こんにちは、ブジカエルです。
2023年2月に社会福祉士国家試験に合格したので、2023年3月に精神保健福祉士養成短期コースに申し込みました。
その学習についての記録です。
この記事では、スクーリングの2日目、精神保健福祉の理論と相談援助の展開Ⅰについてまとめます。
レポート課題
先にレポート課題を確認しておきます。
中央法規のテキスト「精神保健福祉の理論と相談援助の展開Ⅰ」第3章の2節・3節を読み内容を要約し、全体で1,000字程度のレポートにまとめるという課題。
1時間目
科目の内容の捉え方について。
冒頭
講義の冒頭、中央法規のテキスト各冊「はじめに」には各科目の重要なことが書いてあるので、学習の最初に、またある程度進んでから、読むと良い。
と先生が仰っていました。
「はじめに」からわかること
- 2012年の整備法から始まって、障害者関連施策が変化している。
- その変化に合わせて、当該資格のカリキュラムも新しくなった。
- 当該科目は新カリキュラムの中でできた、ソーシャルワーク実践の理論と、精神科リハビリテーションを統合した科目
精神科リハビリテーションとは何か
第3章第1節
第1項 テキストP106~107
- 「re-」「habilis」「-ation」:再び適した状態にする
- -「単に喪失した機能を回復するにとどまらず、人間らしく生きる権利を回復することにその本質がある」
- アンソニーらの定義が一番大事
- アンソニーの基本原則(118~119ページ)
国試について
- テキストは2冊だけど科目としては1科目
- 問題数はそんなに多くない
- 専門用語を知らないと解けない問題はそんなにない
- そんなに難しくはないけど、精神科リハビリテーションの考え方を知っていることが重要
2時間目
冒頭
第1章第1節
- 考え方を「モデル」と言う
- 日本では3回のモデルがあった(治安モデル、医療モデル、福祉モデル・人権モデル)
- 13ページの表を理解することがこの時間の目標
内容、要点ピックアップ
第1章第1節
- 治安モデル:100年前、第一のパラダイムモデル
精神病者は危険、という考え方 - 100年前の考え方は今も残っている
宇都宮病院の石川氏は大正生まれ。90代になっても現役院長で、21世紀にも深刻な人権侵害が起こっていたという話で、治安モデルの考え方そのもの(監護とか、監置とか)。
だから、福祉の考え方が大事。 - 医療モデル:第二次大戦後、第二のパラダイムモデル
精神病は治安ではなく、治療の対象とする
1950年 精神衛生法 - 昭和40年の改正精神衛生法:ここから色々動き始めた。
景気が良かったこともあり、社会復帰施策の展開が順調、地域の小規模作業所等も広がる
そんな流れに報徳会宇都宮事件が水を差す
国際社会からも糾弾 - 福祉モデル、人権モデル:1995年~、第三のパラダイムモデル、9ページ
第1章第1節は絶対読む!
他の科目の理解にも役立つと、先生が仰っていました。
モデルの転換についての理解
テキスト13ページ、モデル変遷の図を理解する。
人権は当然重要で、治安モデルは不要だが、医療、公衆衛生、保健、福祉の考え方が不要になるわけではなく、バランスよくそれぞれの視点を持つことが大切ではないか、という話。
参考:広井良典「ケア学」より一部改変の表
視座、モデル、アプローチについて
☆265ページ
・視座(perspective)
・モデル(model)
・アプローチ(approach)
これらは文献などでしばしば混乱と混同が見られるが、議論や批判の際には、どのレベルを土俵としているのかの共通認識が必要、という話。
モデルは考え方を示すもので、アプローチはそのモデルのもとでの関わり方、とか。
3時間目
リハビリテーションとモデルを踏まえて、面接技法の考え方について。
内容、要点ピックアップ
面接
第8章第1節 テキストP306~
第8章第2節 テキストP316~
- ソーシャルワークで面接は不可欠
- カウンセリングは面接
- ソーシャルワーク=面接、ではない、関わり方は色々
- 面接3種類:面接室、生活場面、電話
- 座る位置(横並び/90度/対面)は心理に影響する
- 座る姿勢も重要(相手を大切にする、のであれば・・)
- 座り方、視線、姿勢、態度、所作等(ノンバーバルコミュニケーション)も重要
- 廊下での立ち話も面接、相手を尊重する態度はいつでもどこでも、面接室外だからこその情報があるかも
- 学生、初心者は言葉(バーバル)を気にする(「何と言えばいいのか」等)が、態度の方がずっと相手に影響を与える
- 例え失敗があっても、相手を大切にする気持ちが伝われば、そんなに大きな問題に発展しないのでは
- SWの技法、英語では「art」、新しい物を生み出す意、テクニックやスキルとは異なる
面接の原則:バイステックのケースワークの原則
テキスト P309~
原則1:個別化
原則2:意図的な感情の表出
原則3:統制された情緒的関与
原則4:受容
原則5:非審判的態度
原則6:クライエントの自己決定
原則7:秘密保持
基本すぎて国試にはあまり出ない。
国試の事例を解く上で前提となる考え方。
4時間目
1~3時間目の振り返りをしながら、アンソニーの基本原則の4番目補足。
●テキストP107~
1918年 戦傷者リハビリテーション法の制定(アメリカ合衆国)
戦争で傷病を得た人の職業復帰に向けた訓練が目的
ということが、アンソニーの基本原則4番目「職業上の予後を改善すること」に影響している。
内容、要点ピックアップ
第5章第1節 テキストP187~
1~3時間目:広義のリハビリテーションの話
4時間目:狭義のリハビリテーションの話(医療機関、精神科におけるリハビリテーション)
パーソンセンタードケア、チームアプローチ
利用者を中心に、多様な職種の人がいる(医師、臨床心理士、就労支援担当者、ピアスタッフ、作業療法士、看護師、精神保健福祉士の)
第5章第3節 精神科デイケア テキストP221~
- 精神科通院医療の一形態
- 再発・再入院の防止
- 医療におけるリハビリテーションの中核的支援機関、医療チームでサービスを提供
- うつ病リワーク専門のデイケア、発達障害専門のデイケアが増えている
- デイケアとは:学びの場、対人交流の場、相談の場、楽しむ場、生活を支える場
病気とうまく付き合う、生活のリズムを整える、自分の居場所を見つける、友達を見つける、仲間を得る、空いた時間を使う、趣味を増やす、ポジティブな感情を得る、疲れた時に休む、社会参加する - プログラムは様々(参加は自由):運動・スポーツ、創作活動・趣味活動、教養ブログラム、レクリエーション、ソーシャルスキル・心理教育
- 調理プログラムは人気あり(献立考案、買い物、調理の過程のグループワーク、リハビリ色々)
- イベントもリハビリ。
- SST(Social Skills Training):対人関係のスキル(第5章第1節 テキストP209~)
参考
前田ケイ『基本から学ぶSST』
西園昌久『SSTの技法と理論』
レポート作成
先に確認した通り、今回のスクーリングで課された課題は、中央法規のテキスト「精神保健福祉の理論と相談援助の展開Ⅰ」第3章の第2~3節を読み内容を要約し、全体で1,000字程度のレポートにまとめるというもの。
今日は予定があるので、レポートは明日以降書きます。
テキスト確認
まず該当章節の目次を確認します。
ページ数は略します。
第3章 精神科リハビリテーションの概念と構成
(略)
第2節 精神科リハビリテーションの理念、意義と基本原則
1 精神科リハビリテーションの概念
2 障害モデルと精神科リハビリテーション
3 精神科リハビリテーションの基本原則第3節 精神科リハビリテーションの構成と展開
1 精神科リハビリテーションの対象
中央法規の当該科目テキスト
2 精神科リハビリテーションにおける精神保健福祉士の役割
3 精神科リハビリテーションにかかわる専門職等との連携
4 精神科リハビリテーションの施設
5 関係機関・協力組織
目次・構成
目次はつまりレポートの構成なので、レポート冒頭に書く書かないに関わらず考えます。
テキストの目次をそのまま活用して、以下のようにしようと思います。
第2節 精神科リハビリテーションの理念、意義と基本原則
- 精神科リハビリテーションの概念
- 障害モデルと精神科リハビリテーション
- 精神科リハビリテーションの基本原則
第3節 精神科リハビリテーションの構成と展開
- 精神科リハビリテーションの対象
- 精神科リハビリテーションにおける精神保健福祉士の役割
- 精神科リハビリテーションにかかわる専門職等との連携
- 精神科リハビリテーションの施設
- 関係機関・協力組織
8項目あるので、1000÷8=125、1項目につき概ね125文字でまとめます。
うーん、タイト。
5/29 一応できた
イベントが続き、その準備とかでレポートどころではなかったので、少し間が空いてしまいましたが、一応できました。
あまり慣れていないタイプのレポートだからか、少し時間がかかってしまいました。
しばらく温めます。
所感
講義を聴きながら色々考えてしまいました。
宇都宮病院事件とか、滝山病院事件とか。一体何人の方が暴力にさらされていたのか、何人の方の生涯が無念のうちに断たれたのか、本当にやりきれません。
私の勤務先事業所とは別の事業所のことですが。
そこでは医療モデルの考え方の割合が大きいのだなと思うに至りました。
そこの管理者(実質その事業所のナンバー1)は、医療リスペクト&医療が絶対のような考え方で、福祉的な視点が本当にない人だなとは思っていたのですが、今日のスクーリングで、「ああ、そういうことか」と。
やや年配なので、その態度の根底にあるものも多少察しが付きます。
でも、利用者さんの体調が良くなることを目指す支援はほぼなくて、何かというと利用者さんにすぐ入院を勧める、自分の意に沿わない態度の利用者さんを否定する、怒鳴りつける(さすがにこれは滅多にありませんが)。以前一緒に勤務している間にはおかしい、変だ、と感じることがしばしばありました。
今は私は別の事業所にいるので、その人の仕事を間近に見ることがなくなって、気持ちは楽になりました。
人権侵害ではないかと思いつつ、同じ事業所・法人に勤務する人を告発する勇気がないので。利用者さんには本当に申し訳ないのですが。こういうことは恐らく、福祉あるあるだと思います。今の団塊ジュニアの少し上以上の世代の人(特に男性)には、虐待や各種ハラスメントの行為を普通に行ってそれと気づかない人が多いというのは常々感じてきたところですが。
人権モデルが当たり前の世の中に早くなってほしいものです。
合格レポート
提出して、合格となったレポートを掲載します。
ご参考になれば幸いです。
丸写しはダメですよ。
第3章第2節
第一項では、精神科リハビリテーションの理念について述べている。精神科リハビリテーションは近代の人権思想を出発点として、世界保健機関によるその定義は1968年以降変遷し、生物ー心理ー社会モデルによる国際生活機能分類に至った。身体的リハビリテーションでは医学的リハビリテーションの領域が大きく多くは有期限であるが、精神科リハビリテーションでは教育的・職業的・社会的リハビリテーション領域のアプローチが大きく、社会生活場面で継続的に行われることが多い。
第二項は精神科リハビリテーションにおいては障害学と社会モデルの今後の展開が期待されることを、第三項では精神科リハビリテーションの基本原則について述べている。最初に体系立てて明らかにしたアンソニーの基本原則、中川正俊と伊勢田堯がまとめた基本原則を挙げた上で、今日理解しておくべき基本原則(当事者参加・個別性の重視等)を挙げている。
第3章第3節
第一項では、精神科リハビリテーションの対象について述べていて、日本では「重度の精神障害」による生活が困難な状態の中でも生活機能の回復をその焦点としている。精神科リハビリテーションの最近の特徴と課題として、早期開始の仕組みづくりの必要性、実施場所のさらなる地域への移行の必要性等を挙げている。
第二項では、精神科リハビリテーションにおける精神保健福祉士の役割が述べられている。精神障害者の社会復帰促進の必要性を背景として精神保健福祉士は誕生し、精神障害者の社会的入院の解決、退院後の生活の質の向上と自己実現、人権擁護等の役割が期待される。社会福祉士と異なる独自性も求められ、メンタルヘルス領域の拡大に伴い期待される役割は拡大している。
第三項では精神科リハビリテーションに関わる専門職等との連携について述べられていて、精神保健福祉士がチームアプローチについて理解し、自らの専門性を高め、他の専門職等と連携することの必要性や留意点が挙げられている。
第四項では精神科リハビリテーションの施設について、世界的潮流とは異なり日本ではその固有の経緯のため、現在も病院等が重要な役割を担っているとしている。医療機関の他、障害福祉サービス、精神保健福祉センター等の行政機関が、また第五節に例示される精神保健福祉に直接・間接的に関わる数多くの機関・組織が、精神科リハビリテーションに関わっている。
講師講評
精神保健福祉士国家試験受験科目の全体の中で、本科目は、最も分量が多い科目であるがゆえに、まず、ここで「何を学ぶのか」を把握すること、また、精神保健福祉士の多くの業務内容が扱われている中で、それらの「位置づけ」や「関係性」のイメージを持てるようになることが、この科目の特性を理解することにつながります。
以上を前提に、本科目(Ⅰ)においては、主に「精神科リハビリテーション」という枠組みおける「支援」について学んでいただきました。ただし、講義でも触れましたが、「リハビリテーション」と「福祉(援助)」は、必ずしも明確に線引きされて、区別されているわけではありません。
ですから、どのような「支援」なら「リハビリテーション」なのか、または「福祉」なのか、にこだわることが大切なわけではないのですが、それでも「リハビリテーション」という概念は、確固たる専門分野として成立しているため、私たち精神保健福祉士としては、「リハビリテーション」という取り組みが発展してきた「歴史的背景」や、「再び、というイメージで目指すべきものは何か」という概念を学ぶことに意味があるのだと思います。
ここでもやはり、「考え方」を学ぶことが主であることは、確かでしょう。しかしながら、皆さんに学んでいただいたとおり、「リハビリテーション」という取り組みは、その史実や、必要とされた社会的事情などが、わりとはっきりしています。
ですから、それらを知れば、精神保健福祉士のフィールドである「医療」(リハビリテーションは、医療に分類されますので)や「福祉」の「あるべき姿」は、多分に「社会情勢」に影響されていることが理解できます。もっと言えば「経済状況」とも、不可分に関係します。
「医療」や「福祉」の「あるべき姿」が、「社会情勢」「経済状況」に影響されるということには、少し抵抗を感じるかもしれません。
しかしだからこそ、「普遍的な部分」と「時代によって変化せざるを得ない部分」を見極めて、整理しておくことが重要なのだと思います。
このことを、本科目での学びにあてはめると、例えば「アンソニーの原則」などは、「普遍的な部分」」の筆頭例でしょう。社会がどうあれ、「人間の回復の手立て」のコアな部分が提唱されていると言ってよいでしょう。
それに比して、講義の後半で紹介した、現代の我が国における取り組みの例などは、もしかすると、10年後、135年後には、方法論が変わっているかもしれません。「リハビリテーション」にせよ、「福祉」にせよ「人を支援する」という取り組みにおいて忘れてはならないのは人間理解における「「普遍的な価値観」を見誤らないことだと思います。
本科目での学びにおいて、結果的に、そのような大きな視点にも気づいていただければ幸いです。