この記事は、社会福祉士養成課程(通信)の15番目のレポート(科目は「相談援助の理論と方法」)に関することをまとめたものです。
A評価を得たレポートの実例つきです。
お忙しいでしょうから、ぜひ必要な個所に絞って見てくださいね。
以下の記事にまとめた手順に沿ってレポートを作成する準備を進めました。
レポートは2択
レポートの課題は、以下の2つから選べました。
(a) 社会資源とその活用について
~社会資源とは何かを明確にし、今後の少子高齢化の日本において、どのような社会資源を活用することが重要か、あなたの考えを述べなさい。
(b) 地域包括支援センターにおける社会福祉士の役割・機能について
地域包括支援センターにおける社会福祉士の役割・機能について説明し、援助についてのあなたの考えを述べなさい。
(b)についてはまだあまり関心が深まっていないので、(a)にしました。
レポート作成の手順
毎度恒例、「社会福祉士養成通信課程で提出するレポートとその作成方法について【土台=基礎編】」の「レポート作成の手順」に沿って作業を行っていきます。
テーマ分析
「今後の少子高齢化の日本において、どのような社会資源を活用することが重要かについて述べる」というテーマは、どのような内容を期待して設定されたのかを考えます。
また、社会福祉士養成通信課程におけるレポートは、
- 学習を進めているよ!ということを学校に知らせる
- こんなふうに理解しているよ!ということを先生に知らせる
ということも目的としていると考えられるため(参考:社会福祉士養成通信課程で提出するレポートの意味)テキストの内容を踏まえつつ、少し発展させたレベル内容も盛り込めるとベターかと思います。
今回のレポートは、
- 社会資源の定義
- 少子高齢化により起きる問題
- 上記を踏まえた上で、今後も少子高齢化が進む日本における社会資源活用の重要なポイントについて、自分の考察
以上3点が端的にしっかり書けていれば、及第点はもらえるでしょう。
材料を集める
レポートを書くにあたって必要な材料を集めます。
学校指定のテキストの中や、テキストに出てきた資料から主に材料を探します。
まずは、語句の意味・定義を明確にします。(次項にまとめておきます。)
材料を集める
参考資料、出典として使えそうなもの
レポートでは、学校指定のテキストをしっかり押さえておくことのは大前提。
学校指定のテキスト『相談援助の理論と方法』等相談援助に関するテキストから使えそうな部分をピックアップします。
私の手元のテキストでは、『相談援助の理論と方法2』51ページ~が社会資源についての章です。
厚生労働省:日本福祉大学原田正樹先生の「社会資源の活用、連携・協働、開発」もヘルプフルでした。
社会資源とは
社会福祉において社会資源とは、(中略)、生活ニーズを充足するための資源を指す場合が多いと考えられる。
社会資源とは、社会福祉に関連しているものだけにとどまらず、多種多様の資源を指す。
- 生活ニーズを充足するために用いられる有形無形の資源で、制度、機関、人材、資金、技術、知識等、多種多様である
- 支援員のみが活用するものではなく、本人が活用できるよう支援員は必要な社会資源を調整する役割も求められる
分類のし方は複数ある。
フォーマル度で分類
- フォーマルな社会資源
制度化された社会資源であり、行政によるサービス、公的サービスを提供する民間組織によるサービス。
制度を源とした社会福祉機関・施設、病院などに所属する専門職によって提供される。
多様な社会保障制度等を知っておくことが重要。
サービス適用に関する評価基準、利用手続き等が設定されている。安定した継続性あるサービス供給、専門的サービス供給が期待できる。 - インフォーマルな社会資源
制度化されていない、非専門的な援助資源やそれを提供する人や物を指す。
家族による一時的なサポート、親戚、友人、知人、近隣住民、会社の同僚等、本人がこれまで形成してきた関係。
既に人間関係が成立しているため、困りごとにすぐに対応できる利点があり、また安心感を与えたり心理的なサポートも期待できる。
利害関係を含まない愛情や善意を中心に成立、柔軟なサービス提供、ネットワークが容易。
一方、これらの人びとを巡る状況は変化することがあり、継続性や安定性が弱く、専門的ノウハウ面も弱い。 - セミフォーマルな社会資源
従来インフォーマルな社会資源とされてきたボランティア、自治会・町内会、老人クラブ、セルフヘルプグループ、相互扶助団体等、地域住民や同じ目的を持った人々が意図的に構成・組織し活動しているもの。
近年、これらの活動が公的支援を受けて新たなマンパワーとして注目されてきており、インフォーマルなものとして位置付けることが難しい状況がある。しかしフォーマル、専門的とも言い切れないことからセミフォーマルな社会資源として位置付ける考え方がある。
供給主体で分類
- 制度
法や条例 - 社会福祉機関・施設
法や制度に基づく事業によりサービスを提供する。 - 個人・集団
- 資金
少子高齢化がもたらす問題
社会資源について概ね理解できたところで、少子高齢化について復習します。「現代社会と福祉」で学びました。
- 少子高齢化は、経済、財政、社会保障、地域社会などあらゆる面において問題を引き起こすおそれがある。
医療・年金・介護
- 世代間扶養という要素が強い社会保障制度は、高齢化と同時に進行する少子化と相まって、給付の増大や現役世代の負担増など、多くの課題を抱える。
- とりわけ、社会保険方式で営まれている年金、医療、介護については、財源の確保と需給バランスの維持という点で、現行制度は維持できないおそれがある。
- 2025年には団塊の世代に対する医療・介護の供給が不十分となるおそれがある。特に、人口が集中する都市部では深刻化すると考えられている(2025年問題)。
- この問題への打開策として、地域包括ケアシステムの構築の取り組みが進められている。
労働市場
- 労働市場をめぐる問題としては、非正規雇用者の増加、長時間労働による健康問題や過労死、ブラックバイト、ワーキングプア等がある。
- ワーキングプアをはじめとする非正規労働者は社会のセーフティネットから漏れるおそれがある。
家族の変化
- 家族は年々小規模化し、世帯構造も変化している。
- 単独世帯の構成比の伸びが著しく、貧困格差や無縁社会、孤立問題に連動する面がある。
- 高齢者のみの世帯、高齢者単身世帯、ひとり親世帯が増加している。
以上を概観して、少子高齢化が進む日本における社会資源活用の重要なポイントについて、自分の考えをまとめます。
A評価のレポート例
ご参考になれば幸いです。
完全コピペはダメですよ。
掲載するレポートの評価は以下の通りです。
点数 80点
総合評価 A
項目別評価では、
・課題の理解度 A
・論旨と構成 A
・自己の見解 A
社会資源とは、生活ニーズを充たす有形無形の様々な資源を指す。社会福祉に関連するものだけでなく、制度、機関、人材、資金、技術、知識等、多種多様である。地域には多くのサービスや援助資源等の社会資源が存在し、人材も親近者、地域住民、福祉関係者など様々な立場の人がいる。ソーシャルワーカー自身も社会資源であり、クライエントと共に必要な社会資源を選び、調整する役割を担う。
社会資源の分類のし方は複数あり、フォーマル度での分類、供給主体での分類(制度/機関・施設/個人・集団/資金)等がある。
現在も進んでいる少子高齢化により、経済、財政、社会保障、地域社会などあらゆる面において問題が引き起こされるおそれがある日本においては、どのような社会資源を活用することが重要か、フォーマル度での分類に沿って考察する。
(1) フォーマルな社会資源
制度化された社会資源であり、行政や、制度に基づいて設立される民間の機関(社会福祉機関・施設、病院等)に所属する専門職によって提供されるサービス等を指す。専門的で安定したサービス提供が可能であり、今後も必要に応じてフォーマルな社会資源は活用するべきであるが、少子高齢化により生産年齢人口が減少する中で利用が増え続ければ、社会全体の負担は一層重くなる。
(2) インフォーマルな社会資源
制度化されていない、非専門的な援助資源や、それらを提供する人を指す。家族や親戚、友人、知人、近隣住民、会社の同僚等、本人がこれまで形成してきた関係や、その関係に基づき提供されるものである。
少子高齢化が進む社会では、インフォーマルな社会資源の活用は重要となってこよう。サポートの継続性や安定性はフォーマルな資源より劣るとしても、ソーシャルワーカーとしては、身近な人たちとのつながりや地域的なつながりの再構築を試みるなどして、資源開発やコーディネートといった支援も行いたい。
(3) セミフォーマルな社会資源
従来インフォーマルな社会資源とされてきたボランティア、自治会・町内会、セルフヘルプグループ等、地域住民や同じ目的を持った人々が意図的に構成・組織し活動しているものを指す。少子高齢化が進む社会においては、こうしたセミフォーマルな社会資源の利活用が益々重要になっていくと考えられる。
私の住む自治体では現在***を超えるNPO法人が活動している。高齢者が社会参加できる仕組みづくりを市が進めていることも影響しているのか、高齢者主体でボランティア活動を行うNPO法人が特に増えている。高齢になっても地域や特定の領域で役割があり、目的を持って活動を続けられることは、健康面での自立の維持にもつながり、医療や介護給付の抑制が期待できることはもちろん、何より高齢者本人の生きがいや満足、幸せにつながる。
フォーマルな社会資源を活用してセミフォーマルな社会資源の開発・活用を促進し、それをさらにインフォーマルな社会資源にもつなげていく循環で、地域の支え合いを促進しながら、クライエントの自立・自律を支援する社会福祉士を目指したい。