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福祉専門学校の精神保健福祉士短期養成コース入学前の学習ガイダンス動画(3)

オンライン学習をするウサギのイラスト

こんにちは、ブジカエルです。

社会福祉士の登録証も手元に届き、5月の精神保健福祉士短期養成コース入学を待ちつつ、過去問に取り組んだり入学に先立って届いたテキストを見たりしていましたが、趣味の関係で超多用多忙となり勉強どころではなくなってしまい、でも学校からメールで届いたソーシャルワーク実践セミナー動画の公開期限が迫ってきたので見ておかねば。

ということでそのの3つ目、テーマは「性風俗と福祉をつなぐ」、講師はNPO法人風テラス理事長の坂爪真吾さんです。

21世紀も四半世紀がもうすぐ過ぎようという今もなお男尊女卑なこの国で、ジェンダー格差が世界でも最低レベルなこの国で、女性が生きていくのは本当に大変なことだと、心がひりひりするお話でした。

目次

講義の目的と講師紹介

広義の目的

  • 性風俗産業の現状と課題、福祉とのつながりを理解する
  • 現場で当事者に適切な支援を行うためのポイントを理解する

坂爪さんはこんな人

  • 1981年新潟市生まれ、東京大学文学部卒
  • 大学在学中から都内の風俗産業の研究・調査を行う
  • 2008年に非営利組織ホワイトハンズを設立
  • 2022年4月、風テラス事業をNPO法人化

風テラス

風俗店で働く女性の無料生活・法律相談窓口
弁護士とソーシャルワーカーのチームで相談を受ける
https://futeras.org/

風俗に関するデータ、現状・課題

クイズ

Q 現在、全国の風俗店で出勤している女性の合計人数は?
A 444,208人(2023年3月11日現在、シティヘブン調べ)

女性の労働人口:3044万人(令和2年)
・働く女性の100人に1人以上は風俗嬢
・薬剤師32万人、美容師54万人・・というデータから捉えると、それなりのボリュームが風俗で働いている。

一方、店舗に属さない、個人売春で稼ぐ人もいる。

Q パパ活アプリ・交際クラブ登録者、男女どちらが多いか?
A 男性2割、女性8割

女性が圧倒的に多い。
需要と供給のバランスが崩れて価格が低下(20年くらいのトレンド)。
激安風俗店が増えているそうで。
参考:坂爪さん著書『パパ活の社会学』

事例:軽度知的障害を抱えながら風俗で働くUさん(42歳・独身)

  • 医療にも福祉にもつながっていない
  • 昼間の仕事に就けない様々な理由
    仕事面:非正規雇用・障害・昼の仕事続かない
    心身面:発達障害、うつ病、摂食障害
    社会関係:シングルマザー、親との問題、難しい生育環境、DV

性風俗で働くことで孤立が深まり状況は悪化

性風俗で働くことで生じる要素

  • 経済的不安定(個人事業主、安定しない収入、収入証明なく公的支援受けづらい、金銭感覚の狂い)
  • 社会的孤立(身バレ不安、相談できない、人間関係の狭さ)
  • 心身リスク(性病リスク、精神的ストレス)

社会的要素

  • 公的支援への知識不足と抵抗感
  • 使いにくい公的制度
  • 周りからの偏見

⇒これらの要素が相俟って、最悪の場合、多重債務による失踪、自殺等につながる

風俗で働く全員が貧困ではない

月収100万円超:インフルエンサー・メディア露出
月収20~40万円:昼職と兼業、学生など
月収40~80万円:専業・出稼ぎ、ホスト・買い物依存
月収0~数万、職歴なし・家無し、精神疾患、シングルマザー、借金、等々←レッドゾーン

風テラスでは、
・「今すぐやめさせる」ではなく「働くリスクを減らす」支援
・社会的に弱い立場に置かれがちな女性に、法的・福祉的支援とつながる機会を提供
・つながる・つなげる・ひろげる

相談窓口を作るだけでは相談は来ない

風テラスさんでは、広報の様々な取り組みを行われています。
相談窓口を作るだけで相談が来ることはないので、相談者とつながるための仕組みづくり&広報活動に取り組まれていて、当事者の集まるコミュニティやネットワークを作ること、情報発信を行うことに力を入れられています。

相談内容多い順

  1. 生活困窮
  2. 店舗トラブル
  3. 誹謗中傷・身バレ
  4. 借金
  5. ・・・と、色々続きます

障害ありと自己申告する人、2割超

相談者2028名のうち472名(22.6%)が
・精神疾患(うつ、不安障害、摂食障害等)
・発達障害(ASD、ADHD)
・知的障害(軽度~中度)
であると相談時に自己申告されたそうです(2022年)。

坂爪さんの実感としては、実際には、倍くらいの人に障害があるのではと。

風俗と福祉をつなぐ視点

  1. グレーな困難の多重化
    背景にある困難:家族からの排除、住まいからの排除、正規雇用からの排除、障害による社会的排除

    なぜ福祉を利用せず風俗なのか?

    朝決まった時間に送られない・薬の副作用で思うように体が動かない・決められた時間に出社・勤務できない
    自分の体調や気分で勤務日時を決められて、遅刻や当日欠勤でも首にならない仕事に対するニーズが高い

    福祉的就労:B型–時給222円、A型–899円 ← 最低賃金以下か最低賃金ギリギリの仕事/生活になる

    ⇒風俗が唯一の選択肢となる

    知的障害と風俗のジレンマ
    風俗で働き稼ぐことで、自尊感情が高まるケースが多い
    肯定される場が、家庭にも地域にもなる
    風俗で働くことが社会的自立になる

    福祉では精神的・経済的ニーズを満たせない
  2. 共助としてのデリヘル
    男性が集客し、女性が接客、で助け合い
    地方都市ではデリヘル(風俗)よりも生活保護(公助)の方がスティグマが強い
    多重化した困難を解決できるもの=風俗
  3. 期限付きの共助
    女性の時間・容姿・魅力を現金化できる期間は限定されていて、ずっと働けるわけではない

    シングルマザーと性風俗
    高校中退⇒キャバクラ等⇒妊娠発覚⇒未婚出産
    母親も「水商売×未婚出産」

    福祉で救えない・風俗で稼げない⇒次世代に連鎖
    この狭間にいる女性を支援するのは難しい
  4. ハームリダクション
    入り口を塞ぐのは不可能
    中身のリスクを減らし、
    出口を整備する

    ⇒そのためにアウトリーチを行う
    支援のスタンスは「女性とともに」

まとめ:風俗と福祉をつなぐ

  1. 風俗は多重化した福祉的課題「グレーな困難」を抱える女性が集まる世界
  2. 風俗=期限付きの「セーフティネット」
  3. 必要なのは「ハームリダクション」、そのための「アウトリーチ」
  4. 「女性のために」から「女性とともに」へ

福祉は風俗に勝てない
勝てなくても「負けない」ことは可能!

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この記事を書いた人

このブログを運営しているブジカエル、カエル好きですがカエルにはあまり詳しくありません。精神障害者の地域生活を支援する精神保健福祉士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント。旅好き、学び好き、放送大学12年目のマルチポテンシャライト。科学的な幸福の研究に興味津々なポジティブ心理学実践インストラクター。健康管理好き、2013年に健康管理士、食生活アドバイザー3級&2級を取得。
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