こんにちは。
就労移行支援事業所で就労支援員として働いているブジカエルです。
勤務先に、過敏性腸症候群(IBS)の人が何人もいます。
ちょっとしたことで腸に影響が出てしまうことが、QOLの低下にもつながってしまう。
過敏性腸症候群の方たちにはどんな支援ができるのか、考えます。
勤怠に関わる過敏性腸症候群
まずは、過敏性腸症候群の症状が出ているときでも、事業所への通所を安定させることができないと、就職先でも勤怠を安定させることは難しいでしょう。
腸が過敏なある利用者さんはトライアル雇用期間中、腸の不調で遅刻や欠勤を度々していました。
そのままでは、正式採用が難しくなってしまいます。
障害者枠で配慮が受けられるとはいえ、障害者枠ではない人たちも腸とのお付き合いについては様々な工夫をしているわけです。
結局、周囲の人もご本人もかなりの努力をした結果、なんとか勤怠を安定させることができ、半年間のトライアル雇用期間後、正式採用にこぎつけることができました。
利用者さんが自らが対処の必要性に気付き、自ら何らかの行動を起こせるように、支援していく必要があります。
過敏性腸症候群とは
命に関わる病気ではないようです。
しかし、お腹の痛みや便秘・下痢、不安といった症状のために、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
過敏性腸症候群は大腸に腫瘍や炎症など症状の原因となるような病気がないにも関わらず、おなかの調子が悪く痛みが続いたり、便秘や下痢などの症状が数ヵ月以上にわたって続く消化管の機能障害の疾患。排便することで楽になる腹痛と、下痢や便秘などの便通異常が主な症状である。ストレスが症状を悪化させる要因の1つと考えられている。
ストレスによって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。この状態が強いことがIBSの特徴です。実際に、大腸に風船を入れて膨らませて刺激すると、健康な人は強く刺激しないと腹痛を感じないのに対し、IBSの患者さんでは弱い刺激で腹痛が起こってしまいます。
通院、もしくは主治医への相談を勧める
症状がどれほど深刻化にもよりますが、必要に応じて通院、もしくは主治医に相談することを勧めます。
精神障害の方の場合、大抵は既に相談済みですが。
症状がある時に通所/出勤できない、もしくは遅刻する理由を確認
例えば下痢の症状がある時、通所/出勤できない理由は何か。
下痢が何時間も止まらない。
職場のトイレにウォシュレットがない。
お腹が痛くなったらどうしよう、と思うと電車に乗るのが不安。
事業所や職場で、大きい方でトイレに行っていると思われたくない。
理由は人それぞれ。
色んな理由で通所や出勤をためらいます。
理由によって、必要な対処は変わってきます。
利用者さん本人が自分の不調のタイプを知る
過敏性腸症候群では、便の形状と頻度から、
- 便秘型
- 下痢型
- 混合型
- 分類不能型
の4つの型に分けられます。
タイプによって必要なこと、有効な処置が異なるので、まずは自分がどの型であるか知る必要があります。
また、利用者さん本人が自分の不調と関連のあることを知ることもとても大切。
日常生活の中のどんなことが腸に影響しているのかを注意深く観察し、記録をつけることを勧めます。
過敏性腸症候群の改善法、治療法
過敏性腸症候群は、生活習慣やストレスが大きく影響します。
そのため、生活習慣の改善とストレスの軽減がとても大切です。
食生活、食事療法
自分の症状を悪化させやすい食べ物を認識し、自分で調整することが大切。
見直しのポイントは、以下のようなところでしょうか。
- 決まった時間に食べる
- 暴飲暴食をしない
- 炭水化物や脂質を控えめにする
- コーヒー・アルコール・香辛料を過剰摂取しない
- 冷たい飲み物を控える
- 発酵食品を摂る
- 喫煙しない(タバコは食べ物ではありませんが・・)
睡眠、休息
過敏性腸症候群は、生活習慣やストレスが大きく影響します。
睡眠や休息を、必要なだけ十分にとれているかどうかは、ストレスとの関連が深く、症状に影響を与えることでしょう。
日々の睡眠や休息と、腹痛の関連を観察していく必要もあるかもしれません。
運動療法
適度な運動はストレスを軽減します。
また、便秘型の場合は、適度に運動することで腸の動きが促されるため、症状が軽減されることが期待されます。
起きた時や就寝前のストレッチ、散歩など、気持ち良くできる程度の軽い運動が良いようです。
継続できる運動を行うことを勧めます。
過敏性腸症候群の心理療法
薬物療法を実施してもIBS症状が軽快しにくい患者さんに対しては、心理療法が有効なことがあります。心理療法には、ストレスマネージメントに加え、リラクセーション(弛緩法)、集団療法、認知行動療法、対人関係療法、催眠療法などがあります。
ストレスマネジメント
心療内科を訪れる過敏性腸症候群の患者さんは、すでに消化器内科でもらった治療薬を飲んでいることが多いのですが、ライフスタイルや考え方のクセが元のままでは、結局同じことを繰り返してしまいます。そればかりか、せっかく、ストレスを表現していた腹痛や下痢を薬で抑えると、ますます無理をして、頭痛や胃の痛みなど他の症状が現れることもあります。
このため、過敏性腸症候群には、薬を適切に調整したうえで、自分の症状を受け入れ、症状と上手くつきあっていくストレス・マネジメントの方法を一緒に考えていく治療法が効果的です。
リラクセーション(弛緩法)
田辺三菱製薬がセルフケアによるリラクセーションを紹介しているウェブページがあります。
ストレスにより心身は緊張状態となり、体に悪影響をおよぼします。
ストレスとの上手な付き合い方を考え、自分にあった適切な対処法を見つけることが重要です。
例えば、せルフケアによるリラクセーションもその一つで、緊張を和らげる手助けにもなりますので一度お試し下さい。