こんにちは。
就労移行支援事業所で就労支援員として働いているブジカエルです。
この記事では、就労移行支援の概要についてまとめました。
これから就労移行支援サービスの利用を考えている方や、この分野でキャリアを積んでいきたい方の学び、ベテランさんの基礎学び直しのご要望に応えられるページになったら幸いです。
就労移行支援事業とは
就労移行支援事業を展開する、就労移行支援事業所を端的に説明すると、
65歳未満の障害者に対し、就労に必要な知識や能力の向上を図る訓練などを行う事業所
ということになります。
もう少し詳しく説明すると、
就労を希望する65歳未満の障害者で、一般の企業・事業所に雇用されることが可能と見込まれる人に対し、生産活動や職場体験などの機会の提供、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練、求職活動に関する支援、障害の適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のため、必要な相談などを行う事業所です。
利用期間は原則として2年です。
就労移行支援事業の成り立ち、背景
就労移行支援事業は、自立支援法において一般就労を希望する障害のある人を企業等での就労につなぐ事業として創設されました。
自立支援法とは
現在の障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)。
障害者基本法の基本理念に則り、障害者が地域社会で暮らせる自立と共生の社会の実現を目指すもの。
経緯
2002年(平成14年)に、分野横断的福祉政策として「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(ホームレス自立支援法)が成立。
同年、障害者基本計画が策定され、それに伴い「重点施策実施5か年計画」(新障害者プラン)が策定されました。
さらに2003年(平成15年)には障害者施策が、従来の措置制度から支援費制度と改められ、2005年(平成17年)10月に障害者自立支援法が成立しました。
それまでの授産施設等では、生活リズムとしての作業活動や、就労系障害福祉サービスとしての生産活動、一般就労に向けた準備訓練などが混在し、福祉から就労への移行が滞る傾向にありました。
自立支援法の下で、目的別に障害福祉サービスが再編成された結果、就労移行支援事業は、一般就労を希望する人を対象とし、福祉から一般就労への移行を促進するという役割を担うことになりました。
その役割を果たすために、就労移行支援事業にはさまざまな機能が必要となります。
まずはその基本的なものを5つ。
- ステップアップのための中間的環境
- 職業的適性等に関するアセスメント
- 障害のある人の自己理解支援、就労意欲を高める
- 適した職場を見つけ調整するマッチング
- 就職後、少なくとも6か月間のフォローアップ
参考:就労移行支援事業の充実強化に向けた先駆的事例研究 就労移行支援ガイドブック(厚生労働省 平成23年度障害者総合福祉推進事業 平成24年3月 公益社団法人日本フィランソロピー協会)
就労移行支援事業のサービス内容
- 一般就労等への移行に向けて、事業所内での作業等を通じた就労に必要な訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施
- 通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場実習等によるサービスを組み合わせた支援を実施
- 利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定
※ 市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能
利用期間を3年に伸ばすのは結構大変なことで、相当の理由がなければ必要性が認められませんが、コロナ禍の影響は認められる流れになっています(現時点では、利用期間が今年度中で終わる予定だった人に限り。記事執筆日現在で。)
参考:厚生労働省 障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス
就労移行支援事業、概要のまとめ
「概要」という言葉自体が、要点をかいつまんだあらまし、大要という意味を持ちます。そのまとめ=概要をさらに簡単にまとめたパート、ということで、就労移行支援事業の概要まとめは以下の通りです。
就労移行支援事業所を利用する人の条件
- 障害がある
- 年齢は、65歳未満
- 就労を希望する
- 一般の事業所に雇用されることが可能と見込まれる
就労移行支援事業所で受けられるサービス
- 職場見学・体験、実習を含む様々な機会を通じて行う、就労に必要な知識・能力の向上のために必要な訓練
- 求職活動に関する支援
- 適性に応じた職場の開拓
- 就職後、職場への定着のために必要な相談や支援
利用料
- 所得に応じた自己負担
18歳以上の場合は利用者とその配偶者の所得、18歳未満の場合は児童を監護する保護者の属する世帯(住民基本台帳上の世帯)の所得に応じた自己負担(上限あり)。ただし、上限月額よりもサービスに係る費用の1割の金額の方が低い場合には、その金額。
生活保護を受けている人は無料のようです。 - 食費
昼食が無料で提供される事業所と、実費負担のある事業所があります。 - 交通費
通所交通費の支給については、自治体によって異なります。
例えば、一定日数以上通うと全額支給される、1か月に9日間以下の通所だと実費の半額しか支給されないなど、自治体によります。
会社見学や実習の内容によっては、自治体から支給される場合があります。
本記事は以上です。
参考になる部分がありましたら幸いです。