こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。
この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。
↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題
事例問題 1
ある日,E精神保健福祉士の下に,以前支援していたFさんから手紙が届いた。次の手紙(事例)を読み,問題 30 から問題 32 までについて答えなさい。
〔事 例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく,毎日W地域活動支援センターに通っています。先日,心の整理もつき,母が亡くなってから 3 年ぶりに,やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し,手紙を書かせていただきました。Eさんにお会いしたのは,入院して 10 年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず,スタッフにやってもらうことが当たり前の,全てが受け身の生活でした。(問題 30)
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり,何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。私はこれまでの人生を振り返り,母に従ってきたこと,それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き,「これまで,大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り,何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。(問題 31)
相談の後,Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され,自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ,仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして,ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て,「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直,驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや,利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。(問題 32)
今も十分とはいえないですが,何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが,ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ
問題 31 次のうち,この時にE精神保健福祉士が行ったアプローチとして,適切なものを 1 つ選びなさい。
- 課題中心アプローチ
- ナラティブアプローチ
- 解決志向アプローチ
- システムズアプローチ
- ストレングスアプローチ
設問について
アプローチとは
① 学問研究において、対象にせまること。また、その方法。
アプローチとは? 意味や使い方 – コトバンク
精神保健福祉士が業務を展開するうえで、さまざまなソーシャルワークの実践理論(モデル)を活用することが求められる。理論は、精神保健福祉士が対峙する複雑かつ曖昧な現象を、一定の枠組みに基づいて捉え直し、再構成することを助け、ソーシャルワークの目的に沿った方向性を示してくれる。
精神保健福祉士業務指針 第3版(PDF) (PDFの掲載ページはここ)
精神保健福祉士が活用すべき代表的な実践理論/アプローチ
- 診断主義アプローチ
- 機能主義アプローチ
- 心理社会的アプローチ
- 問題解決アプローチ
- 解決志向アプローチ
- 行動変容アプローチ
- 危機介入アプローチ
- 課題中心アプローチ
- ストレングスアプローチ
- エンパワメントアプローチ
- ナラティブアプローチ
- 実存主義アプローチ
- フェミニストアプローチ
- エコロジカルアプローチ
- システム理論
一元的アプローチ(ユニタリーアプローチ)
システムズアプローチ
↓面白そうな本を見つけたのでメモ。
中村正利『やってみよう! 統合失調症者への社会・心理的アプローチ』(遠見書房)
各選択肢について
選択肢1:課題中心アプローチ
×
課題中心アプローチは,1970年代に,リード(Reid, W.)とエプスタイン(Epstein, L.)によって理論構築されたものである。このアプローチは,全く新しい方法ではなく,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,また行動変容アプローチからの影響を受けており,方法論としては折衷的なものである。リードらは,処遇の効果が同じ程度であるならば,援助に要する期間は短いほど望ましいと考え,そのために計画的で組織だった処遇方法を短期間で効率的に実践するという「短期的処遇」を行うこと,つまり新たな方法論の提示というよりは「組織だった援助プロセス」の構築を提唱したことに最大の特徴がある。
日総研『社会福祉士 養成基本テキスト』
「Reid」は、「ライド」と読む本もあります。
選択肢2:ナラティブアプローチ
×
ナラティブ・アプローチとは、ナラティブ(narrative)という概念を手がかりにしてさまざまな現象に迫る方法の総称である。通常、ナラティブは、「語り」または「物語」と訳されることが多く、そこには「語る」という行為と、「語られたもの」という行為の産物の両方が同時に含意されている。しかし、その両義性と連続性を的確に表す日本語がないことから、一般にカタカナ表記の「ナラティブ」が用いられているのである。ナラティブ・アプローチは、医療・看護・心理・福祉などの臨床領域における新たな実践的方法として、社会学や文化人類学における新しい研究法として、また、司法領域における紛争解決や企業・組織経営の新たな手法としても注目されている。
労働政策研究・研修機構:職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査 (PDF)
選択肢3:解決志向アプローチ
×
解決志向アプローチは、アメリカにあるBrief Family Therapy CenterのSteve de ShazerとInsoo Kim Bergらが開発した、Solution Focused Therapyをモデルにして発展している新しい心理療法です。
このアプローチの最大の特徴は、「問題やその原因、改善すべき点」を追求するのではなく、解決に役に立つ「リソース=資源(能力、強さ、可能性等)」に焦点を当て、それを有効に活用することにあります。
「何がいけないのだろう?」と考える代わりに「自分が望む未来を手に入れるために、何が必要なのだろう? 何が出来るのだろう? どうやったらできるのだろう?」と考え、一緒に解決を創り上げていきます。
子どもの問題から成人の問題まで、さまざまな相談への対応が研究されており、日本においても、効率的で実践的なアプローチとして、さまざまな現場で適用されています。
解決志向アプローチ l 一般社団法人 日本臨床心理士会
選択肢4:システムズアプローチ
×
関係,パターン,システムというつながりから,人間関係やそこで起きる「問題」を捉える〈ものの見方〉=認識論とその方法論による臨床実践
システムズアプローチ入門 – 株式会社ナカニシヤ出版
龍谷大学 社会的孤立回復支援研究センターが大変興味深い取り組みをしているようなのでメモ。
選択肢5:ストレングスアプローチ
〇
1980年代後半には、ラップとゴスチャ、サリービーらによって、ストレングスの概念が生まれ、その概念に基づいて試行的な実践が行われるようになり、1900年代には、その結果としてストレングスモデルが提唱されるようになりました。
ストレングスモデルは、クライエントと環境の双方の中にある課題解決のための能力に焦点を当て、それらを見出し活用することによって、課題を解決していこうと考えます。クライエントの強さ、能力、知恵、信念、希望、可能性、自然治癒力などと、クライエントを取り巻く地域社会やコミュニティの中にも可能性を見出していこうという考え方です。ストレングスモデルは、解決の主体をクライエント本人に置くことを特徴としています。
けあサポ「張先生の受験対策講座」
「今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り,何かをしてみたいという向上心がありますよね」というEさんの応答は、Fさんのストレングスに着目していると言えます。
正答
5(ストレングスアプローチ)