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問題53|第22回 精神保健福祉士 国家試験 ④精神保健福祉の理論と相談援助の展開

勉強するウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

2023年2月、社会福祉士の試験に合格したと思われるので、精神保健福祉士国家試験に向けての学びを始めました。

この記事では、過去問題をしゃぶり尽くします。

↓過去問題はここ↓
社会福祉振興・試験センター>精神保健福祉士国家試験>過去の試験問題

事例問題 2

次の事例を読んで,問題 52 から問題 54 までについて答えなさい。

〔事 例〕
P市のAスクールソーシャルワーカー(精神保健福祉士)は,U小学校の教頭から 5年生のBさん(11 歳,女性)と面談してほしいと依頼を受けた。教頭の話によると,Bさんは 1 年前に両親が離婚し, 3 か月前に母親と共にP市に転入して二人で暮らしている。生活費等は父親が送金しているようである。U小学校に通い始めたものの遅刻や欠席が目立ち忘れ物も多く,登校しても表情は乏しくほとんど一人で過ごしている。心配した担任が母親に連絡を取ったところ,話のつじつまが合わず,周囲に悪い人たちがいて危ないと訴えていたという。Aスクールソーシャルワーカーが面接した際,Bさんはうつむいて黙り続けていたが,徐々に,「優しかったお母さんが変わってしまった。暗い顔してすごくつらそう。突然怖い顔して外に出るなと言ったり,夜中に壁に向かって何かをずっと言ったりしてすごく怖い」と話し,「私が何かいけないことしたのかな」と泣きじゃくった。(問題 52)
AスクールソーシャルワーカーはBさんの意向を確認した上で,P市を管轄する保健所のC精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)に相談し,Bさんと母親への支援の協力を依頼した。C精神保健福祉相談員は,Bさんの母親に精神疾患が疑われることから,医療・教育・行政機関が連携した支援チームをつくり,訪問による支援を開始した。
母親は支援チームのスタッフが訪ねても,初めのうちは玄関を開けてくれなかったが,訪問を繰り返すうちに顔を出すようになった。母親の話は脈絡のないことも多かったが, 3 年前に元夫に連れられて精神科を受診するようになったが,数か月前から通院をやめていたことが分かった。その後,母親は治療を再開し,訪問看護が行われた。この間,並行してBさんへの支援も行われ,Bさんは毎日登校できるようになった。(問題 53)
中学校に進学すると,BさんはC精神保健福祉相談員の紹介で精神障害のある親と暮らす子どもが集う会に参加し始めた。そして,「集う会では学校の友達に言えないことも話せる」とBさんが笑顔で話す様子もみられるようになった。(問題 54)

目次

問題 53 次のうち,支援チームが活用したBさんに対する支援として,適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 児童発達支援センターにおける心理的サポート
  2. U小学校におけるTEACCHプログラムの導入
  3. 保健所における精神障害を理解するための心理教育の実施
  4. 医療機関における内観療法による治療的アプローチ
  5. 放課後等デイサービスにおける交流の機会の提供

設問について

・Aスクールソーシャルワーカーは、P市を管轄する保健所のC精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)に相談、支援の協力を依頼
・C精神保健福祉相談員は、医療・教育・行政機関の連携支援チームをつくり,訪問による支援を開始
・母親は、3 年前精神科を受診するようになったが,数か月前から通院をやめていた。その後,母親は治療を再開し,訪問看護が行われた。
・並行してBさんへの支援も行われ,Bさんは毎日登校できるようになった。

さて、Bさんにはどんな支援が行われたでしょうか。
という問題。

親が精神疾患を持つ子どもへの支援として、適切なものを選びます。

各選択肢について

選択肢1:児童発達支援センターにおける心理的サポート

地域の障害のある児童を通所させて、日常生活における基本的動作の指導、自活に必要な知識や技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う施設です。

児童発達支援センター|独立行政法人 福祉医療機構 wam net

選択肢2:U小学校におけるTEACCHプログラムの導入

TEACCHとは、1960年代よりアメリカ・ノースカロライナ州で発展してきた自閉症の人たちのための生活支援制度で、 自閉症の人たちに彼らを取り巻く環境の意味を伝え、意味のあるコミュニケーションをしながら、彼らとの共存世界を目指そうとするプログラムです。 それは自閉症の特性理解に大きな礎を置くもので、今や世界中に知られ、また実際に応用されるところとなっています。

TEACCHについて | TEACCHプログラム研究会

選択肢3:保健所における精神障害を理解するための心理教育の実施

厚労省の下記通知で、「家族や障害者本人に対する教室等」が保健所の業務に含まれていました。

○保健所及び市町村における精神保健福祉業務について

(平成一二年三月三一日)
(障第二五一号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)

○保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領

第1部 保健所

(中略)

第3 業務の実施

(中略)

2 普及啓発

(1) 心の健康づくりに関する知識の普及,啓発

地域住民が心の健康に関心を持ち、精神疾患やその初期症状や前兆に対処することができるよう、また、精神的健康の保持増進が保たれるよう、心の健康づくりに関する知識の普及、啓発を行う。

(2) 精神障害に対する正しい知識の普及

精神障害者に対する誤解や社会的偏見をなくし、精神障害者の社会復帰及びその自立と社会経済活動への参加に対する地域住民の関心と理解を深めるため、講演会、地域交流会等の開催や、各種広報媒体の作成、活用などにより、地域住民に対して精神障害についての正しい知識の普及を図る。

(3) 家族や障害者本人に対する教室等

統合失調症、アルコール、薬物、思春期、青年期、認知症等について、その家族や障害者本人に対する教室等を行い、疾患等についての正しい知識や社会資源の活用等について学習する機会を設ける。

厚生労働省|・保健所及び市町村における精神保健福祉業務について(◆平成12年03月31日障第251号)

選択肢4:医療機関における内観療法による治療的アプローチ

内観療法とは
創始・提唱:吉本伊信(1916-1988)
人間関係の不和等から発展したうつ病や依存症を対象に行われる精神療法。浄土真宗に伝わる「身調べ」という求道法から宗教的要素を取り除き、誰でもできるように修正・発展させ、内観法(内観療法)を開発。吉本伊信自身はこれをゲシュタルト療法の枠組みで捉えてはいませんが、国分康孝『カウンセリングの理論』では理論的にはゲシュタルト療法で説明がつくとされいます。
参考:国分康孝『カウンセリングの理論』、内観療法 l 一般社団法人 日本臨床心理士会

選択肢5:放課後等デイサービスにおける交流の機会の提供

放課後等デイサービスは、児童福祉法で規定される障害児通所支援の一種。

第六条の二の二
(中略)
④ この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。

児童福祉法 | e-Gov法令検索

正答

3(保健所における精神障害を理解するための心理教育の実施)

第22回 精神保健福祉士 国家試験 全問題はこちら

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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