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問題44|第22回 精神保健福祉士 国家試験 ④精神保健福祉の理論と相談援助の展開

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

目次

問題 44 次のうち,J精神保健福祉士が協議会に提案したこととして,適切なものを 1 つ選びなさい。

N市の基幹相談支援センターで働くJ精神保健福祉士は,精神科病院の長期入院者の地域移行を推進するため,N市における「障害者総合支援法」に基づく協議会(以下,「協議会」という。)において定期的に協議し,地域移行における課題及びその改善策を検討していた。協議会のメンバーからは,「近隣のグループホームに空きがなく,体験宿泊の受入れも難しいことから,退院後の生活をイメージできず退院支援がなかなか進まない」「退院し一人暮らしを始めて急な不安や不調を訴えたとき,支援が不十分で再入院になった事例が複数ある」との意見が出された。J精神保健福祉士は,以上の課題への対策を協議会に提案し,参加者に意見を求めた。
次のうち,J精神保健福祉士が協議会に提案したこととして,適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 地域生活支援拠点の整備
  2. 日常生活自立支援事業の普及
  3. 住宅入居等支援事業の充実
  4. 福祉ホームの設置
  5. 成年後見制度利用支援事業の推進

(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

設問について

「障害者総合支援法」に基づく協議会とは

(協議会の設置)
第八十九条の三 地方公共団体は、単独で又は共同して、障害者等への支援の体制の整備を図るため、関係機関、関係団体並びに障害者等及びその家族並びに障害者等の福祉、医療、教育又は雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者(次項において「関係機関等」という。)により構成される協議会を置くように努めなければならない。
2 前項の協議会は、関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うものとする。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 | e-Gov法令検索

↓厚労省サイト内のPDF。なかなか面白そうだったのでメモ。
厚⽣労働省 平成 28 年度障害者総合福祉推進事業
障害者総合⽀援法に規定する協議会における地域資源の活性化策(改善・開発)調査研究事業(平成 29 年 3 ⽉)

各選択肢について

選択肢1:地域生活支援拠点の整備

地域生活支援拠点の整備が進むことで、精神障害者等の地域移行が円滑に進むようになると考えられます。

下記引用ページに資料がたくさんあって勉強になります。

 地域生活支援拠点等とは、障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据えた、居住支援のための機能をもつ場所や体制のことです。
 居住支援のための主な機能は、相談、緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりの5つを柱としています。
 厚生労働省では、障害福祉計画の基本指針に位置づけて整備を進める方針を示しており、各市町村や圏域では、地域の実情に応じた創意工夫のもと、地域生活支援拠点等を整備し、障害者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制の構築を目指しています。

地域生活支援拠点等|厚生労働省

選択肢2:日常生活自立支援事業の普及

本事例に見られる地域移行の課題は、日常生活自立支援事業が対象とする課題と異なります。

日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。

日常生活自立支援事業 |厚生労働省

選択肢3:住宅入居等支援事業の充実

住宅入居等支援事業は、地域移行において重要なものではありますが、本事例に見られる課題とは異なる課題の解決を目的としています。

住宅入居等支援事業(居住サポート事業)は、地域生活支援事業の必須事業である「相談支援事業」の1つとして位置付けられているもの。

(2) 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)
ア 目的
賃貸契約による一般住宅(公営住宅及び民間の賃貸住宅)への入居を希望しているが、保証人がいない等の理由により入居が困難な障害者等に対し、入居に必要な調整等に係る支援を行うとともに、家主等への相談・助言を通じて障害者等の地域生活を支援する。

地域生活支援事業 |厚生労働省ページ掲載の(参考2)地域生活支援事業等実施要綱

選択肢4:福祉ホームの設置

福祉ホームは、精神障害者の地域移行を進める上では役立つ箱物と考えられますが、事例で表出している課題を解決するためのものとはなりません。

福祉ホームの運営は、地域生活支援事業(市町村事業)の任意事業である日常生活支援の1つに位置付けられています。

1 日常生活支援に関する事業
(1) 福祉ホームの運営
ア 目的
現に住居を求めている障害者につき、低額な料金で、居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与することにより、障害者の地域生活を支援することを目的とする。
イ 実施主体
市町村、特別区、一部事務組合及び広域連合
ウ 事業内容
家庭環境、住宅事情等の理由により、居宅において生活することが困難な障害者(ただし、常時の介護、医療を必要とする状態にある者を除く。)につき、低額な料金で、居室その他の設備を利用させるとともに、施設の管理、利用者の日常に関する相談、助言、福祉事務所等関係機関との連絡、調整等を行う。

地域生活支援事業 |厚生労働省ページ掲載の(参考2)地域生活支援事業等実施要綱

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく福祉ホームの設備及び運営に関する基準(e-Gov)もあります。

令和3年社会福祉施設等調査の概況によると、福祉ホームって133しかないそうで。
儲からないのかな?

選択肢5:成年後見制度利用支援事業の推進

成年後見制度利用支援事業を推進することで、精神障害者の権利擁護が促進されます。

本事例で表出している課題は、権利擁護の推進で解決できることではありません。

認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理や日常生活等に支障がある人たちを社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資することです。しかし、成年後見制度はこれらの人たちを支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていません。

これに鑑み、成年後見制度の利用の促進に関する法律が平成28年4月15日に公布され、同年5月13日に施行されました。

成年後見制度利用促進|厚生労働省

正答

正答:1(地域生活支援拠点の整備)

第22回 精神保健福祉士 国家試験 全問題はこちら

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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