レポート課題 社会福祉士養成課程

社会福祉士学習の記録|レポート(1) 第1回(1)『現代社会と福祉①』(b)ナショナル・ミニマムと社会保障について

レポート課題に取り組むカエルのイラスト

この記事では、社会福祉士養成課程(通信)の第1番目のレポート(科目は「現代社会と福祉」)に関することをまとめました。

A評価を得たレポートの実例つきです。

以下の記事にまとめた手順に沿ってレポートを作成する準備を進めました。

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社会福祉士養成通信課程で提出するレポートとその作成方法について【土台=基礎編】

社会福祉士養成課程ではレポートをたくさん書いて及第点を得る必要があります。最初に土台をある程度しっかり固めて、レポートを効率良く大量生産するために、レポート作成の基本をまとめました。これから養成課程でレポートの課題を前に途方に暮れそうな方の参考になったら幸いです。

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社会福祉士養成通信課程で提出するレポートの作成方法について【イシューから始める編】

社会福祉士養成課程ではレポートをたくさん書いて及第点を得る必要があります。この記事では、より生産性を高めクオリティと効率を上げるためのポイントについてまとめました。

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レポートは2択

レポートの課題は、以下の2つから選べました。

(a) 福祉政策における相談援助活動の実態と課題について、ソーシャルワーカーの倫理綱領を踏まえて論述しなさい。

(b) ナショナル・ミニマムと社会保障について、生存権保障の視点から論述しなさい。

抽象的な事象についての記述は苦手なので、より具体的に書けそうな(a)にしようと思ったのですが、内容について検討している間にだんだん訳が分からなくなってきたので(b)にしました。

語句の意味・定義を把握

ナショナル・ミニマム(national minimum)とは

『精選版 日本国語大辞典』

ナショナル・ミニマムとは、国家が国民に対して保障する最低限の生活水準を言う。

手元のテキスト『現代社会と福祉』第5版 弘文堂

19世紀末、「国家が保障すべき国民としての文化的な最低限の生活」としての「ナショナル・ミニマム」を、ウェッブ夫妻が提案した。(51ページ)

イギリスにおいて貧困問題への対応が、道徳主義的貧困観から社会的貧困観へと転換される流れの中で、貧困は個人の道徳に由来する問題ではなく社会全体の問題として捉え直され、後に国家が福祉政策を積極的に実施するための前提となったのでした。

国家によって国民全員に補償されるべき最低限の公共サービスの水準のこと。イギリスのウェッブ夫妻(Webb, S. J. & Webb B.)が『産業民主論』(1897)の中で提唱した。1942年のイギリスのべヴァリッジ報告では「最低生活保障の原則」が示された。(229ページ)

平成22年版厚生労働白書

憲法第 25 条第 1 項には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定されている。

ここでいう、「最低限度の生活」、すなわち、ナショナルミニマムとは何かが必ずしも明らかになっておらず、検証が必要ではないかとの問題意識から、厚生労働省では、2009(平成 21)年12 月に、すべての社会保障制度の出発点となるナショナルミニマムの考え方を整理するとともに、その基準・指標の研究を行うため、「ナショナルミニマム研究会」を開催した。10 回にわたる議論を重ね、2010(平成 22)年 6 月には中間報告を取りまとめたところである。

出典:平成22年版厚生労働白書

厚生労働省において、平成21年12月11日から平成22年6月18日までの間に10回開催された「ナショナルミニマム研究会」に関するお役立ちページはこちら。

社会保障とは

ILO(国際労働機関)は社会保障を以下のように定義しています。

①制度の目的が、次のリスクやニーズのいずれかに対する給付を提供するものであること。
(1)高齢 (2)遺族 (3)障害 (4)労働災害 (5)保健医療 (6)家族 (7)失業 (8)住宅 (9)生活保護その他

②制度が法律によって定められ、それによって特定の権利が付与され、あるいは公的、準公的、若しくは独立の機関によって責任が課せられるものであること。

③制度が法律によって定められた公的、準公的、若しくは独立の機関によって管理されていること。あるいは法的に定められた責務の実行を委任された民間の機関であること。

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

手元のテキスト『現代社会と福祉』第5版 弘文堂

現代社会の特徴の1つである急激な人口減少と少子高齢化は、社会保障にも大きな影響を与えます。特に、世代間扶養という要素の強い社会保障制度は、高齢化と同時に進行する少子化と相まって、給付の増大や現役世代の負担増など多くの課題を抱えています。

という文脈で語られるテキスト冒頭に、以下の語句解説があります。

社会保障制度

国民の生存権を確保することを目的とする制度で、社会保険(労災、失業、医療、年金、介護等)・公的扶助(生活保護)・社会福祉、公衆衛生などから構成されている。広義には雇用や住宅政策を含む。(2ページ)

社会保障体制の再構築に関する勧告

1995年(平成7年)「社会保障体制の再構築に関する勧告」(社会保障制度審議会)は以下のように述べました。

心身に障害をもつ人々、高齢となって家族的あるいは社会的介護を必要とする人々などに対する生存権の保証は、従来ともすると最低限の措置にとどまった。今後は、人間の尊厳の理念に立つ社会保障の体系の中に明確に位置付けられ、対応が講じられなければならない

今後、生活水準の上昇に伴い生活保障のあり方が多様化し、そこに社会保障の受けての側に認めるべき選択権の問題が招じてくる、その選択の幅は生存権の枠を越えて拡大していくであろう。

福祉において、生存権保障を超える「生活の質」が重視されるとき、物質的な条件の充足だけでなく、地域社会、人間相互の関係、自己実現、プライバシーといった文化的条件を満たしていくことも重要であり、現代社会の変化とともに、福祉をめぐる新しい思想が求められている、ということだそうです。

また同勧告は、社会保障制度を次のように規定しています。

社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである。

このような生活保障の責任は国家にある。国家はこれに対する綜合的企画をたて、これを政府及び公共団体を通じて民主的能率的に実施しなければならない。(中略)他方国民もまたこれに応じ、社会連帯の精神に立って、それぞれその能力に応じてこの制度の維持と運用に必要な社会的義務を果さなければならない。

社会保障制度改革国民会議報告書

社会保障制度改革推進法に基づいて2012年11月に内閣に設置された会議において2013年にまとめられた報告書。

構成
第1部 全体像
第2部 少子化対策、医療・介護、年金各分野の改革

全世代型の「21世紀(2025年)日本モデル」の制度へ改革することが喫緊の課題であり、切れ目のない「全世代型の社会保障」を提案。

 

平成24年版厚生労働白書 -社会保障を考える-

とてもわかりやすかったです。

「第3章 日本の社会保障の仕組み」は基礎理解のためには特に良いかも。

平成24年版厚生労働白書 -社会保障を考える- (本文)

生存権とは

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

出典:昭和二十一年憲法 日本国憲法

日本国憲法第25条は、私たちが健康で文化的な生活を営む権利として、生存権を明記しています。そして同条第2項は、その生存権を守るために、国が社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないとしています。

レポート作成の手順

では、「社会福祉士養成通信課程で提出するレポートとその作成方法について【土台=基礎編】」の「レポート作成の手順」に沿って作業を行っていきます。

テーマ分析

「ナショナル・ミニマムと社会保障について、生存権保障の視点から論述しなさい。」というテーマは、どのような内容を期待して設定されたのでしょうか?

社会福祉士養成通信課程におけるレポートは、

  • 学習を進めているよ!ということを学校に知らせる
  • こんなふうに理解しているよ!ということを先生に知らせる

ということも目的としていると考えられるため(参考:社会福祉士養成通信課程で提出するレポートの意味)テキストの内容を踏まえつつ、少し発展させたレベルの記載が期待されているのではないかと推察します。

具体的には、ナショナル・ミニマムと社会保障は、生存権保障にとってどういうものであるかを、テキストを踏まえて、テキスト以上のことで多少色を付けて書けば及第点はもらえるかと。

シラバスにあるねらい「現代社会における福祉制度の意義や理念、福祉政策との関係について理解する」をクリアできているよ、と伝えられる内容であればベターと思われます。

採点後に送られてきた解題によると、「社会福祉政策の原点でもあるナショナルミニマムの考え方について理解し、日本国憲法第25 条の生存権を踏まえて、社会保障制度について整理してもらうことを意図としている」ということでした。

またこの課題設定に関しては、国家試験の出題傾向も意識されていました。

評価の高いレポートは、ナショナルミニマムと社会保障について、ウェッブ夫妻の「産業⺠主制論」やベヴアリッジ報告をあげて説明し、日本国憲法第25 条の生存権や社会保障制度審議会の勧告を用いて、「健康で文化的な最低限度の生活」について論述しているレポートだそうです。

材料を集める

客観的な裏づけのある材料を集めます。

前項「語句の意味・定義を把握」に以下の言葉についての定義を記載しました。

  • ナショナル・ミニマム
  • 社会保障
  • 生存権

学校指定のテキストの中や、テキストに出てきた資料から主に材料を探します。

テキストに記載されている参考文献にもできれば目を通したいのですが、全てに目を通す余裕は正直言って全然ありません。参考文献は申し訳程度の活用とします。

内容を組み立てる(目次を作る)

材料がそろったら、内容を組み立てて構成を考えます。

A評価のレポート例

ブジカエル
私が提出したレポートの評価がAでした。
ご参考になれば幸いです。
完全コピペはダメですよ。
しろうさぎ
学校からもらった模範解答を転載するのは著作権的に問題ありすぎなのでやめておくべし。

 憲法は「最低限度の生活」に言及し生存権を保障するが、「最低限度の生活」すなわち「ナショナル・ミニマム」とは何かということについて明確な基準や定めはない。本稿では、ナショナル・ミニマムおよびこれを基礎とする社会保障について、生存権保障の視点から述べることとする。

1. 概念
(1) 生存権保障
日本国憲法25条1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めており、これが生存権の保障である。この理念に基づいて国民の生存権を保障する国の制度が生活保護制度であり、生活保護で保障される生活水準は、健康で文化的な最低限度の生活を維持するためのものとされている。

(2) ナショナル・ミニマム
前項に述べた「健康で文化的な最低限度の生活」の水準が「ナショナル・ミニマム」である。19世紀末にウェッブ夫妻が提案した「ナショナル・ミニマム」は、もともとは労働条件の最低基準のことを指していた。この意味が拡大されていき、今日では国が保障する必要不可欠な最低限という意味合いで使われている。

(3) 社会保障
日本国憲法25条2項に「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定められており、社会保障は国民の生存権を確保することを目的とする制度である。
日本の社会保障では、傷病や失業、障害や高齢等の様々な事情で生活の維持に困難が生じた場合には、法律に基づく公的な仕組みにより生活を支える給付が行われる。これにより、国民の「最低限度の生活」すなわち「ナショナル・ミニマム」が保障される。

2. 今日的なナショナル・ミニマムと社会保障
絶対的貧困が大きなテーマだった時期において、ナショナル・ミニマムは「生きていける最低限」を保障することであった。しかし今日の日本で深刻化している貧困は相対的貧困であり、衣食住は賄えている場合が多く、なんとか生きてはいける。しかしこれを放置してはならないのであり、ノーマライゼーション等様々な理念にの上に立つ社会保障の体系の中で対応が講じられることとなる。
ここから、今日的な生存権を保障するナショナル・ミニマムとは「生きていける最低限」ではなく、「人間の尊厳を保てる最低限」や「生活の質の最低限」を保障するものと考えられる。
しかし現実的には、必要なものはケースごとに異なり、「最低限」の水準を定めるのが難しい領域もある。こうした領域の制度を支える理念として「オプティマム(=最適)」に近年関心が集まっている。ナショナル・ミニマムが保障されている前提で、オプティマム=最適な給付を判断し給付を保障することが、現代の社会保障に求められていると言えよう。

3. 考察
今日における生存権保障では既に「生きていける最低限」を超え、生活の質が重視されている。福祉における援助も金銭的・物質的な充足のみでなく、ケースごとに最適を判断し、かつ地域社会との関わりや自己実現といった面も満たしていくことが今後一層重要になると思われる。

でした。

おまけ:レポート(1)『現代社会と福祉①』(a)福祉政策における相談援助活動の実態と課題について

(a)の「福祉政策における相談援助活動の実態と課題について、ソーシャルワーカーの倫理綱領を踏まえて論述しなさい。」についても少し調べかけたので記載を残しておきます。至極半端ですか。

(a)を選んだどなたかの参考になれば幸いです。

福祉政策

福祉政策については学校指定のテキストにも記載があったのですが、以下論文でわかりやすい記述があったのでここに引用します。

日本で福祉政策という言葉を扱う場合、行政における労働・教育・住宅・保健といった広い範囲での社会政策ではなく、いわゆる救済事業を原点とする狭義の社会福祉政策と同義となることが多い。これは社会福祉政策が福祉政策の基幹部分ととらえることが一般的となっているためである。

私たちは「福祉」あるいは「福祉政策」という用語を、近年における福祉ニーズの多様化・複雑化・高度化とそれに対応する社会福祉の拡大という視点から、社会福祉政策の変化を把握し分析する用語としてとらえ位置づけてきた。本稿で取り上げる福祉政策の概念も、基幹部分としての社会福祉政策を含んでいるが、決してそれに尽きるわけではない。それは社会福祉政策以外の社会政策の一部も、福祉政策の構成要素として存在しているからにほかならない。

日本において、社会福祉の概念規定は時代とともにあり、これらは常に先駆者の礎の上に探求が重ねられてきた。代表的な規定としては、1950(昭和25)年にパリで開催された国際社会福祉会議で中央社会事業教会(現・全国社会福祉協議会)が報告したもの、社会福祉の技術論的規定とされる竹内愛二によるもの、社会福祉の政策論的規定とされる孝橋正一によるもの、社会福祉の固有論的規定とされる岡村重夫によるものなどがある。

また、社会福祉学研究の古川孝順は、自らを社会福祉の総合論的規定として位置づけ、次のように規定した。「社会福祉は、市民社会において社会的にバルネラブルな状態にある人々に提供される社会サービスの一つであり、多様な社会サービスを連携しつつ人々の自立生活を支援し、自己実現と社会参加を促進するとともに、社会の包摂力を高め、その維持発展に資することを目的に展開されている社会的組織的な施策の体系である。」1)

本稿では古川孝順の理論に即して進めることを前提とし、福祉の原点から理解を深めていくものである。

中村英三「現代の福祉ニーズと社会福祉政策―福祉原理とサービスの役割―」

相談援助活動

以下は学校指定のテキストからの抜粋。

相談援助活動とは、個人や家族、また地域社会がかかえる問題の解決をはかり、支援していくための専門的な援助活動をいい、相談援助技術とは、その社会福祉士援助活動をてんかいしていくための専門的な展開方法を意味している。

相談援助活動には、個人や家族に対し、直接的に対人援助を展開する場合の他、地域社会などを広く間接的に支援する場合などがあり、これらの相談援助活動を、専門職が、社会福祉従事者としての倫理、専門知識、専門的技術によって展開していくことが大切である。

すなわち、相談援助とは、援助を必要としている人々の生活の中で起きているさまざまな諸問題を適切に把握し、その援助に必要なさまざまな社会資源や援助方法を組み合わせ、その人にあった援助計画を立てて、そしてそれを実践するというプロセスをへることによって展開する、ということができるであろう。

『現代社会と福祉』(第5版)180ページ 弘文堂、2019年

ソーシャルワーカーの倫理綱領

2000年7月、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)国際会議(モントリオール会議)において「ソーシャルワークの定義(Definition of Social Work)が採択されました。これに呼応し、日本ソーシャルワーカー協会が呼びかけて、2000 年 12 月 19 日に日本社会福祉士会との合同作業委員会が組織され、倫理綱領策定に向けた作業が開始されたそうです。

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