この記事では、社会福祉士養成課程(通信)の7番目のレポートに関することをまとめました。
お忙しいでしょうから、ぜひ必要な個所に絞って見てくださいね。
以下の記事にまとめた手順に沿ってレポートを作成する準備を進めました。
レポートは2択
レポートの課題は、以下の2つから選べました。
(a) 高齢化による社会問題をひとつ挙げ、社会福祉の観点から考察し、社会福祉士に求められる役割について述べなさい。
(b) 介護予防の必要性やその方法について述べなさい。
比較して簡単そうに思えた(b)にしました。
レポート作成の手順
毎度恒例、「社会福祉士養成通信課程で提出するレポートとその作成方法について【土台=基礎編】」の「レポート作成の手順」に沿って作業を行っていきます。
テーマ分析
「介護予防の必要性やその方法について述べる」という課題が、どのような内容を期待して設定されたのかを考えます。
また、社会福祉士養成通信課程におけるレポートは、
- 学習を進めているよ!ということを学校に知らせる
- こんなふうに理解しているよ!ということを先生に知らせる
ということも目的としていると考えられるため(参考:社会福祉士養成通信課程で提出するレポートの意味)テキストの内容を踏まえつつ、少し発展させたレベル内容も盛り込めるとベターかと思います。
材料を集める
レポートを書くにあたって必要な材料を集めます。
学校指定のテキストの中や、テキストに出てきた資料から主に材料を探します。今回は、たまたま手元にあった介護職員初任者研修のテキストや、厚生労働省の介護予防マニュアルを活用しました。
次項にまとめます。
材料を集める
介護予防とは
以下『介護予防マニュアル改訂版』(厚生労働省:介護予防マニュアル(改訂版:平成24年3月)について)から引用。
介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義される。
介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養状態といった個々の要素の改善だけを目指すものではない。むしろ、これら心身機能の改善や環境調整などを通じて、個々の高齢者の生活機能(活動レベル)や参加(役割レベル)の向上をもたらし、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取り組みを支援して、生活の質(QOL)の向上を目指すものである。これにより、国民の健康寿命をできる限りのばすとともに、真に喜ぶに値する長寿社会を創成することを、介護予防はめざしているのである。
介護予防が必要である理由
地域、社会の問題:介護の必要な高齢者ばかりになると、
- お金がかかる、財源がますます足りなくなる
- 介護人材が足りない
- 家族が大変
- 地域で把握しきれず、孤独死が増えるなどの社会問題が増える・深刻化する
個人の幸福の問題:要介護状態になると、その状態によっては
- やりたいことができない
- 生きがいを失う
- 意欲低下
- 人生最後の時間を有意義に過ごせない
介護予防の種類
- 高齢者の健康寿命をのばし、生活の質を高めていくためには、生活習慣病予防と介護予防を地域で総合的に展開することが大切。
- 予防の概念は、一次予防、二次予防、三次予防の3段階に整理できる。
生活習慣病の一次予防
健康な者を対象に、発病そのものを予防する取り組み(健康づくり、疾病予防)。
生活習慣病の二次予防
すでに疾病を保有する者を対象に、症状が出現する前の時点で早期発見し、早期治療する取り組み。
生活習慣病の三次予防
症状が出現した者を対象に、重度化の防止、合併症の発症や後遺症を予防する取り組み。
介護予防の一次予防
主として活動的な状態にある高齢者を対象に、生活機能の維持・向上に向けた取り組みを行うものであるが、とりわけ、高齢者の精神・身体・社会の各相における活動性を維持・向上させることが重要。
介護予防の二次予防
要支援・要介護状態に陥るリスクが高い高齢者を早期発見し、早期に対応することにより状態を改善し、要支援状態となることを遅らせる取り組み。
介護予防の三次予防
要支援・要介護状態にある高齢者を対象に、要介護状態の改善や重度化を予防するもの。
介護予防の方法
介護予防のアプローチは主に以下の6つ。
- 運動器の機能向上
- 栄養改善
- 口腔機能向上
- 閉じこもり予防
- 認知機能低下予防
- うつ予防
運動器の機能向上
理学療法士等を中心に看護職員、介護職員等が協働して、有酸素運動、ストレッチ、簡単な器具を用いた運動等を実施し、運動器の機能を向上させ生活機能の改善を図る。
栄養改善
管理栄養士が看護職員、介護職員等と協働して栄養状態を改善するための個別の計画を作成し、当該計画に基づき個別的な栄養相談や集団的な栄養教育等を実施し、低栄養状態を改善する。
口腔機能向上
歯科衛生士等が看護職員、介護職員と協働して、摂食・嚥下機能訓練、口腔清掃の自立支援等を実施し、口腔機能を向上させる。
閉じこもり予防
より活動的な生活になるよう支援する。
行政保健師、地域包括支援センター、民生委員、地域ボランティアなど、公的機関や地域の組織・団体、さらには地域住民をも含めた地域全体での支援体制・環境づくりにより介護予防の普及啓発を行う。
一次予防
高齢者が社会活動に参加し役割を担うように。
高齢者のボランティア活動支援。
二次予防
呼び出し、勧誘に応じない対象者については、自宅を訪問
閉じこもりの要因や問題点について評価
行動変容を促すアプローチを探る
認知機能低下予防
健常高齢者も含めで地域全体での認知症予防の街づくりを行う。具体的には介護予防のリーダー養成講座などを通じて、長い期間にわたる認知機能の変化や軽度認知機能障害(MCI)の状態、さらには認知機能の発症と治療やケアなどについての正しい知識の普及に努めるほか、認知症発症以前の MCI などの時期での適切な運動や栄養、社会交流や趣味活動などの日常生活での取り組みが認知機能低下を予防する可能性が高いことなどを理解してもらい、それを個人レベルのみならず地域全体で取り組むことの大切さを経験できるよう支援するよう努める。
うつ予防
- 地域全体への普及・啓発を行い、地域住民自らがうつに関する正しい知識を持ち、ストレスに適切に対処できるように支援する。
- うつは気づきにくい、気づかれにくいことから、健診(検診)や健康教育、家庭訪問等のあらゆる機会を活用して、アセスメントを行い、うつ傾向にある高齢者を早期発見し早めに相談や経過観察、受診勧奨等を行うことにより重症化を予防するようにする。
- 強いストレス状態、うつ状態又はうつ傾向にある高齢者に対し、家族、地域住民、民生委員、食生活改善推進員等の関係者、ケアに携わる専門職が、声かけ、見守り、相談、医療機関との連携、服薬指導等のさまざまなアプローチを正しく行うことができるようにする。
- 地域のさまざまな保健医療福祉サービス資源の機能を理解し、調整を図りながら、二次予防事業対象者や要支援者への適切な対応を行えるようにする。
一次予防
目的:健康増進と疾病の予防
方法:普及啓発、健康教育、健康教室、健康相談など
二次予防
目的:早期発見、早期治療によって、病気の進行や障害への移行を予防する。
方法:うつのアセスメント、個別健康相談、訪問指導、受診勧奨、家族や医療機関との連携など。保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士等が地域包括支援センターをはじめ、保健所、精神保健福祉センター等と連携しながら、うつの早期発見、個別相談や受診勧奨、治療介入等の適切な支援を行う。
三次予防
目的:病気によって残った障害を最小限にし、その制約のもとで充実した生き方ができるように支援する。
方法:地域包括支援センター、精神保健福祉センターと連携をとりながら、健康教室・研修会・市民講座を案内したり、電話相談や家庭訪問等を行ったりするなど。必要に応じて保健所が実施している心の健康相談日の紹介や、保健師等の家庭訪問を実施する。家庭訪問ではじっくり時間をとって保健師等がハイリスク者の話を聴くように心がける
解題で復習
出題意図
(a):高齢化による様々な社会問題について実態を把握し、社会福祉の観点からはどのように捉えるべきか、社会福祉士の実践として求められることや重視すべきことは何かについて考察すること。
(b):介護保険制度における介護予防の動向から、介護予防の必要性について社会福祉観点から考察し、具体的な方法を知ること。
国家試験に向けての対策
- 高齢化の動向と、高齢者の実態(就労、所得、地域生活における生活などの諸状況の動向)を把握すること。「人口動態統計」「国民生活基礎調査」「高齢者の健康に関する調査」「高齢者の経済・生活環境に関する調査」「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」など国の代表的な調査結果について要点を把握するとよい。
- 介護保険法における介護予防に関する内容、特に地域支援事業について、各改定による変更内容を含め、事業の仕組みを把握し、各サービスや事業の具体的な支援内容についても熟知すること。