この記事では、社会福祉士養成課程(通信)の13番目のレポート(科目は「相談援助の理論と方法」)に関することをまとめました。
A評価を得たレポートの実例つきです。
お忙しいでしょうから、ぜひ必要な個所に絞って見てくださいね。
以下の記事にまとめた手順に沿ってレポートを作成する準備を進めました。
レポートは2択
レポートの課題は、以下の2つから選べました。
(a) スーパービジョンの目的と機能について
~スーパービジョンの目的と機能をまとめ、あなたの考えを述べなさい。
(b) アウトリーチサービスについて
アウトリーチの目的と意義、留意点をまとめ、必要性についてあなたの考えを述べなさい。
比較して簡単そうに思えた(a)にしました。
キャリアコンサルタントの資格を取る時にも多少は勉強して、予備知識が既にあるから簡単そうに感じたかもしれません。
レポート作成の手順
毎度恒例、「社会福祉士養成通信課程で提出するレポートとその作成方法について【土台=基礎編】」の「レポート作成の手順」に沿って作業を行っていきます。
テーマ分析
「スーパービジョンの目的と機能をまとめて自分の考えを述べる」というテーマは、どのような内容を期待して設定されたのかを考えます。
また、社会福祉士養成通信課程におけるレポートは、
- 学習を進めているよ!ということを学校に知らせる
- こんなふうに理解しているよ!ということを先生に知らせる
ということも目的としていると考えられるため(参考:社会福祉士養成通信課程で提出するレポートの意味)テキストの内容を踏まえつつ、少し発展させたレベル内容も盛り込めるとベターかと思います。
今回のレポートは、
- スーパービジョンの目的と機能:定義を明確にした上で、その目的と機能を端的に書く。
- 自分にとってスーパービジョンがどのように役立つか等、自分のオリジナリティをしっかり盛り込んで書く。
自己理解、自己覚知がある程度できていることを示せるとベターかと。
この辺りがしっかり書けていれば、及第点はもらえるでしょう。
材料を集める
レポートを書くにあたって必要な材料を集めます。
学校指定のテキストの中や、テキストに出てきた資料から主に材料を探します。
まずは、語句の意味・定義を明確にします。(次項にまとめておきます。)
例えば、
- スーパービジョンとは
など。
材料を集める
レポートでは、学校指定のテキストをしっかり押さえておくことのは大前提。
下記資料も参考になりそうなのでメモしておきます。
国立障害者リハビリテーションセンターのサイトに掲載されていました。
気になったことを調べながらレポートを作成していたら、下記の調査報告書や論文が結構参考になったのでメモしておきます。
- 社会福祉士の専門的な実践力の向上と活動領域の拡充に関する調査研究事業報告書
- 地域共生社会の実現に向けた現任社会福祉士の研修プログラムの開発とスーパービジョンの実態把握に関する調査研究事業
- 社会福祉士のスーパービジョン体制の確立等に関する調査研究事業報告書
- 福祉現場におけるソーシャルワーカーのスーパーバイジーに向き合う体験
―スーパーバイザーへのフォーカスグループインタビュー調査―
スーパービジョンとは
学校指定のテキスト98~100ページから。
(私の所属する学校と違う学校の方は違うページで確認してください)
スーパー(super)=超越
ビジョン(vision)=先見
スーパービジョン=深く遠く将来を見通すこと、またそのような能力を培う過程
ソーシャルワークにおけるスーパービジョンとは、社会福祉機関や施設において実施される、スーパーバイザーによるスーパーバイジーへの管理的・教育的・支持的機能を遂行していく過程を指す。言い換えれば、スーパーバイジーの援助の質を高め、よりよい実践ができるよう、スーパーバイザーが具体的な事例を通して適切な指導・助言を行うプロセスである。どのような職種であれ、経験の浅い者は自分の言動に自信が持てなかったり、あるいは自分では気づかぬまま好ましくない言動をとることが少なくない。対人援助の場面においてもそれは例外ではなく、ソーシャルワーカーとしての自信や能力、知識や技術などを身につけることは、適切なサービスを提供する上で必要不可欠なことである。ソーシャルワーカーは、スーパービジョンを通して、さまざまな機能を備えたプロフェッショナルとして成長していくのである。
スーパービジョン関係において、スーパーバイザーが3つの機能ー管理・教育・支持ーを提供することによって、スーパーバイジーの技術・知識・態度・倫理的基準の発展を促し、利用者へのサービスの質を向上させるものであり、専門職育成の過程である。
スーパーバイザーとは
スーパービジョン関係において指導・助言する側であり、実践の経験や知識・技術を持った熟練した援助者を指す。具体的には、職場の上司や先輩のソーシャルワーカー、教師、実習先の指導者などである。スーパーバイザーは「中間的な位置」を占めるものであるが、福祉機関や施設において、管理的な立場にある者がその役割を担うケースが多くみられる。そのため管理者としての立場と、スーパーバイザーとしての立場とが混同されることも少なくない。本来、それぞれの立場は別のものとして存在し、その指導・助言が管理者としてのものなのか、スーパーバイザーとしてのものなのかが明確に区別されなければならない。したがって、両者の役割をそれぞれ別の者が担当し遂行すべきであるのだが、実際には兼務する傾向が強い。そのような二重の役割を担う場面において、いかに自らの気持ちを整理し、それぞれの立場に立つのか、スーパーバイザーに与えられた1つの課題であろう。
スーパーバイジーとは
スーパービジョン関係において指導・助言を受ける側であり、経験の浅い援助者を指す。具体的には新人ソーシャルワーカーや学生などである。スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーとの共同作業であるため、スーパーバイジーにも適切な準備と、指導を受けることへの積極的・主体的な姿勢が要求される。まずは自分の抱える課題を言語化し、整理する努力が必要となろう。実際の取組みにおいては、素直な気持ちで臨み、率直に意見を述べ話し合い、その内容をフィードバックすることが重要となる。相互理解の深化があってこそ効果的なスーパービジョンとなるのである。
スーパービジョンの目的と機能
スーパービジョンの必要性(目的)
以下学校指定のテキストから。
援助実践の視点
常に創造的なソーシャルワークにおいて、応用力や実践力を身につけ、ケースワークを個別化しつつ過去の学びをいかに現在の援助に結び付けるかを学ぶため。
新人教育の視点
新人が教育機関で学んできた理論を、実際の援助場面で応用、実践できるようになるために。経験値を蓄積し、適切な援助ができるようになるために。
バーンアウト防止の視点
熱心に仕事に打ち込んでいたのに、突然無気力で日活動的な精神状態に陥ったりすることのないように、ソーシャルワーカー自身がバーンアウトについて深く理解する必要があり、そのためにもスーパービジョンが必要。
スーパービジョンの機能
スーパービジョンの機能は以下の3つがある。それぞれは互いに関連していて、1つでも欠けると効果的なスーパービジョンは期待できない。
①管理的機能
以下2つの側面がある。
- ソーシャルワーカーとしての機能やニーズへの対応が十分に遂行されているか。
- 業務の負担や効率性、事例数などが適切か。
組織がその目的に沿って効果的なサービスを提供し、組織目標が達成されるように、またその組織に所属するソーシャルワーカーが自身の能力を発揮し利用者へのサービスの質を向上させられるように、体制を作っていくため。
②教育的機能
ソーシャルワーカーが援助技能を高め、専門職として効果的なサービスを提供し、職業上の自己実現が図れるように、技術・知識・態度・倫理的基準の発展を促し、具体的かつ実践的な指導・助言を行う。
教育機関で身につけた基本的な知識や技術は、実際の援助でうまく活用されない場合が多い。実践を通してそれらを理解し、自分で考え判断し行動できるようになるために、スーパービジョンで教えられ学ぶことで、より高度な知識・技術を身につけそれを実践する能力を培う。自己覚知の機会、学習意欲の持続させること、なども。
③支持的機能
ソーシャルワーカーの援助実践を、スーパーバイザーが精神的にサポートすること。ソーシャルワーク実践において生じる、理想と現実のギャップや様々なジレンマ、葛藤を克服していく過程は、その後のソーシャルワーカーとして進む道に大きく影響する。スーパーバイザーとスーパーバイジーが課題を共有し、受容と共感を通じて、支持的機能では、援助活動の中で生じるジレンマや葛藤の調整を行い、自己覚知の促進とバーンアウトの防止を含めた専門職としての成長を促す。
A評価のレポート例
ご参考になれば幸いです。
完全コピペはダメですよ。
点数 80点
総合評価 A
項目別評価
・課題の理解度 A
・論旨と構成 A
・自己の見解 A
1.スーパービジョンの目的
ソーシャルワークにおけるスーパービジョンは、ソーシャルワーク専門職育成の過程であり、ソーシャルワークにおいて知識・技術・経験等の面で優れて力を持つ指導的立場のスーパーバイザーが、被指導的立場のスーパーバイジーに対して助言や指導等を行い、スーパーバイジーのソーシャルワークの専門職としての育成を図る。スーパーバイジーがソーシャルワークの実践において責任主体として技術・知識・態度・倫理的基準の発展を促進させ、ひいては利用者へのサービスの質を向上させることを目的として行う。
個々のスーパービジョンの目的は、地域や事業所により、また個人かグループかといった形態によって異なり、主に①援助実践、②新人教育、③バーンアウト防止の3つの視点で分けられる。目的が何であれ、スーパービジョンに臨む者全員がスーパービジョンの場であることと、そのスーパービジョンの目的を理解した上で主体的に参加することが重要である。
2. スーパービジョンの機能
スーパービジョンの機能には次の3つがあり、互いに関連している。効果的なスーパービジョンとするには3つ全て欠けることなく機能させる必要がある。
①管理的機能
組織がその目的に沿って効果的にサービスを提供して組織目標が達成されるように、その組織に所属するソーシャルワーカーが自身の能力を発揮して利用者へのサービスの質を向上させられるように、体制を作っていくための機能。
②教育的機能
ソーシャルワーカーが援助技能を高め、専門職として効果的なサービスを提供し、職業上の自己実現が図れるようにする機能。技術・知識・態度・倫理的基準の発展を促し、具体的かつ実践的な指導・助言を行う。
③支持的機能
スーパーバイジーであるソーシャルワーカーの援助実践を、スーパーバイザーが精神的にサポートする機能。信頼関係を基盤として、受容と共感を通して援助活動の中で生じるジレンマや葛藤の調整を行い、自己覚知を促進、専門職としての成長を促す。バーンアウトや業務意欲減退、マンネリ化等の防止の役割もある。
3. 考察
ソーシャルワーカーが成長し、クライエント本位の支援を実践し続けるために、スーパービジョンは重要な役割を担う。しかし日本社会福祉士会員を対象とした全国調査の報告書(2021年3月)(1)では、スーパービジョンを受けたことのない人は7割近くにのぼり、10年前の同様の調査(2)よりその割合は高くなっている。
このようにスーパービジョンは普及しているとは言い難いが、その必要性は自明である。クライエントの人権や権利を守り、サービスの質を向上させるためにも、福祉サービスを提供する全ての組織におけるスーパービジョンの定期的な実施が望まれるが、人手も財源も限られる中でその実現はハードルが高いと言える。
所属する組織にスーパービジョンの体制がない場合でも、日本社会福祉士会の生涯研修制度の中でスーパービジョンを受けるなど、既存の仕組みを活用することはできる。自分の育成を常に意識して、様々な形態のスーパービジョンを受けながら、スーパービジョンの普及にも尽力したい。
解題で復習
出題意図
(a)・(b)どちらの課題も、相談援助の専門職を目指す人にとって必要な知識や情報などを活用していくために大切な態度・姿勢について理解すること求められていました。
国家試験に向けての対策
- 初めての用語、使い慣れない表現などについては、テキストを中心に繰り返し学習を進めること。参考書や問題集の併用も。
- 試験対策としては、歴史的な背景や考え方も重要だが、様々な理論を駆使して行う相談援助では新しい考え方も大切。最新の情報にも気を留められたい。