この記事では、社会福祉士養成課程(通信)の第3番目のレポート(科目は「相談援助の理論と方法」)に関することをまとめました。
お忙しいでしょうから、ぜひ必要な個所に絞って見てくださいね。
以下の記事にまとめた手順に沿ってレポートを作成する準備を進めました。
レポートは2択
レポートの課題は、以下の2つから選べました。
(a) 相談援助の原則について
~相談援助の原則であるバイステックの7原則について踏まえたうえで、原則のひとつを取り上げて、なぜその原則が援助において必要となるのか、あなたの考えを述べなさい。
(b) ネットワーキングについて
~ネットワーキングの意義、目的、方法についてまとめ、相談援助における多職種・多機関との重要性についてあなたの考えを述べなさい。
(a)の方が書きやすそうだったので(a)にしました。
今回も書きやすい方を選んでしまいました。。
(b)は、性格的に苦手な分野であることと、「相談援助における多職種・多機関との重要性」の部分が日本語として不完全なように感じられ、解釈で迷い時間を浪費してしまいそうな気がしたので避けました。
レポート作成の手順
では、「社会福祉士養成通信課程で提出するレポートとその作成方法について【土台=基礎編】」の「レポート作成の手順」に沿って作業を行っていきます。
テーマ分析
相談援助の原則であるバイステックの7原則の必要性について自分の考えを述べるというテーマは、どのような内容を期待して設定されたのかを考えます。
また、社会福祉士養成通信課程におけるレポートは、
- 学習を進めているよ!ということを学校に知らせる
- こんなふうに理解しているよ!ということを先生に知らせる
ということも目的としていると考えられるため(参考:社会福祉士養成通信課程で提出するレポートの意味)テキストの内容を踏まえつつ、少し発展させたレベル内容も盛り込めるとベターかと思います。
具体的には、以下の要件をクリアするレポートにしようと思います。
- バイステックの7原則についての概略
- 1つ選び、それを選んだ目的について軽く触れる
- 自分なりの見方や意見を内容に含める
今回のレポートのお題では「あなたの考えを述べなさい」なので、テキスト等に記載してある事実や言葉の意味、定義等よりも、自分の考えを述べる部分を膨らませます。
後日送られてきた解題によると、相談援助の専門職を目指す人に必要な基本的な考え方について理解することが求められていました。
(a)であればバイステックの7原則について理解することが求められていて、自分の選んだ原則が相談援助業務においてどのような影響を持つか、ということについて考察することが求められていました。
材料を集める
レポートを書くにあたって必要な材料を集めます。
学校指定のテキストの中や、テキストに出てきた資料から主に材料を探します。下記愚痴の通り、テキスト以外の文献に目を通す余裕は本当に全然ないのですが、今回はさすがにバイステックの古典的名著は手元に置こうと思い購入しました。
愚痴:テキストに記載されている参考文献にもできれば目を通したいのですが、全てに目を通す余裕は本当に全然ありません。正直なところ、1冊も読めていません。今月前半が特に忙しかったということもありますが、学生専業ではなくフルタイムで仕事をしている上に、私は家に仕事を持ち帰るタイプなので、仕事の方に時間が多めに割かれてしまいます。
さて、まず語句の意味・定義を明確にします。(次項にまとめておきます。)
今回は、集める材料は少なめです。
例えば、
- バイステックとは
- バイステックの7原則とは
など。
これらを踏まえて、自分の考えをレポートに書けるようにします。
語句の意味・定義を把握
バイステックとは
Biestek, Falix Paul、1912年生まれ。
アメリカの社会福祉研究者で、カトリックイエズス会の神父。
1957年に『ケースワークの原則』を著し、利用者との援助関係を適切に形成するための7つの原則を唱えた。これがバイステックの7つの原則である。
余談:検索すると「バイステック」と「バイスティック」とどちらも出てきますが、綴りが「Biestek」で、Biestekさんがアメリカ人であることを考え合わせると、「バイステック」と読むのが自然ではないかと思いました。でも、とある大学の論文雑誌に掲載されていた、大学教授の論文でも「バイスティック」と書いていたりして、・・・???
バイステックの7原則とは
F.P.バイステックが1957年に著した『ケースワークの原則』で唱えた、援助者が遵守するべき姿勢や態度等に関する7つの原則。
- クライエントを個人として捉える(個別化)
- クライエントの感情表現を大切にする(意図的な感情の表出)
- 援助者は自分の感情を自覚して吟味する(統制された情緒的関与)
- 受けとめる(受容)
- クライエントを一方的に非難しない(非審判的態度)
- クライエントの自己決定を促して尊重する(クライエントの自己決定)
- 秘密を保持して信頼感を醸成する(秘密保持)
狭義の相談援助においてバイステックの7つの原則を意識する姿勢は、現代においても有効。
ただし留意すべき内容もあるとして、私の手元のテキストには以下のことが記載されています。
- バイステックがカトリックの神父様なので、キリスト教的道徳観が根底にありそう。
- 発表されたのは1950年代で、時代的にはクライエント個人を対象とした伝統的ケースワーク理論に依拠しており、医学モデル的。
- エコロジカルな視点はほとんど見当たらない。
クライエントを取り巻く社会・経済的状況、政治的状況に対する視点が希薄で、主にケースワーク関係にのみ焦点が当てられている。
個人の変容や環境への適応に目標が置かれ、適応すべき社会が内包している様々な矛盾に関心が寄せられていない。
特定の一人の人間=クライエント個人を対象としており、支援対象または社会資源としての家族や家族関係に視野が及んでいない。 - パターナリスティックな側面がある、
援助者側がより効果的に相談援助を展開するための要件という意味合いが強く、クライエント側の要素があまり勘案されていない。
エコロジカル・アプローチとは:援助の対象者を、個人としてではなく、集団の一員として捉えて、その人の置かれた環境や社会的背景まで広く視野に入れて理解し、解決をはかろうとするもの。
F.P.バイステック『ケースワークの原則』とは
ソーシャルワーク臨床の原点である「援助関係」の基礎を論じ、50年以上読み継がれてきた古典的名著。
ケースワークにおける援助関係を全体として、あるいは分解して、説明し、定義し、そして分析することを目的として出版された。
新訳改訂版は誠信書房より2006年3月に刊行。
どの原則を選ぶか
⑥クライエントの自己決定を促して尊重する(クライエントの自己決定)を選びました。
クライエントの人生や生活はクライエント自身のものだとの前提に立ち、自分のことは自分で決められるように援助するというものです。
他の原則もとても大切で、信頼関係の構築に欠かせないものばかりですが、他の原則を大切にして信頼関係を構築できたとしても、クライエント自身の自己決定が欠けたらその支援の意味がなくなってしまうのでは、くらいに大切ではないかと思うのです。
もちろん、意思能力が不十分なクライエントの場合は別ですが。
国家試験に向けての対策
後日配布された解題に以下のことが書かれていました。
- 事例問題の解答のポイントに今回の課題が役に立つので(バイステックの7原則やネットワーキングについて)しっかり覚える。
- テキストを中心に繰り返し学習を進める。