の間に再発を繰り返すことが非常に多い。治療を受けない場合には躁病エピソードは2、3か月程度続き、その後の抑うつエピソードは半年程度続くことが多く、社会的立場や役割を喪失したり、自殺の危険が非常に高くなる。
4.おわりに
精神疾患についての理解は、精神保健福祉士として相談援助を行う際のベースとなる。 本レポートでまとめた気分(感情)障害をはじめ精神疾患に関する理解を深め、精神保健福祉士として適切な支援を行えるようになりたい。
講師講評
概ね題意に沿った内容のレポートとなっていた印象です。今回のテーマは気分(感情)障害を1000字にまとめる、という内容です。気分(感情)障害は1000字で全てを網羅できる内容ではありません。どこを重視するかがレポート作成上重要視されると思います。そこで思い返していただきたいのが、皆さんが目指している精神保健福祉士とはどのようなことをする人であるか、ということです。精神保健福祉士は精神障害の医療を受け、または精神障害者の社会復帰施設を利用している者に対し相談援助(社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うこと)を反復継続して行うとすると精神保健福祉士法第二条によって法定されています。治療を主とする医師、看護師とは視点はもとより反復継続して関わる内容が異なる。精神保健福祉士が関わるのは社会復帰支援のための相談援助を必要としている精神障害を有したクライエントです。治療ではありません。精神疾患を発症し、そのために生活しづらさを抱える人々の社会復帰を促進するという観点からの支援を行います。こうした精神疾患は種々の症状があり、様々な原因があり、様々な治療法があります。同時に症状や治療は精神疾患を有しない人々との間でズレ、軋轢を生じることがあると思います。こうした問題点を一つ一つクライエントと乗り越えていくのが精神保健福祉士です。精神科医療を受けず、クライエント一人で障害を乗り越えていくことは容易ではないと思われます。世間では精神科医療とまずつながることを求められると思われます。そうして精神科医療を受けた、または受け続けている方が精神科医療とともに社会生活を送る際に専門的に支援するのが精神保健福祉士です。精神疾患と診断され、治療を受け、社会生活を送る上で障害となりうる事象をとらえるうえで精神医学について一通りの知識を有する必要があります。精神保健福祉士の対象は疾病ではなく人となり、人の生活であり、疾病の細かな分類、その対処法、治療法を細かく知る必要は無いと思われますが、専門用語に一度は触れて概要を学習していただく必要があるともいます。時には精神科薬の副作用について知る必要があることもあります(クライエント、患者によっては薬との相性が悪く、副作用に苦しめられているものです。このときの相談の一翼を担うのも精神保健福祉士です。)。また、精神保健福祉士は診断ができません。診断は医師のみが許されている行為です。見当はついても診断してはいけません。ですが見当をつけて支援することが必要な時もあるかと思います。こうした視点から、精神保健福祉士において精神疾患とその治療を学んでいただく必要があります。
さて今回は気分(感情)障害についてまとめていただきました。気分(感情)障害は平成29年10月の患者調査で29,900人が入院し89,600人が通院していたとあります。統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害と比較して入院患者数では2位、外来患者数では1位の数でした。非常に多くの方が気分(感情)障害であることがわかります。そして精神保健福祉士の支援対象であることもご理解いただけるかと思います。
1.定義・概要、2.分類、3.性格、4.診断基準、63,対応・治療の項目に分け、教科書の大文字、太文字、青色文字で印刷された用語は特に大切な用語であるので知らない、聞いたことが無いという状況にならないよう学習を進めてください。
最後に仮面うつ病といううつ病について触れておきたいと思います。これはmasked depressionの和訳でmaskedを仮面、と訳したわけですが、この病気の病態はうつ病でありながらうつ病特有の抑うつ気分や精神運動抑制よりも倦怠感や疲労感や全身のだるさ、頭痛、腰痛、菓子の痛み、肩こり、めまい、便秘といった身体症状の訴えが強いというもので、maskedは強い身体症状で覆われてうつ病特有の症状が隠れているうつ病と理解すべきと思われます。仮面、という日本語から鉄仮面のような無表情な様子を呈すると解されたこともあったようですが、それは誤りです。国家試験・知識的には身体症状が強いうつ病とご理解いただければ良いですが、精神保健福祉士としての業務上では倦怠感や疲労感や全身のだるさ、頭痛、腰痛、菓子の痛み、肩こり、めまい、便秘といった身体症状の訴えが強く、精神疾患を疑わせないうつ病があると覚えておいていただきたいと思います。