こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
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問題4 患者の訴えと精神症状に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
- 「ある時点から後のことを思い出せない」との訴えは、前向健忘である。
- 「壁に掛けた着物が人間に見える」との訴えは、幻覚である。
- 「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」との訴えは、考想伝播である。
- 「不合理とは考えるが、否定すると不安になる」との訴えは、強迫観念である。
- 「人前では手が震えて字が書けなくなる」との訴えは、精神運動制止である。
設問について
精神症状に関する理解が問われる問題。
各選択肢について
選択肢1:「ある時点から後のことを思い出せない」との訴えは、前向健忘である。
〇
記憶の障害については、中央法規当該科目テキスト(第2版)p46-47。
健忘とは、一定期間内の経験を想起することができない状態。
- 全健忘:一定期間の出来事を全く想起できない場合
- 部分健忘:部分的に想起できる
健忘の原因となる時点を基準にして、
- 前向健忘:その時点から後の一定期間、新たな出来事を記憶できない
ベンゾジアピン系睡眠薬の服用後は、ほぼ正常に行動しながらも、その間のことを想起できないということがある。 - 逆向き健忘:その時点より前の一定期間に遡って、記銘・把持されていたはずの出来事を想起できない
部分外傷等に伴い見られる。
選択肢2:「壁に掛けた着物が人間に見える」との訴えは、幻覚である。
×
実際に存在する物を、誤って別の物と近くするのは、幻覚ではなく錯覚。
幻覚は、本来知覚の対象となる感覚素材がない「対象なき近く」。
選択肢3:「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」との訴えは、考想伝播である。
×
「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」のは「思考吹入」。
考想伝播は、自分の考えが他人に伝わってしまうというもの。
選択肢4:「不合理とは考えるが、否定すると不安になる」との訴えは、強迫観念である。
〇
選択肢5:「人前では手が震えて字が書けなくなる」との訴えは、精神運動制止である。
×
精神運動制止は、気分障害でよく見られる、活動性の減退した状態。何をするにも意欲がわかず、口数が少なく、動作は緩慢となる。起床、食事、着替えなどの日常的な所作も億劫になり、仕事にも支障をきたす場合が出てくる。
「人前では手が震えて字が書けなくなる」のは、恐怖性不安障害のうち、社交恐怖に見られやすい。
正答
1(「ある時点から後のことを思い出せない」との訴えは、前向健忘である。)
4(「不合理とは考えるが、否定すると不安になる」との訴えは、強迫観念である。)